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薬剤師が解説するステロイド点鼻薬一覧
今回はアレルギー性鼻炎で使用される
ステロイド点鼻薬4種類について勉強しました!
小児で使用できるのか?
それぞれの特徴、薬価なども含め
まとめていこうと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1677737864907-P5g3LeGnIw.png?width=800)
1.アレルギー性鼻炎のメカニズム
アレルギー性鼻炎は以下に示したように
抗原が侵入し様々な化学伝達物質が
産生されることで、症状を誘発します。
![](https://assets.st-note.com/img/1671376029067-irQSYOScQA.png)
一般的によく用いられるアレグラなどの
抗ヒスタミン薬は即時相反応(鼻汁、くしゃみ)に
作用を促すと言われています。
鼻閉を促すLTs(ロイコトリエン)には
モンテルカストやプランルカストなどの
ロイコトリエン拮抗薬が効果的と言われいます。
ステロイド点鼻薬では遅発相反応に作用して
炎症を抑えて鼻の症状を改善すると言われています。
即効性というよりも
使用し続けることでより効果を発揮しそうですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1672072471015-WnCcSNOT10.png)
2.ステロイド点鼻薬とは
2-1.概要、特徴
ステロイドと聞くと
不安を感じるかもしれません。
2016年のガイドラインでは
鼻噴霧用ステロイド薬が
軽症から第1選択薬として
位置付けられるようになりました。
局所の鼻に作用するので
妊娠中でも比較的安全に使用できると
言われています。
~特徴~
①即時相及び遅発相に作用
②鼻症状3大症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)に効果を示す
③眼症状(痒み、流涙)も抑制効果が期待
④局所的で全身副作用が少ない
2-2.作用機序
一般にステロイドは
グルココルチコイド受容体に結合し
遺伝子の転写を調節することによって
ケミカルメディエーターやサイトカイン等の
産生を抑制します。
このグルココルチコイド受容体に対する親和性で
点鼻薬の強さが決まってくると示唆されています。
3ステロイド点鼻薬一覧
・フルナーゼ(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
・アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
・ナゾネックス(モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)
・エリザス(デキサメタゾンシペシル酸エステル)
今回は上記4種類の
特徴をざっくり
記載していこうと思います。
なお、リノコート点鼻薬は
2021年10月に販売中止となり
今回の記事では含めていません。
※後発品(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)に関しては
販売継続を行っているそうです。
3-1.フルナーゼ点鼻薬
4つの点鼻薬の中で
最も古い点鼻薬です。
早い段階から
小児の適用も追加され
実績もあり、安心感があります。
ただ、他の薬に比べて
デバイスの構造上
液だれがしやすいそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1672072313382-hfKl2gaCuZ.png)
3-2.アラミスト点鼻薬
フルナーゼの17α位が
フランカルボン酸エステルになることで
1日1回で長時間持続するようになりました。
グルココルチコイド受容体親和性について
アラミストはフルナーゼより
Vitroの試験で高い結果が得られています。
アラミストでは
フルナーゼで感じやすい
液だれや味、匂いも
改良されています。
アラミストはナゾネックスに比べて
ノズルの長さが短いので
お子さんに刺す時に
刺激が少ないといった利点もあります。
また、臨床試験からも
眼症状(痒み、赤み、流涙)のスコア減少の結果も
得られています。
![](https://assets.st-note.com/img/1672072330593-KfM0Lu55BF.png)
3-3.ナゾネックス点鼻薬
アラミスト同様
フランカルボン酸エステルになることで
長時間効果を発揮します。
グルココルチコイド受容体親和性は
フルナーゼより高く、アラミストより低いことが
Vitroの試験の結果から確認されています。
他の点鼻薬と比較しても
バイオアベイラビリティは0.2%未満と
全身移行が低いことが知られています。
※フルナーゼ1%以下 アラミスト0.5% エリザス14%
ロラタジン単剤より鼻の症状が改善した
試験結果も得られています。
![](https://assets.st-note.com/img/1672072346635-9TUqcaKXJL.png)
3-4.エリザス点鼻薬
パウダー製剤であり
液だれも起こりにくい一方
使用感が少なく噴霧されているか
わからないといった意見もあります。
受容体親和性は
フルナーゼよりやや弱いと言われています。
小児の適応はありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1672072364231-vSJtchrkgy.png)
4.薬価比較
・フルナーゼ 56噴霧用:1065.4円
・アラミスト 120噴霧用:3513.8円 56噴霧用:1672.5円
・ナゾネックス 112噴霧:2228.7円 56噴霧用:1114.7円
・エリザス 28噴霧:1347.6円
用法通りの使用で
それぞれ56噴霧、エリザス28噴霧は14日分で
使い切る計算となります。
フルナーゼは薬価が一番安いんですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1674131420145-3EO0xIrqAJ.png)
5.いつき博士の考察
ステロイド点鼻薬のそれぞれの特徴
使用回数、安全性についても
勉強していきました。
考察では薬剤師が考える論点で
まとめていきます。
①使う頻度
朝と夜で2回もめんどくさいと思う方は
1回型の点鼻薬の選択が
個人的には良いと思います。
逆に朝使ったけど
何となく夜とかに悪くなりそうだから
と不安な方は2回型の選択もいいでしょう。
➁効果
グルココルチコイド受容体親和性は
一般的にデータからは
アラミスト>ナゾネックス>フルナーゼ>エリザス
と考えられています。
フルナーゼで効かないなら
ナゾネックス、アラミストへ
変更提案をするのも良いかもしれませんね。
③副作用
注意点としましては
粘膜にあたることで
鼻血がでることもまれにあります。
市販で購入できる点鼻薬(ベタメタゾン)は
バイオアベイラビリティが40%以上と
他の点鼻薬と比べると全身への
副作用が高まるようにも感じます。
清潔に保つためにも
新しいティッシュなどで
使用後は先端部を綺麗にすることも
大切です。
④飲み薬との併用
病型、重症度によって
ステロイド点鼻薬と内服薬を
併用していくことが
症状改善のキーポイントと
なってきそうです。
本当に点鼻薬が必要なのか
どの点鼻薬が良いのか
かかりつけ医とよく相談して
自身にあった薬剤を選択できるのが
症状を改善するうえで重要となります。
《参考文献》
鼻アレルギー診療ガイドライン2020年度版(改定第9版)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/70/3/70_166/_pdf/-char/ja
鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年度版(改訂第8版)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/6/106_1159/_pdf/-char/ja