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コーヒーマイスターが見つけたお茶の真の価値とは?

こんにちは!
ALL GREEN代表の吉原慶太です。

私はウィスキーやビール、缶コーヒーやペットボトルのお茶なんかで知られている飲料会社の社内起業家です。

社内でのイントレプレナー育成コンテストの第一期合格生として、2023年の10月から社外に飛び出し、「お茶」での起業に挑戦しています。

このnoteではわたしの悪戦苦闘を備忘録代わりに紹介していこうと思います。
どうぞお付き合いください!

善光寺にて成功祈願

前回までのおさらい

元々コーヒーの専門家だった私は、お茶のシーズ技術の企画提案業務を担当することに。
そこで、シングルオリジン・ティーと出会いました。
「シングルオリジン・ティーを活かす技術開発こそが、自分たちの使命では?」
と思うようになりました。

「丸ごと飲める」のがお茶の価値だ!

シングルオリジン・ティーをシングルオリジン・コーヒーのように高く買ってもらうにはどうしたらよいか?
そうした命題に悩み続けたある日。

消費者インタビューの中から、その答えを見つけました。
それが、「丸ごと飲むお茶」だったんです。

「おいしいお茶」「便利なお茶」「きれいなお茶」…
さまざまなお茶の商品像を消費者の方々にみせ、反応を見続けた結果。
消費者が最も反応したのは、「丸ごと飲むお茶」でした。

お茶っ葉はコーヒーと違い、お茶っ葉を丸ごと飲むことで、栄養も丸ごと摂取できる
この「丸ごと飲める」という特性こそ、コーヒーにはない特有の価値であり、消費者の方々にも共通して喜ばれる最大の価値とわかったのです。

そして、おいしい茶飲料の開発を通して、シングルオリジン・ティーは丸ごと飲んでもおいしい!ということは既にわかっていました。

「丸ごと飲める」というお茶の特性を生かす技術を生み出すことこそが、私たちの取り組むべき課題ではないかと私は思いはじめました。

こっそり開発!溶けるお茶

丸ごと飲めるお茶と言えば、「粉末茶」という商品があります。
これはお茶っ葉を細かく砕いた製品で、回転寿司屋さんなどで見かけますよね。

しかしこの粉末茶は、実は殆ど普及していません。
ペットボトル茶の市場と比較すると、おそらく1/1000くらいの市場規模でしょうか。

この理由の根源は、「溶けにくい」からです。

実は粉にしたお茶は細かくすればするほど溶けにくいんです
表面張力で凝集し、いわゆるダマになってしまいます。
その性質のため、お湯にも簡単には溶けにくいですし、冷水だともう最悪。簡単には溶けません。
茶筅のような専用の器具で力強くかき混ぜないと、きれいに溶かすことは困難です。

粉末茶はぜんぜん溶けない!

かといって粉を粗くするとザラザラしてむせるような食感になってしまい、どんなに良い茶葉を使ってもおいしいとは言いづらい製品になってしまいます。

また、粉を溶けやすくする「造粒」という技術もあるのですが、これはこれで熱をかける必要があるので、お茶のおいしさや栄養を著しく損ねてしまうという大問題があります。

世の中の課題を解決することこそが、エンジニアの使命。
この「溶けにくさ」という課題を解決し、シングルオリジン・ティーをおいしく便利に飲む技術を作り上げてやる。
そう思い、企画提案という本業の傍ら、慣れない粉末の技術開発に取り組みました。

溶けやすさの実現に苦労…

完成!ソリュブル・リーフ

「既存の粉末技術では微改善しかできない。新しい領域に挑戦すべきだ!

そう思った私は、チームでもまだ取り組んだことがない、低温での乾燥技術に挑戦しました。

熱をかけないので、おいしさも栄養もそこなわない。でも、水にもお湯にも丸ごと「溶ける」お茶を実現したい。
本業の企画提案業務の合間に、志を共にする社内の有志メンバーや快く協力してくれる委託先メーカー様と開発に取り組む日々。
ついにそのお茶は完成しました。

既存の粉末茶と違い、粉が風に舞ったりもしない、大きい顆粒のタイプのお茶。
それなのに、水にもお湯にもさっと溶ける、魔法のようなお茶が完成しました。

さらにおどろくことに、おいしさと栄養を追求したその顆粒は、偶然にもお茶っぱそっくりのカタチになったのです!

