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コーヒーマイスターがシングルオリジン・ティーと出会うまで

こんにちは!
ALL GREEN代表の吉原慶太です。

私はウィスキーやビール、缶コーヒーやペットボトルのお茶なんかで知られている飲料会社の社内起業家です。

社内でのイントレプレナー育成コンテストの第一期合格生として、2022年の10月から社外に飛び出し、「お茶」での起業に挑戦しています。

このnoteではわたしの悪戦苦闘を備忘録代わりに紹介していこうと思います。
どうぞお付き合いください!

自己紹介とこれまでのキャリア

実は私は、日本に500人程しかいないアドバンスド・コーヒーマイスターの1人です。
お茶と出会う前は、もともとはコーヒーの専門家でした。

コーヒーの専門家だった私がなぜお茶の起業を目指したのか、この記事ではそれを紹介します。

機材屋×シングルオリジン・コーヒー

当時、飲料業界ではNESTLE社の「ネスプレッソ」というコーヒー家電や、セブンイレブンがヒットさせた「コンビニコーヒー」が話題でした。
これらはペットボトルや缶の飲料を作っている飲料会社からすると、大きな脅威。

「これからの飲料ビジネスは機材が主役になるのでは?」

そうした思いを受けたのか、社内初の飲料機材を開発する部署が新設。私はそこのメカニカル・エンジニア、通称:機材屋でした。

ひとことで飲料機材といっても、ウォーターサーバー、ビールサーバー、コーヒーサーバーと、扱う飲み物はさまざま。
水の衛生管理の仕方、ビールの泡をなめらかにする知識、コーヒーの最適な抽出温度など、幅広い飲み物の知識が要求されます。
機材設計の技術だけでなく、さまざまな飲み物についての知見が必要な職場でした。

その過程で、私はシングルオリジン・コーヒーと出会ったのです。

ワインのようなベリー系の香りとフルーティな酸味があるエチオピアのコーヒー。
反対に酸味がほとんどなく、ナッツのような香りが万人に受けるブラジル・コーヒー。

それは様々な産地や製法によって生み出される、奥深い嗜好の世界でした。

元々のめりこみやすい性格の私は、コーヒーマイスターの資格取得。気づけばさらに上位資格のアドバンスド・コーヒーマイスターになっていました。

さらにはものづくりの特技を生かし、妻と一緒にオリジナルコーヒー器具のブランド、「codget」を立ち上げ。
ドリルドライバーで手動コーヒーミルを回すためのアダプター、コーヒーミルの粒度均一化スタビライザー、マキネッタの微粉を取り除くステンレスフィルターなど、コーヒー・ギーク向けの超超マニア向け器具を海外や日本で販売していました。
今も売っていますので興味ある方はどうぞ!
「codget」のヤフーショッピングの販売ページ

完全にコーヒー沼にはまっていました!

ドリルドライバー用 コーヒーミルアダプター 五角穴 CMAD-P1
ハリオコーヒーミル用 粒度均一化プレート CMMU-H1
マキネッタ用 ステンレスシルキーフィルター SSFー57

シングルオリジン・ティーとの出会い

そんな折、転機が訪れました。

機材屋から一転、畑違いの茶飲料の研究開発部署に異動となったのです。

その部署は、商品そのものではなく商品に使われるシーズ技術を開発する部署。
何年間も茶飲料のためのシーズ技術を開発していたのですが、せっかく開発した技術をグループの事業会社に使ってもらえずに悩んでいました。

さまざまな飲料機材の開発を通して、私にはグループ内の多くの事業会社との付き合いがありました。その経験を買われ、茶飲料のシーズ技術を使ったビジネスの企画提案を担当することになったのです。

そして担当したシーズ技術とは、世界一おいしい日本茶飲料を作る技術
詳細は話せませんが、ペットボトルや缶の飲料では実現できない様々な日本茶を、安価な原料から再現する技術でした。
安価な原料から作るので、高級な日本茶を原料にするよりはちょっぴり安くおいしい茶飲料が作れる。しかし、新技術を使っているため、既存の茶飲料の相場よりは随分高くなってしまう、というジレンマをもった技術でした。

その開発チームでは、日本各地のシングルオリジン・ティーのサンプルを試飲する機会に恵まれました。

「日本茶ってこんなにも色々なおいしさがあるんだ…」

当時、コーヒーの世界しか知らなかった私には衝撃的でした。

世界中に産地があるコーヒーと違って、当たり前ですがシングルオリジンの日本茶は日本が産地。
にもかかわらず、各都道府県での育て方、品種、加工方法によって非常に幅広い香味を持っています。

こんなに身近に、日本という小さい国の中に、奥深い嗜好品の世界がある。
その事実に私は一人の日本人として誇らしくさえ感じたのです。

シングルオリジン・ティーを売る技術こそが必要なんだ

しかしながら、シーズ技術の企画提案は思うように進まず。

いくらおいしくても、消費者の中には「お茶は安いもの」という意識は根強いものでした。
そこが、高くても買ってもらえるスペシャルティ・コーヒー業界との大きな違い。
「おいしいが高価な茶飲料」が売れる確信は得られませんでした。

したがって提案先のグループ内の事業会社にも企画は通らず。
チームも私も悩む日々が続きました。

そしてそもそも、「おいしい」の源流であるシングルオリジン・ティーすら売れておらず、茶農家の方々が生活に困っていることも分かってきました。
それで茶業界自体が縮小しているという深刻な事態も。

「茶業界に必要なのは、安い茶葉からおいしいお茶を作る技術でなく、シングルオリジン・ティーをもっと高付加価値で売るための技術じゃないだろうか?」

私の意識は徐々に変わっていきました。

「丸ごと溶けるお茶っぱ」?ソリュブル・リーフで起業を目指せ!(次回)

自己紹介が2回に分かれてしまいました。長文で失礼!

次回はスタートアップでの学びを紹介していきたいと思います。

ALL GREEN代表 吉原慶太


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