マガジンのカバー画像

57
運営しているクリエイター

#フリー朗読台本

宝箱

宝箱

昨日、君の宝箱を見つけたんだ。
指輪と手紙、そんなものを想像していた。
だけど、中に入ってたのは日記帳だけだった。
僕が知らなかった君の苦しみが記されていた。
走り書きで所々判別できないが、
最後のページにはありがとうじゃなく、
「ごめんなさい」と書かれていた。

X(Twitter)にあげたものです。(2023/09/11)

ミサイル

ミサイル

月間CASTコンテスト企画
ワンミニ(1 minute CAST CHOICE)に応募した作品です。

ミサイル

空からミサイルが飛んでくる。
あんなに好きだった空の色が濁っている。

逃げまわることしかできない。
安全な場所を見つけても、一時しのぎでしかない。
また新たな場所を探す、 この繰り返しはいつまで続くのか。

選択が迫られる。
立ち向かう者となって戦うか、このまま逃げ続けるか。

もっとみる
猫になれたら

猫になれたら

君にどうやったら、近づける?
猫になってさまよっていたら、拾ってくれる?
君は優しいから、ためらうかな
ダメならあの場所に隠して
待つのは慣れているから
エサを持って会いに来て
少しの時間だけ相手をして
君に大事な人ができたら消えるから
毎日、ボクのために
エサを持って会いに来て
自分で何もできないボクに会いに来て

X(Twitter)にあげたものです。(2023/02/22)

コンテンツ

コンテンツ

君の声が届かないなら、当然僕の声も届かない。
叫んでも、泣いても、誰にも気づかれないまま、何もなかったかのようにみんな通り過ぎていく。
ここで何があったかなんて気に留めない。
花が片隅にポツンと添えられている。
数年に一度、みんなが何かに扇動され、無理やり思い出す。
ひとつのコンテンツとなった君と僕の声を聴き、思いに耽る。
ただそれだけ…。
やがて、知る人もいなくなり、君と僕の声は消えるだろう。

もっとみる
変われない

変われない

変わらなくても大丈夫
そう言ってくれた君が変わっていく
悪い意味じゃない
成長していると見ていて感じるんだ
それに比べ僕は君の言葉を鵜呑みにして
立ち止まったまま
君の言葉に甘えてしまってる
君との差が開いてく
再会する時、僕は君の目を見れるだろうか

Twitterにあげたものです。(2023/07/11)

短冊

短冊

本当の願いなんて書いたことがない
願いが晒されるのを嫌い
周りの幸せを願うものばかり書いてきた
そんな願いが叶うはずはない
偽りなんだから
みんなの願いを蔑ろにした短冊をくくるその手に
楽しそうにみんなとくくる僕の手に
罪悪感などありはしない
素直に書く恐怖心がなくなれば
あなたのことを書くだろう
もう一度逢いたいと

Twitterにあげたものです。(2023/07/07)

1R

1R

君が持ち帰ったものを確かめる
退屈で窮屈なワンルーム
思い出は置いていくんだね
比べられることもなく
君から僕が消えていく
僕は思い出す
でも、何年も君のことを引きずることはない
新しい箱に入れておくんだ
楽しかった日々を
笑顔の君を
泣き顔を見せないよう
振り返らなかった君を

Twitterにあげたものです。(2023/07/02)