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【短編小説】〜Ku:Cafe in Vancouver〜

12
ひととき宙に浮かぶ気球のように、一杯の珈琲と共にふわりと旅する12のこころ。 バンクーバーに実在するカフェを舞台にした12のショートストーリー。 挿絵は愛知在住の画家/音楽家原… もっと読む
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記事一覧

Momo @ Buzz Cafe on Homer st._Dec. 16th 5:55p.m.

 モモに会ったのは、去年の冬の終わりのことだ。  今どき、80’sのハードロック好きな女が…

Mari Nov. @ Lost + Found on Hastings st._11th 3:15p.m.

 橋を渡っている。深く濃い霧に遮られて、向こう岸は見えない。どこにたどり着くのかも知らな…

Yukihira @ Urban Fair in Coal Harbour_Oct. 23th 11:45a.m.

「どうしてそんなところに座ってるの」
  突然声をかけられて振り向くと、見たことのない女…

Ichigo @ JJ Bean on Alberni st._ Sep 20th 8:25a.m.

 Alberni沿いのJJ Beanが好きな理由はふたつある。ひとつはガラス張りの2階席から通りが眺め…

Asami @ Tree Organic Coffee on Granville st._ Aug. 9th 4:33p.m.

 海に行こうと誘ったのはLioの方だ。  週末は晴れる。気象予報士並みに雲を読む彼がそう言…

Tomo @ Earnest Ice Cream_Jul. 16th 4:44 p.m.

 納骨の日、初めて母の骨を見た。淡いピンク色の珊瑚みたいだった。骨壺からいくつか骨を取り…

Luna @ Breka Bakery on Robson st._Jun. 23th 00:15a.m.

 満月の夜は眠れないので、ベッドから抜け出して通りに出る。ネオンが消えた午前0時のRobson streetに、さらさらと小雨が降っている。  24時間開いているBreka Bakeryは、真っ暗な海に浮かぶボートの灯り。どこで眠ればいいのかわからずに難破した人々が、ひとときの甘さや温もりを求めて打ち上げられている。  わたしもその一人。  ショーケースに並ぶ色とりどりのケーキの中から、毒々しいチェリーを乗せたBlack Forestと、ダブルショットのエスプレッソをオ

Sumile@ Mink on West Hastings st._May. 12th 2:28p.m.

 恋人が消えて一年が経とうとしている。出逢ってから、体の一部のようにくっついていたから、…

Hinata@ Cartems on Pender st._Apr. 10th 10:19p.m.

 イワキくんは、山を越えてやって来る。スクアーミッシュの崖のふもとに住む彼とは去年の夏、…

Rena@ Tangent Cafe on Commercial dr._Mar. 18th 9:24p.m.

 今年の冬は雪の代わりに雨ばかり降った。雨があがるたびに春のにおいが濃くなる。桜のつぼみ…

Kino@East Van Roasters on Carrall st._Feb.15th 10:57am

 日曜の朝。コーヒーとホットチョコレートをはさんで、昨日会ったばかりの男と向かい合ってい…

Norico@Bel Cafe on Georgia st._Jan. 20th 7:30a.m.

 ニューイヤーズイブが明けて3週間が経とうとしている。サンクスギビングから続いたホリデー…