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“書評のすごさ”に魅せられて ALL REVIEWSメルマガ巻頭言特別編 vol.4

多くの皆様にご愛読いただいております、ALL REVIEWSメールマガジン。とうとうこの5月に、100号を発行することができました。これもひとえに毎週購読いただいている皆様のおかげです。改めて心より御礼申し上げます。

さて、このメールマガジンの巻頭には、必ず本にまつわる巻頭言が記されています。この巻頭言を執筆しているのは、ALL REVIEWSのファンクラブ「ALL REVIEWS友の会」の有志メンバー。執筆メンバーのことを知れば、よりメールマガジンも楽しんでいただけるのではないかと思い、100号発行を記念して巻頭言執筆メンバーのご紹介インタビューをお送りします。

第4回は、朋さんです。

聞き手:やすだともこ(ALL REVIEWS友の会)

シャーロック・ホームズ像に「明美」…

ーーまずはお差し支えない範囲で、自己紹介をお願いします。

朋:ALL REVIEWS友の会の一期生です。本と同じぐらい映画が好きで、読む映画、ともいえるパンフレットの魅力を伝える団体「映画パンフは宇宙だ!」で活動しています。

ーーパンフレットは読む映画、ってなるほど! ペンネームの由来はいかがでしょう?

朋:ペンネームは単純に名前の一字をとりました。フルネームは「朋美」ですが、子どものころは「明美」と間違えられることが多く…高校生のころなけなしのお小遣いをはたいてシャーロック・ホームズ像の建立に寄附して名前を刻んでもらったのですが、残念ながら「明美」と記されています…。

ーー朋さんは、実は熱いシャーロキアンでもあるんですよね。頑張ったのに「明美」さんとは…(涙)

※シャーロキアン
アーサー・コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズシリーズ」のシャーロック・ホームズの熱狂的なファンのこと

おつき合いで読んだ書評に衝撃を受ける

ーー気を取り直して…朋さんはなぜ巻頭言執筆メンバーに手を上げたのですか?

朋:実はALL REVIEWS友の会に入るまで、書評というものを読んだことがほとんどありませんでした。本を買ったり借りたりするときは、いつも自分の好きなジャンルから。

ーーどうしてもまずは好きなところから攻めてしまいますよね。

あるとき友人がサイエンス系フィクションの書評を書いたんですが、私がふだん手にしないジャンルの本だったので、正直なところ「おつき合い」で読んでみたんです。これがとても面白く、まんまとその本を買ってしまいました。書評、すごい…!と思いました。

※朋さんが衝撃を受けた吉川浩満さんの書評はこちら

ーーわかりますー。気づいたら本を手に取ってました、っていう書評ありますよね! 

本好きでそれなりに読んできた自分にとっては、大げさなようですが、衝撃的な出来事で、そこから書評に興味を持ち始めました。

もちろんこの優れたプロの書き手である友人のようには書けないにしても、自分の興味を広げる意味も兼ねて、本の紹介をしてみたいと思いました。

ーー巻頭言で取り上げる本の候補は、いつごろ、どうやって決めていますか?

朋:小学生のころ夏休みに出ていた「毎日の天気と温度を記録する」みたいな宿題を8月の終わりにまとめてやる魂は百まで…土曜になると「そろそろやらないとな」とエンジンがかかります。

ーーわかります、それ…。同じく8月末に天気を記録する派(笑)書き始めるのは何曜日くらいですか?

朋:日曜の夜から月曜の朝にかけて。書き始めが浮かんだ瞬間にすかさず取り掛かります。

ーーすかさず! かっこいい! 巻頭言ではどんなテーマ、ジャンルを取り上げることが多いですか?

朋:海外文学が好きなので、実際に読んだ、あるいは読んでいるものを取り上げる場合はそのジャンルが圧倒的に多いです。最近はノンフィクションも手にするようになりましたが、今はフェミニズム系のものに関心があって、これから読むぞ!の意思表明として紹介することもあります。

※朋さんがこれまでに巻頭言で取り上げた本


ーー巻頭言を書くときは、どのような読者を想定されていますか?

朋:一方的に書き散らして終わり…なので、逆にどんな方が読んでいるのか、ぜひ知りたいです!

