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【ラテンアメリカ旅行 #20】🇧🇷ヴァカロ農園のサステイナブルな暮らし

広大なヴァカロ農園


● 全て手作りで生活する人たち

先日訪れたチャパダ・ディアマンティーナにあるJunkoというコミュニティのダビドが働くヴァカロ農園に友人のラファエルと向かうことになった。
この農園のオーナーはヴァカロ。農業、建築、コミュニティの形成などさまざまな研究を続けている。

農園には労働者たちの家があったり、目的別の小屋、レストラン(労働者たちの食堂)、カシャーサ蒸留所、広大な裏庭、コーヒーの焙煎所などもある。
もちろんセルフビルドなので水道光熱費はゼロ。
農園内の食べ物はほぼ全て農園の中でとれたもの。
農園の中でとれたものを外に売り、生活費だけでなく労働者たちの給料も十分に支払える。
時々、彼らの建てた家を売り出したり、技術や知識を学びたい外国人の受け入れも行っている。

● ヴァカロ農園の家の作り

ヴァカロの家に案内してもらって驚いたのが、外は暑く乾燥しているのだが家の中は涼しく程よい湿度が保たれている。そのためカビも生えにくい。
これはある微生物を混ぜた泥で固めた壁が呼吸しているため、外の天候に左右されず、ある一定の温度に保たれるからだそう。日中は太陽の熱をゆっくりと吸収し、夜になると放射するという。
また、壁は呼吸しているので二酸化炭素を放出し酸素を取り入れるため室内は常に新鮮な空気が循環している。臭いもない。
火事になっても燃えにくく、地震でヒビなどが入っても壁の中にいる微生物が割れ目から入ってきた酸素や水分によって活性化し、餌を食べて、炭酸カルシウムを生み出してその割れ目を埋めるのだそう。
この壁の作りは日本では一般的に使われているよ。ということで調べてみた。おそらく彼らが使っていたのは『漆喰(しっくい)』その漆喰に特殊なバクテリアを混ぜて、伸縮する細い有刺鉄線のようなものを耐震のために入れているのだそう。

● カシャーサ蒸留所

ヴァカロに農園内を車で案内してもらった。まずはカシャーサの蒸留所から。農園内でとれたサトウキビをこの蒸留所に持ってきて、絞るところから熟成、瓶詰め、配送までのプロセスを全てここで行う。

無駄に生えまくる竹を切って加熱の燃料にしている
蒸留機も自作
ウイスキーやワインの熟成のよう
熟成年月の違いで結構味が異なる
この農園で生産されたカシャーサの80%はヨーロッパ、特にオランダに輸出されている

● 農園内を探検

引き続き農園内を案内してもらうが、次々といろんなものが出てくる。
バナナ、アボカド、コーヒー豆、サトウキビなど畑、レストラン、建設現場、ヴィンテージカーのガレージ、修理工場など園内で不備があるとすれば、役所や病院くらいだと思う。

Junkoのダビドもここで建築を学びながら働いている
彼とヴァカロが農園内を案内してくれた
古く動かない車を修理して乗っている
中にはポンコツすぎて直せてない車もある
屋根の下でコーヒー豆を乾かしている

● 地形を利用して作った裏庭

ヴァカロが農園で暮らしていたり、遊びに来たりする子供達のために裏庭にある滝を利用して作ったというプールがある。
そして横を流れている川を登っていくと、全て歩いて回ると1時間以上はかかる複数のビューポイントがある。
ビューポイントも自分たちでできるだけ自然に手を加えないように切り開いて、足場が作られていた。

滝から流れてくる水を利用して子供達のために作ったプール
とてつもなく広く全部のビューポイントを周るのに30分以上かかる裏庭
農園の周りにはほとんど何もない
裏庭に流れる川

● 夜はヴァカロの奥さんの誕生日ディナー

園内を案内してもらった後、夜はヴァカロの奥さんの誕生日を町のピザ屋さんでお祝いすることになった。Junkoのメンバーやヴァカロ家の娘ちゃんたちと一緒に美味しいピザをいただいた。

