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ああ、今日も泣きそうだ #17:「笑い屋」という職業

笑い屋という職業がある。

笑い屋は、場を盛り上げるために笑う、笑わなければいけない。あらゆる負の感情を笑いによってプラスにする。
笑わなければならない。笑わなければ打開できない局面や未来がある。そんな時に元気に声がけするタイミングを忘れない。 

北京で行われた冬季オリンピックが終わった。
感心したのは、カーリングの「ロコ・ソラーレ」の掛け声だ。カーリングの専門的な掛け声の他、笑顔や笑いを絶やさない。

歌舞伎で「大向こう」という役割の人がいる。
「待ってました!」「成田屋!」「生駒屋!」
基本、お客の掛け声のように見えるが、その役割の人がいる。一般のお客さんも声がけしてもよく、掛け声に明確なルールはない。

下手な合いの手は芝居を潰す。つまり、心得がないと「大向こう」は伝わらない。ご遠慮願いたい。
「待っていたとはありがてぇ」と役者から言われれば、てーしたもんだ。一気に空気はこちらに流れ込む。


カーリングはあの掛け声がいいね。
「ヤップ!ヤップ!ヤップ!」
今でもよくルールはわからないが、僕はそこから入ったね。

「ヤー―――――― ップ!」
と大声出して応援してたら家人に「うるさい」と怒られた。

もしかしたら、歌舞伎の「大向こう」をルーツとして、日本人にはそういった掛け声や合いの手が非常にうまいのかもしれない。


日本中、コロナで元気が欲しいところ。
踏み出そうと思っているのに、次の一歩がなかなか踏み出せない。無理に踏み出す必要はない。踏み出したい一歩に勇気をくれるのが笑い屋。

そのルーツは歌舞伎で、オリンピックという世界の舞台でも役に立っている。カラカラに笑う高笑いで、自分で飛ぶタイミングを計る。
笑いながらタイミングを図っている自分を感じると、今、てーへんな時なんだなぁ」と言うことをものすごく感じるのだ。

誰か掛け声を頼む。 


ああ、今日も泣きそうだ。

アロハラボラトリー代表の篠原が毎週メールマガジンに寄稿しているエッセイ「ああ、今日も泣きそうだ」のアーカイブです。


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