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「裏表のない世界」モニターインタビュー vol.1 木戸奏江さん

コンプレックスに悩むのはやめにして、みんなが自分の「弱さ」や「苦手」を生かせる社会づくりをめざしたい。
オールライト研究所のメンバーが手がけるプロジェクトの第1弾「裏表のない世界」から裏表のない服が誕生しました。もっと言えば前後もありません。

すべての着こなしが正解、そんな服をモニターさんに使っていただいて感想を聞いてきました。

最初のモニターさんは、企画当初からアドバイザーとして関わっていただいた木戸奏江さんです。

木戸奏江さん

10歳のときに徐々に全身の筋力が衰えてゆく進行性の難病「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー」と診断され、20歳からは電動車椅子に乗って生活。2021年の出産・産休を経て、2022年4月から仕事に復帰。

裏表のないお洋服、試着してみて、感想はいかがですか?

木戸さん)表裏関係ない、気にしなくていいっていうのは、さっき着てみて本当に大きな違いだなと思いました。服を裏返したり畳んだりっていうのはすごく難しいので、そのままパッと取って着れるっていうのはめちゃくちゃ楽ですね。私の脱ぎ方だと、トップスを脱ぐときに結構裏返しになっちゃうので、必ず元に戻さないといけなくて。

着るときも制限があるし、脱ぐときにも制限があるので。そういう面でもパッと取ってすぐ着れて、洗濯後もそのままで着れるっていうのがすごくありがたいと感じました。

フェリシモ東京オフィスにて

ボトムスでも靴下でも、裏返すっていうのはちょっと難しいってことなんでしょうか?

木戸さん)そうですね、何をするにも必要にも時間がかかるので出かけるまでのハードルが高いんですよね。

いつも着替えるのに、どれくらい時間がかかりますか?

木戸さん)服を取り出して、パジャマを脱いで、それなりに整えてっていうところを含めると20分くらいかかります。人の手を借りると5分、10分でできます。だいたい人の手を借りた時の2倍くらいかかるので。

まずは、トップスの着心地はいかがですか?

木戸さん)生地がつるっとしているのは、着やすいし脱ぎやすくていいなと思います。

裏表前後のないポケットTシャツ

ボトムスはつるっとは、していないんですが・・いかがでしたか?

木戸さん)ボトムスはトップスに比べて引っかかる感じはありましたが、ゆったりしているのが私にとっては結構大事なので、そこがいいところだなと思いました。

私はいつもあらかじめ座った状態で膝までボトムスを履き、手すりにつかまって立ち上がり、腰まで履きます。立っていられる時間が限られているので、ピチッとしていると左右がずれちゃったりとかしちゃうんですよね。でも、ゆったりしているので、それなりに着て座ってもそんなに違和感がない所がいいですね。

裏表前後ろのないまるっとダブルガーゼパンツ〈グリーン〉

障がい者向けの物を手に取ることに葛藤がある

この企画を聞いた時に、どう思われましたか?

木戸さん)元々服には困っていたので、ぜひ参加したいなと思いました。今まで障がい者向けの服ってよく見ましたし、オーダーメイドみたいな感じで障がい者向けと言われる服を作ってる人たちを何度か見かけてたんですよね。でも、私はそこまでではなくて。着づらいけど着れないわけではないし、オーダーメイドまでしてもらって着るほどお金をかけたくもないし。それでいて、ザ・障がい者向けとか、ザ・福祉介護みたいなニュアンスが出る服装もやっぱり嫌だったんですよね。

で、フェリシモさんと聞いた時に、手の届きやすい価格で、ザ・障がい者向けではなく、障がいのない人も使いやすい普遍的にオシャレだと思える服に仕上げてくださるんだなと思って。それがとても素敵だなと思いました。

期待してくださってすごくうれしいです!

木戸さん)本当にいいなと思ってます。あくまで、みんなが着やすい服を障がい者の声を出発点として作ってみようっていう位置付けがすごくいいなと思いました。

ありがとうございます(照)

人と違うってすごくコストがかかる

木戸さん)この裏表のない服は、マイノリティの声を聞いてマジョリティにも使いやすい物を開発するという、その構図に魅力があるかなと感じています。

私は以前から、作品には相手にされるけど製品には相手にされてこなかったと思っていました(編集注:「作品=一点もの」「製品=大量生産されるもの」)

そう感じられているんですね。

木戸さん)はい、やっぱり製品として収益をあげないといけないというところで除外されてきたのが一般的にマイノリティだなと。今後はマイノリティ向けに何かを作るというよりも、製品に組み込んでいくっていう動きが大事だろうなと思っています。

誰かの気づきから、確かに私もそれ欲しかった!みたいなことってありますもんね。

木戸さん)私、ハンドソープのポンプが押せないんですね。2014年くらいから腕が動かしづらくなって、ポンプが押せなくなったんですよ。だから手をかざして自動で出てくるハンドソープをその頃から家庭用に購入して使っていたんです。

今ではよくありますが、2014年からは早いですね。

木戸さん)それで、コロナ禍になって何が起こったかっていうと、製品がめちゃくちゃ使いやすくなったんです。コロナが始まる2020年くらいまで何も進化しなかった物が、コロナ禍でみんなが使うようになったらどんどん便利になっていって。

たくさんの人が使うようになったら進化する、ということを実感されてきたんですね。

木戸さん)開発コストをかけてくれるようになったっていう、その感覚がすごい大きいですね。ハンドソープの話でいうと面白かったのは、私が自動のハンドソープを使うようになって、夫が「これめっちゃ便利やん」ってなって(笑)夫が勝手にもっと良いものに買い替えてくれたんです。

私の障害が起点となって(健常者の)夫がその利便性に気づき、さらに利便性を向上させたいという動きになったというわけで、やっぱり、みんなで使うっていうのがすごく大事だなと実感しました。

すごくよく分かります。私は足が大きいんですよ。若い時、20年くらい前とかだと25の靴って本当になくて。でも、日本人の発育が良くなって最近は25の靴が簡単に手に入るようになりました。

木戸さん)人と違うってすごいコストがかかりますよね。

最近握力が落ちてきて、ペットボトルが開けられなくなった木戸さんの必需品の一つ。
このペットボトルオープナーを家と会社に置いているそうです。100円で手に入れられるのは製品として作られているから。

周りの方でこの服を勧めたい方はいらっしゃいますか?なぜかというと、その人の困りごとって木戸さんとまたちょっと違ったりするのかなと思いまして。

木戸さん)いますね、同じ病気でも困っていることが人によって違うことはあると思いますよ。うちの夫でさえ、服をたまに裏表に着てたりする位なので(笑)

(笑)ここまでたくさんお話しを聞けて楽しかったです。本当にこの服を製品として売っていきたいので、ぜひ一緒に拡散もよろしくお願いします。

木戸さん)はい、微力ですが。

木戸さん、今回はモニターインタビュー、ありがとうございました!

木戸さんにモニターしていただいた商品はこちら

オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのない シルケット加工できれい見え ポケットTシャツの会

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月1枚 ¥4,980(+10% ¥5,478)


オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのないまるっとダブルガーゼパンツ

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1本 ¥5,980(+10% ¥6,578)

〈ブラック〉

〈グリーン〉


オールライト研究所 みんなにやさしくかっこいい 裏表前後ろのないすっきりフィット靴下の会

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月1足 ¥1,900(+10% ¥2,090)

〈ネイビー〉

〈グレー〉