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ALL REVIEWS 書評アクセスランキングTOP 30(2019年10月)

書評アーカイブサイト「ALL REVIEWS」に掲載された書評の中で、2019年10月中に、最もアクセスの多かったレビュー(解説やあとがきなど含む)をご紹介します。
10月は、今年のノーベル文学賞を受賞したペーター・ハントケと、オルガ・トカルチュクの作品の書評、同じくノーベル文学賞関連で、渡辺 由佳里さんによるカズオ・イシグロのコラム、俵万智さんによる村上春樹作品の書評がランクインしました。
また、イラストレーターの和田誠さんが10月7日に逝去され、和田さんの著作『倫敦巴里』の鼎談書評が注目を集めました。この鼎談書評は、丸谷才一、木村尚三郎、山崎正和の三氏による文藝春秋掲載の対談で、ここで言及される政治家や文化人の名前は、1970年代末の空気を今に伝えています。

§ 1位~10位

▽1位:『幸せではないが、もういい』(同学社) - 著者:ペーター・ハントケ 翻訳:元吉 瑞枝 - 豊崎 由美による書評

ドイツ語圏における最も重要な現代作家の一人、ハントケが、五一歳の若さで自殺した母親について書いた内省的な文学作品。

▽2位:『もう通勤電車で下痢にならない! すべてのお腹弱い系を救う40の方法』(祥伝社) - 著者:松生 恒夫によるプロローグ

毎朝、駅のトイレで“ギリギリの闘い”をしないため。

▽3位:『美智子皇后の真実』(幻冬舎) - 著者:工藤 美代子 - 猪瀬 直樹による解説

『王は潜在的なスケープゴート』、皇太子妃が負った宿命。

▽4位:『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』(筑摩書房) - 翻訳:植木 朝子 - 俵 万智による解説

歌を唄っていた人たちの声が聞こえるところまで、私たちを連れていってくれる――そんな本だ。

▽5位:『日本国の正体 「異国の眼」で見た真実の歴史』(毎日新聞出版) - 著者:孫崎 享 - 孫崎 享による前書き

『えっ、そんな国だったの?』孫崎享・元外務省情報局長が分析する『日本の正体』

▽6位:『倫敦巴里』和田誠|丸谷才一+木村尚三郎+山崎正和の読書鼎談(1/2) - 丸谷 才一による対談・鼎談

▽7位:『ぶたのたね』(絵本館) - 著者:佐々木 マキ - 俵 万智による書評

常識で硬くなった心に揺さぶりをかけてくる。なるほど、これがナンセンスというものの力か。

▽8位:アニエス・ポワリエ『パリ左岸 1940-50年』(白水社)、シャルル・バルバラ『蝶を飼う男 シャルル・バルバラ幻想作品集』(国書刊行会) - 鹿島 茂による読書日記

今年一番の収穫。パリ左岸文化と実存主義。

▽9位:カズオ・イシグロの「信頼できない語り手」とは - 渡辺 由佳里によるコラム

社会的、政治的な選択ではなく正統派の作家イシグロがノーベル文学賞を受賞したことには、大きな意味がある。

▽10位:『レンマ学』(講談社) - 著者:中沢 新一 - 中村 桂子による書評

生きものである人間を知る学問。二十一世紀の科学へ刺激的な提言。

§ 11位~20位

▽11位:『昼の家、夜の家』(白水社) - 著者:オルガ・トカルチュク 翻訳:小椋 彩 - 沼野 充義による書評

ノーベル文学賞受賞! 菜食主義のフェミニスト作家による傑作『キノコ』小説。

▽12位:『Pythonによるプログラミング入門 東京大学教養学部テキスト: アルゴリズムと情報科学の基礎を学ぶ』(東京大学出版会) - 著者:森畑 明昌 - 森畑 明昌による前書き

現代社会をよりよく生き抜くためのプログラミング入門。

▽13位:『失われた時を求めて』(集英社) - 著者:マルセル・プルースト 翻訳:鈴木道彦 編集:鈴木道彦 - 鹿島 茂による書評

不惑の年齢を過ぎ、《失われた時》が多くなった中年以上の人間にこそふさわしい書物。

▽14位:『ブック・カーニヴァル』(自由國民社) - 著者:高山 宏 - 沼野 充義による書評

けたはずれの規模の本。書物と書物の意外な結びつきが生んだ"壮大な宇宙"。

▽15位:『牛車で行こう!: 平安貴族と乗り物文化』(吉川弘文館) - 著者:京樂 真帆子 - 橋本 麻里による書評

源氏物語のあの場面が。平安京に迷い込んだかのような臨場感。さあ、牛車に乗ろう!