私はこの顆粒を溶けるお茶を、「ソリュブル・リーフ」(溶けるお茶っぱ)と名付けることにしました。

ソリュブル・リーフ
お湯にも水にもさっと溶ける

大企業あるある!所属部署や既存事業のしがらみ

日本全国のシングルオリジン・ティーをソリュブル・リーフにすれば、丸ごと栄養を摂れるという「健康価値」をベースにしたうえで、奥深い日本茶の世界という「嗜好価値」も楽しめる。
この技術を活かして、お茶を丸ごと飲むという飲み方を、新しいお茶文化まで昇華させたい!

そう意気込んだものの、ソリュブル・リーフに対する上司達の反応はイマイチでした。

何故なら上司達が世に出したいのは、自分たちが長年開発してきた「安い茶葉からおいしい茶飲料を作る」技術。
私を異動させたのも、新規技術を開発してほしかったからではなく、自分たちが開発した技術を活かす企画を作ってほしかったからですし。

また、問題は部署の上司達だけではありません。
そもそも私の勤めている会社は、瓶・缶・ペットボトルなど、容器詰め飲料を販売するのが主業務。
ソリュブル・リーフのようなドライタイプのお茶、しかもシングルオリジン・ティーのような高価格な嗜好飲料を扱う事業がありませんでした。

「この新しい茶文化を、ビジネスにする手段はないのか…」

そう悩んでいたとき、さらなる転機が訪れました。

それが、偶然にも時を同じくして始まった「FRONTIER DOJO」という全社を挙げたイントレプレナー・コンテストでした。

起業に挑戦しよう。FRONTIER DOJOとは!?

大企業あるあるですが、会社が大きくなればなるほど既存事業と違った新事業を始めることは難しくなっていきます。

ご多分にもれず、私の会社でも新事業の創出や、新事業を創出するイントレプレナーの発掘・育成に悩んでいました。

そこで2021年末より、スタートアップ育成のプロである㈱ゼロワンブースターと協力し、「FRONTIER DOJO」という全社を挙げたイントレプレナー発掘・育成プログラムを開始したのです。

国内外のグループ会社から、酒類・清涼飲料・健康食品といったあらゆる事業分野において、営業担当から研究開発者まで職務を問わず、ありとあらゆる提案が殺到。
初回にも関わらず、およそ300名もの立候補が集まりました。

これをチャンスと思った私も、すぐさまこの「FRONTIER DOJO」に応募。
本業の傍ら、数か月にわたる育成プログラム・審査に参加し、幸運にも第一期合格者となることができました!

SAAIで挑戦!新しいお茶文化の創出

合格者となった私は、スタートアップアクセラレーターの㈱ゼロワンブースターに出向し、既存事業の枠に縛られない環境で、お茶の新文化創出のための新ブランド「ALL GREEN」の立ち上げに挑戦しています。

このゼロワンブースターは「日本を事業創造できる国にして、世界を変える」をMissionにして活動を続ける、高い志と熱量をもった人たちの集まり。
日本を起業家にあふれる国にする第一歩として、起業家向けのシェアオフィス「SAAI」を運営していて、私もそこを活動の場としています。

ただのシェアオフィスとは違い、個人の起業家から大企業のイントレプレナーまで様々な起業家が集まる場、SAAI。
それぞれが起業を通じて、さまざまな社会課題に挑戦しています。

私もこの場で切磋琢磨しながら、「シングルオリジン・ティーを丸ごと飲む」という新しい茶文化を作ることに挑戦しています。
そして、日本の誇る「お茶」というコンテンツの未来を守っていきたいと思います!

シェアオフィス「SAAI」

消費者調査よりプレトタイピングが面白い!?(次回)

自己紹介が2回に分かれてしまうとは…間に長文で失礼しました!

次回はスタートアップでの学びを紹介していきたいと思います。

ALL GREEN代表 吉原慶太

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