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「裏表がない」と「リバーシブル」は違う│裏表のない服 プランナーインタビュー vol.1 はな

コンプレックスに悩むのはやめにして、みんなが笑顔で暮らせる社会をめざしたい!そんな想いから生まれた、オールライト研究所のプロジェクト第1弾「裏表のない世界」。

今回から2回に渡り、「裏表のない服」のプランナーインタビューをお届けします。

裏も表も、前後もない。すべての着こなしが正解。そんな前例に捉われない服の開発には、前例のない苦労があった?!今回、Tシャツとボトムスを担当した、洋服プランナーの「はな」から、裏表のない話を聞いてきました。

プランナーはな フェリシモにて
商品のサンプルをみながら、お話を聞かせてもらいました

プランナー はな
2019年からフェリシモでカジュアル系の洋服や靴、バッグ等を企画。裏表のない世界プロジェクトでは、裏表前後ろのないTシャツとダブルガーゼパンツを担当。

これまで企画した服の中で一番大変だった

ー これまで服を企画されてきた中で一番大変だったそうですね

素敵で着やすいデザインやシルエットを目指すのは今回の企画でももちろんなのですが、(いつもの洋服をつくるときとかなり違って)裏表着用を可能にするために、本当に細部の仕様まで調整する必要があったところが難しかったですね。

Tシャツは素材を探すのにもちょっと苦労しました。カットソーにも編み方が色々あって裏側の組織が違うものとかもあったりして。

知識が余りなかったというのもあるんですけど、だいぶ序盤からつまずきました(笑)

実はだいぶ序盤からつまずいていたと明かす

ー 「裏も表も一緒」というのが売りですもんね

そうなんです、そういった服を作った人が周りにいなかったので、品質アドバイザーさんや、仕入れ先の担当さんと相談しまくって作ったという感じになります。

ー 最終的にはいい生地が見つかったんですね

そうなんです。ポンチというカットソー素材なんですけど、つるっとした風合いの素材で表と裏の見え方が結構近いんです。

ー 触った感じではもう分からないですね

良かったです(笑)

ー でも厳密にはちょっと違うんですね

少し違います。でも見え方が近いので「これにしよう!」と決めました。普通のトップスにもよく使われる素材でもあります。

ー 他にも難しかったところはありましたか?

素材は?縫い目は?値段は?と商品ができあがるまでの障害を考え出すと、きりがなくて。でも、考えていても仕方ないので、できることをかき集めて作ったという感じです(笑)

途中までは違うデザインだったけど...

 オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのない シルケット加工できれい見え ポケットTシャツの会の画像
©︎フェリシモ/ オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのない シルケット加工できれい見え ポケットTシャツの会

それと、実は途中までこのTシャツは全く違うデザインだったんです。完成形のTシャツは、縫い代倒しが見えない「折り伏せ」という縫製を採用しているのですが、途中までその折り伏せが生産上難しいということで、縫い目をあえてデザインとして見せる方向で進めていて。

縫い目をあえて見せるデザイン

その状態で、今回モニターとして参加していただいていた木戸さんや、大胡田さん大石さんご夫婦にも見ていただいていたのですがリアクションが余りよくなくて(苦笑)

これで本当にいいのか?と思って、チームや、改めて仕入れ先の担当さんに何度も相談して、ジャージやスポーツウェアなどに使われる伸縮性のある糸(ウーリー糸)を下糸に使用して、脇を折り伏せ縫いにすることで、縫い目が見えない仕様にすることにしたんです。

ー 粘り勝ちですね!パンツの企画の方はいかがでしたか?シルエットが特徴的ですよね

パンツって、前の生地と後ろの生地に分けると、お尻がある後ろ側の方が生地の分量が多くなるんです。なので、いわゆるベーシックなシルエットのパンツにすると前後着用できなくなるんですよね。

なので、裏表前後ろがないパンツとなると、股上が深いサルエルパンツとか、ボリュームパンツの間ぐらいの形になるのかなと考えました。他にもっとあるのかもしれないですけど、私の頭の中ではそれしか浮かばなかったです(笑)

まるっとしたシルエットがかわいいダブルガーゼパンツ

ー 生地はいかがでしょう?

このパンツに使用している綿100%のダブルガーゼは、私がいつも企画しているブランドで人気の素材なので、フェリシモのお客さまにも、フェリシモで初めてお買い物される方にも気に入ってもらいやすいのかなと思って選びました。

ー ゆったりしていて着心地が良さそうです。モニターインタビューでも好評だったようですね。

そうですね、裾もウエストもゴムで、足に当たる部分もないのでスポンと履いてもらうだけなので楽ちんなパンツになっていると思います。

ー Tシャツと比べると企画しやすかったですか?

そうですね、パンツは素材も仕様もなんとなくこんな感じにしたら良さそうかな?というビジョンが見えていたので、結構スムーズに進んで、この商品には余り手をかけていないですね(笑)

 オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのないまるっとダブルガーゼパンツ〈グリーン〉の画像
©︎フェリシモ/ オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのないまるっとダブルガーゼパンツ〈グリーン〉

ー ポケットを付ける付けない、という議論があったそうですね。

モニターをしてくださっていた木戸さんは、車椅子だと肘かけの部分にポケットが当たるから使わないし、座っても物が落ちてしまうと言ってくださったんです。でも、プロジェクトメンバーのご友人(全盲)の場合は、ポケットがあると便利だとおっしゃっていて。色んな意見があったんです。でも最後は、あれば便利ということで付けることにしました。

あとは、ウエストを紐仕様にすることも検討していましたが、裏表にしたときに紐がどちらかに出てしまうので厳密に「裏表がない」とは言えないなと(笑)紐仕様だと自分でサイズを調整できるというメリットがあるんですけど。

ー コンセプトを突き通したんですね。

「裏表がない」と「リバーシブル」は違う

ー 裏表のない服を作る中で、一番印象的だったことは何ですか?

ヒアリングの席で「裏表がない=リバーシブルではないよね」という話があり、それが一番印象的でした。リバーシブルも裏表、どちらも使える服ですけど、結局どちらかしか使わないよね、どちらかの面を表にして着ようとして間違えちゃうのがいやという話を聞いて。

普段の服の企画だと、表はベーシックなブラックで、裏はチェックみたいについつい価値を増やそうとしてしまうんですけど、見る人や立場によってはそれは価値ではないんだと新鮮な気づきがありました。

私自身は、洗濯するときは服を裏返して洗うとか、割と細かいことが苦じゃないタイプなので「裏表をひっくり返すことにストレスを感じている人がいるんだ」とか。でも暮らしの中で別の事にはストレスを感じることはあるので、そういうマイナスなことがなくなったら楽しいだろうなと思いました。

だから、この服を作ることで何かが大きく変わることがなくても、日々のストレスがちょこっとなくなってくれたらいいなと。

ー これから反響が届くのが楽しみですね。今日はありがとうございました。

プランナー「はな」が企画した商品はこちら

オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのない シルケット加工できれい見え ポケットTシャツの会
月1枚 ¥4,980(+10% ¥5,478)


オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのないまるっとダブルガーゼパンツ
1本 ¥5,980(+10% ¥6,578)

〈ブラック〉

〈グリーン〉