▽16位:『レス』(早川書房) - 著者:アンドリュー・ショーン・グリア 翻訳:上岡 伸雄 - 鴻巣 友季子による書評

快挙、快作、快訳と、三拍子そろった名著。

▽17位:『東大名誉教授がおしえる やばい世界史』(ダイヤモンド社) - 著者:滝乃 みわこ - 本郷 和人による書評

歴史を創るも変えるも一人一人の人間しだい。

▽18位:『飛族』(文藝春秋) - 著者:村田 喜代子 - 池内 紀による書評

目を輝かせて読んだ。そしてこういう作家を同時代にもつことのしあわせを思った。

▽19位:『聖書 聖書協会共同訳 旧約聖書続編付き 引照・注付き』(日本聖書協会) - 著者:日本聖書協会 - 橋爪 大三郎による書評

31年ぶりに訳し直された『聖書』。細かな改善あり、新訳を歓迎したい。

▽20位:『国境の南、太陽の西』(講談社) - 著者:村上 春樹 - 俵 万智による書評

ほどほどの屈折と、ほどほどの挫折と、ほどほどの幸福と。

§ 21位~30位

▽21位:『戦後史の正体』(創元社) - 著者:孫崎 享 - 永江 朗による書評

対米関係を補助線にした戦後史。米国からの圧力とは何か。規制緩和や市場開放の要求のことか?

▽22位:『新版 においの歴史―嗅覚と社会的想像力』(藤原書店) - 著者:アラン・コルバン 翻訳:山田 登世子,鹿島 茂 - 鹿島 茂による書評

「体臭を隠すために香水が普及した」という俗論を信じている人にぜひ一読することをお勧めしたい。

▽23位:『デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する』(早川書房) - 著者:カル・ニューポート 翻訳:池田 真紀子 - 佐々木 典士による解説

スマホやめますか、それとも人間やめますか? デジタル・ミニマリストのすすめ。

▽24位:『生きづらさについて考える』(毎日新聞出版) - 著者:内田 樹 - 内田 樹による内容紹介

時代がどうあれ 生き延びてゆくためのウチダ流哲学。

▽25位:『トランスジェンダーの私がボクサーになるまで』(毎日新聞出版) - 著者:トーマス・ページ・マクビー 翻訳:小林 玲子 - トーマス・ページ・マクビーによる内容紹介

トランスジェンダーのジャーナリストが、身をもって経験した 「男らしさ」の意味とは?

▽26位:『新人文感覚1 風神の袋』(羽鳥書店) - 著者:高山 宏 - 沼野 充義による書評

どこからどう入っても知的興奮を味わうことができる、途方もない規模の本。

▽27位:『エレベーター』(早川書房) - 著者:ジェイソン・レナルズ 翻訳:青木 千鶴 - 晋平太による内容紹介

全米が驚愕した新しい読書体験!斬新な文体で描かれる現代アメリカ社会の問題とは。

▽28位:『脱・筋トレ思考』(ミシマ社) - 著者:平尾 剛 - 武田 砂鉄による書評

シンプルな方法で解決を図る考え方を『筋トレ主義』と名付け、そこから脱け出す方法を画策。

▽29位:『ナチス 破壊の経済――1923-1945』(みすず書房) - 著者:アダム・トゥーズ 翻訳:山形 浩生,森本 正史 - 山形 浩生による訳者あとがき

通俗的なナチス史理解をほぼ根こそぎひっくり返す大著。

▽30位:『シンセミア』(講談社) - 著者:阿部 和重 - 豊崎 由美による書評

問題作はいつだって面白いんである。
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