ヴァカロは右奥で、その手前が奥さん、右手前がその二人の娘、他はJunkoのメンバー
すごくフレンドリーで日本にすごく興味を持ってくれていた娘ちゃん
かなり個性的で美味しいピザを焼いてくれる職人さん

小人の街にあるカフェ


● 小人の街に向かう

チャパダディアマンティーナにはとてもシャイで背の低い人たちが住む街が存在する。街の名前は思い出せないが、ラファエルが「小人の街と呼ばれる場所にコーヒーを飲みに行こう。」ということで、ラファエルの友人、ドゥドゥと一緒に街へ向かった。

街の小さなお店に入ると、地元のみなさんがコーヒーを飲みながら立ち話をしていたので、僕たちもコーヒーを一杯頼んで会話に参加した。
老若男女みんな小さくて可愛らしく、ちょっとアニメの世界みたいだった。

彼らはアジア人を見るのが初めてで不思議そうに色々な質問をしてくる。
「日本は大きな国なのか?」と聞かれ、「中国の方が全然大きいよ」と答えると「日本はそんなに小さな国だったのか?言葉は何語を喋るんだ?中国語か?」と言われたので「日本語だよ」と言うと「喋ってみてくれ」と言われたので少し喋った。
「中国語と何が違うのかわからないが不思議な言語だ」と言い笑っていた。
どうやら日本のことを何も知らないらしい。サンパウロには日系人がいるということだけは知っていた。

● 溢れる笑顔ご当地コーヒー

すごく急な坂に街ができていて、ずっと奥まで登っていくと、ラファエルが車を停め、「このバーの奥にカフェがあるらしいのでちょっとコーヒーを飲んでいこう」というのでバーの中に入り、奥へと進んだ。

店の入り口にはバーがあって奥にカフェが隠れている

カフェに入るとオーナーが地元のコーヒー農園の話や、これからのカフェの方向性などを説明してくれ、丁寧にコーヒーを淹れてくれた。
そのコーヒーは雑味が少なく、果実感があって深みもある絶妙なバランス感覚だった。コーヒーの専門家からすると普通のことかもしれないが、深煎りにしても雑味があまり出ないように焙煎しているのだそう。

ただ、この土地のコーヒー農園はまだ国内外からあまり開拓されていないようで、これからチャパダディアマンティーナ産コーヒーとしてブラジル国内外に広めていきたいのだという。
彼はサンパウロですでにカフェで働いた経験があり、焙煎の仕方まで熟知しているよう。フレンチプレス。ハンドドリップ。エアロプレスなど様々な淹れ方でオーダーすることも可能。
そしてパッケージングまでこだわっていて、これから数日間かけてサンパウロに営業しに行くのだそう。
*この街からサンパウロに出るだけで数日間かかるから大変。

彼がカフェのオーナー。この土地で採れたコーヒーをフレンチプレスで試飲させてくれた

しばらく彼と話した後は、記念写真を撮ってドゥドゥの知り合いの経営している家庭料理を提供してくれる食堂に向かった。

左の女性がラファエルの友人のドゥドゥ、僕らを案内してくれた笑いの絶えない明るい人

食堂で僕が何度もおかわりをして「本当に美味しい。心がこもっていて素晴らしいよ」と伝えると涙を浮かべて喜んでくれた。
みんなそうかもしれないが、旅行中の食べ物としては田舎の素朴な家庭料理、または手作り感を感じる料理が好きだ。田舎料理バンザイ。
ワインもボトルより、樽からそのまま注いでくれるものの方が好き。(酒はほぼ飲めないけどワインや日本酒の味は好き)
そして作り手の顔が見え、直接「ありがとう、美味しかった」と伝えることの大切さはいつどこにいても一緒だと思う。

今回はここまで。次回はチャパダディアマンティーナでトレッキング。とてつもない絶景に出会う。

最後に音楽紹介


エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)というブラジルのアラゴアス州出身の作曲家、マルチインストゥルメンタリスト。
僕にはとても語れないのでライブ映像で。

こちらは東京での公演

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