ーー原稿作成時に心がけていることはありますか?

朋:誤字脱字をしない、固有名詞を間違えない…それでもやってしまうことがあり、メンバーからの校正はとても助かっています。

ーー「プ」と「ブ」とか、デバイス上だと見間違えたりしますよね…。本当に、メンバーからの校正で助かった!となることが多いです! 

本好きのきっかけは子ども向け伝記の『キリスト』

ーーもし、なんでも書いていいといわれたら何を書きますか?

朋:本にまつわる私的な思い出を書き綴ってしまいそうです。本の主人公に恋して作家の方あてにバレンタインデーにチョコレートを贈ったりしたこととか(泡坂妻夫さんが創作された「亜愛一郎」さんへ。ホワイトデーにはご丁寧にお返しを送ってくださいました)、中学校のとき図書委員になり勝手に図書壁新聞をつくって教室に貼ったりしていたこととか。

※朋さんが恋した「亜愛一郎」が登場する作品はこちら


ーーそれ、ものすごく読んでみたい! 勝手に図書壁新聞、多感な中学生時代、とんがってましたね(笑)さて、朋さんが本好きになったきっかけは何ですか?

朋:物心つく前から両親が読みきかせをしてくれたことが一因かもしれません。裕福な家ではなかったですが、当時でかなり高価だった百科事典を2セットそろえてくれたり、出張の多かった父が喜ぶというのもあってお土産に本をリクエストしていました。

これはお土産に困った父が本を買ってきたことから始まったのですが、その最初の一冊がポプラ社の伝記シリーズの『キリスト』でした。うちは父方は神道、母方は仏教…というか、盆や葬式以外で宗教を意識することのない生活だったのに、そして、シリーズの1巻目でもなかったのになぜ『キリスト』だったのかは今も謎です。

たぶん小学校に上がる前に読んだと記憶していますが、「キリストの足をマグダラのマリアが髪に香油をつけて洗う」場面が出てきて、香油とは何か、髪につけて洗うとはどういうことなのか…初めてのカルチャーショックだったと思います。

※朋さんが読んだ子ども向け伝記シリーズは、当時ハードカバーの単行本でしたが、現在では文庫化されています。


ーー小学校に上がる前に、『キリスト』って早いですね。字を読めるようになって、いきなり『キリスト』の伝記とは、スタートダッシュが早いかも!
本好きであることが人生に影響を及ぼしたことはありますか?

朋:まず、早い段階で目が悪くなりました。小学生までは夜8時に寝かされていたのですが、どうしても本が読みたくて、布団をかぶって懐中電灯で照らしながら読んだり、カーテンの向こうに頭とスタンドだけ出して読んでいたりしたので。

今、深刻なのは既読、積ん読を含めた本の山です。これ以上ふやすと同居人に本気で怒られるのでなんとかしないと…。

ーーいろいろ同じく、すぎます…。豆球の明かりで本を読んだり。好きな書評家さんがいれば、教えていただけますか?

朋:杉江松恋さんが薦めるミステリは必ず読みます。


ーーところで、朋さんご自身も執筆に取り組まれていたりしますか?

朋:「映画パンフは宇宙だ!」のウェブサイトで、持ち回りで映画のレビューを書いています。試写で観た新作を紹介することが多いですが、とことん趣味に走って好きな作品について書くこともあります。

翻訳に興味があり、進めているプロジェクトがあります。名著といわれながら邦訳されていない映画関連の本を一冊でも多く紹介する…というのが野望です。まだ勉強中の身なのでたいそうなことは言えないのですが、夢は大きく!

ーー夢は大きく! 良いですね!! 映画と本、両分野での「紹介」、今後も楽しみにしています。どうもありがとうございました!

このインタビューシリーズ、まだまだ続きます。お楽しみに。
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【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
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友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。2020年以降はオンライン配信イベントにより力をいれています。
さらに、Twitter文学賞の志を継承した「みんなのつぶやき文学賞」では、友の会会員有志が運営にボランティアとして協力。若手書評家と一緒に賞を作り上げていく過程を楽しみました。
2021年2月には、鹿島茂さんとの対談6本をまとめた『この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ』が祥伝社より刊行されています。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。


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