見出し画像

リサイクル瓦を使った手洗い鉢ができるまで~瓦を使った初めてのものづくりは試行錯誤の連続でした

こんにちは。
アルメタックス スタッフです。

今回は、手洗い鉢の開発ストーリーの第2回目です。

前回の記事では、どうしてアルミメーカーが「手洗い鉢」という陶磁器製品を作ることになったのか?
さらに、陶磁器製品を作るにあたり、「瓦」を材料に選んだ理由についてお話ししました。

その中で、当社のインテリアブランド「ALCOLOLO」のコンセプトや資源循環センターの取り組みなどについても解説。

当社のことが、より深くお分かりいただけたのではと思っています。

今回は、前回の続きで、手洗い鉢の材料を決めたものの、そもそも理想の商品ができるのか?
開発担当者へのヒアリングをもとに、開発の苦労話などのエピソードを公開します!

瓦を混ぜた陶土で手洗い鉢が作れるのか?未知の材料へのチャレンジ

初めての材料は分からないことばかり!

Q 材料が決まってからの開発は順調でしたか?

A 実は、材料に瓦を使うと決めてからがかなり大変でした

当然ですが、瓦を材料にした手洗い鉢を作るのは初めてのこと。

参考になるデータもなく、どうしたものかと、信楽窯業技術試験場に商品化の相談をしたところ、リサイクル瓦を含んだ製品の製作自体は技術的には可能とのこと。

ただ、喜んだのもつかの間、
瓦を混ぜることで、鉢の形に成形しその形をキープできるのか?
さらに、水まわりで使うため透水性、つまり水を通さずに手洗い鉢として使用できるのか?

また、陶芸体験などの経験がある方は分かると思うのですが、陶磁器は焼くと縮むなどさまざまな現象が起こります。

しかし、瓦が混ざっていることで、通常の陶磁器製作の常識が通用しないのです。
例えば、土に加える水分の量は?焼く際の窯の温度は?
など、すべて一から検証するのが大変でした。

リサイクル瓦を混ぜた陶土という、未知の材料で新商品を作るというチャレンジを決めたものの、私たちが理想とする手洗い鉢ができるのか?
信楽窯業技術試験場の皆さんと試行錯誤する日々が続きました。

ちなみに、信楽窯業技術試験場の訪問回数は、半年で21回
特に冬の信楽は氷点下になる日も多く、凍った川を眺めながら通ったのは今となってはいい思い出です。

Q 開発はどのように進めていったのですか?

A まずは、材料の配合などを決めることから始めました。

当初決まっていたのは、リサイクル瓦と陶土を使うことだけ

手洗い鉢にするには、瓦をどのくらい使えばいいのか?
瓦と一緒に混ぜる陶土(粘土)は、何を使うのがベストなのか?
手洗い鉢に適した、瓦と陶土の配合の割合は?などなど。

瓦を混ぜた材料を使うのは、初めてのことなので、誰も分かりません。
材料の詳細が決まるまでに、とても時間がかかりました。

Q 試作品で蕎麦猪口を作ったそうですが、何を検証したのですか?

A 主に検証したのは成形性と透水性です。

成形性に関しては、問題なく蕎麦猪口を作ることができクリア!

透水性に関しては、テスト開始後10分で底から水漏れが判明。
この問題は、水漏れ防止剤を塗ることで解決しました。

ただ、使う度に水がかかる手洗い鉢には、水を通さない耐水性も必要です。

瓦はそもそも吸水性が高い素材。
たくさんの水を含むことで鉢が劣化してしまう、水を含んだ生地が冬に凍結してしまうリスクを避けるため、瓦の量を減らす実験も行いました。

さらに、小さなタイル状のテストピースも作成。
釉薬の焼き上がり状況(色味や質感の確認)を検証するためのテストピースも作成。さまざまな観点から検証を行い、成形性・透水性・収縮率・意匠性の4つの問題をクリア!
やっとのことで、手洗い鉢に理想的な生地ができました。

Q 一番苦労した点は何ですか?

A 一番苦労したのは、商品コンセプトと意匠性の両立です。

スタイリッシュなALCOLOLOの商品

今回の商品は、「地球にやさしい」というコンセプトで商品を発信する「ALCOLOLO」ブランドの商品。

これまでお伝えしたとおり、環境配慮の取り組みの一環として、リサイクル瓦を材料にしたのはいいのですが、瓦ならではの問題がありました。

リサイクル瓦の表面に釉薬(ゆうやく)といわれる“うわぐすり”が塗ってあることで、焼成すると表面に、ポツポツと黒い点が大量に出てしまうのです。

ALCOLOLOのブランドイメージはシンプルモダン。
ブランドの世界観を保ちつつ、黒い点の出方を調整する必要がありました。

そこで、たどり着いたのが「化粧土(けしょうつち)」という仕上げ剤を使うこと。
生地である土の色を化粧土で調整することは、信楽焼で古くから行われている技法。

この技法を使って、黒いポツポツがおさえられないか検討してみることに。
その結果、仕上げの釉薬と化粧土の絶妙な組み合わせにより、黒点の数も減少。
ブランドコンセプトどおりの理想的なモダンな仕上がりになりました。

ついに、デザインの美しさと機能性を兼ね備えた、究極の手洗い鉢が誕生したのです!

現在は試作品の製作を終え、商品化に向けて量産の準備を進めています。
今年の秋には皆さんにお披露目できるので、楽しみにして下さいね。

材料からこだわった、美しい手洗い鉢を皆さんのお宅へお届けします!

今回は、手洗い鉢の開発レポートの第2弾として、材料の配合から成形、仕上げまでの試行錯誤をお伝えしました。

ものづくりは、いいものを作るのはもちろんですが、ブランドのコンセプトやデザインの統一性まで考えなくてはいけません。

さまざまな課題を1つ1つクリアして、ようやく商品化にこぎ着けるまでのプロセスを感じていただけましたでしょうか?

次回以降も販売までのさまざまなエピソードを紹介していきます。
引き続き、楽しんでいただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?