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F-1 VISAホルダー海外獣医学生のアメリカ動物病院就活日記

僕は海外留学8年目、大学院4年目の獣医学生です。現在はアメリカにF1 VISAで滞在しています。
大学院の籍は厳密にはアメリカではないのですが、アメリカ現地就職が可能なビザを保有しています。
日本では医学部や獣医学部は大学6年ですが、アメリカでは4年制大学を卒業した後にもう4年大学院に通わないといけません。この辺りはまた別の機会に詳しく書こうと思っています。
来年から新卒で獣医として働くために就活をしました。
全く同じ経験をしている日本人はあまりいなさそうなので、記録のために書いておこうと思います。


アメリカでの新卒就活の仕方って?


アメリカでの就活を始めるにあたって、そもそもアメリカの就活ってどういうもの?というところから調べました。
まずは先に就活を終えていた友人や、最近新卒就職したアメリカ人の知り合いに、どうやって始めるものなのかを聞きました。

仕事の探し方は大きく分けて3パターンあります。

まずは、求人情報サイトです。
LinkedInなどに登録して探します。日本でマイナビなどに登録して探すようなイメージです。

2つめは、エクスターン先に採用され、そのまま就職することです。
アメリカでは業種問わずこのケースがとても多いです。
エンジニアなど、多くがエクスターンから採用される職業もあります。
(前述のアメリカ人の知り合いもこのケースでした。)

最後の1つは、リファラルです。
例を挙げると、エクスターン先に「他にも仕事探してる人いない?」と声をかけられた学友たちが、クラスのFBページに募集を書き込んでいて、興味があれば繋げてもらう、といった感じです。
コネに近いのですが、全く悪いイメージはなく、ごく当たり前の求職手段です。
新卒でリファラルがあるケースは、日本ではあまりないのではないかと思います。
僕のいる業界ではリファラルが結構多いです。


実際の就活の流れ


僕がなるのは獣医なので、AVMAで求人を探しました。
最初はindeedやLinkedInで検索をしていましたが、友人がAVMAを使ったというのを思い出して調べてみました。

日本語でいうと「アメリカ獣医師会」といったところで、業界におけるオフィシャルなサイトです。
このサイト内に求人サービスがあり、都市や条件などを絞り込んで探しました。
自分のレジュメや希望を掲載してオファーを貰うJob Seeker(スカウト形式)もあります。
スカウト形式のものも、先に就活をしていた友人に勧められて登録していました。

レジュメ登録後、たくさんのリクルーター、病院の担当からメールが届きます。
登録した翌朝に15件くらい来ていたと思います。いきなり電話が来た場合もあります。
自分の情報を公開していたのは1ヶ月ほどでしたが、おそらく50件位連絡が来たと思います。以前、女性の先輩が「マッチングアプリに登録したら永遠に男性から連絡が来て自己肯定感が上がった」、と言っていたのを思い出しました。レジュメを登録するまでは就活が上手くいくか不安でしたが、毎日色々なところから連絡をもらうとそれだけで自己肯定感が上がりました。

僕はレジュメにJapanese Nativeと書いていたのですが、日本人コミュニティ顧客を開拓したいという病院から連絡が来ました。ちゃんと読んでいるとわかる連絡があると嬉しかったです。
中にはレジュメに書いていた内容(卒業時期や希望動物等)を全く見てもらえずに連絡してくる所もありました。
本当にマッチングアプリのようです。

基本的にキャッチアップしてくれるリクルーターを介して病院とやりとりします。
リクルーターは大きな病院のグループの担当であったり、いくつかの小さい病院をまとめて請け負っている場合などがあります。
母体の大きいグループ病院の方が返信率が高かったように感じます。
とりあえず話すだけ話そう、うちのこともっと知って欲しい!今週だといつ空いてる?みたいなスタンスのところが多くて、スピード感とこなれ感がマッチングアプリですね。

就活は、終始条件のマッチングをしていく作業でした。
ミスマッチを防ぐためにリクルーターとしっかりすり合わせをします。
「給与はこれくらいがいい」「都市がここがいい」といった条件から、「このくらいのオペはやれるけど大きなオペばかりはやりたくない」いうような希望も伝えます。
アメリカは超分業制で、できないことは専門医に委ねていいので、そのような希望を伝えてもネガティブになりません。
大きいグループ会社は都市部なら基本どこでも提携病院を持っていたので、都市だけ漠然と伝えても候補を出してくれたため、助かりました。自分はNYCとダラス、ポートランドで希望を出していました。
希望を伝えてすり合わせた後、地域ごとの担当リクルーターに繋いでもらい、そこから更に詳しくすり合わせをした後、最終的に病院を数件ピックアップしてもらい面接に進みます。

病院の院長、もしくは病院のマネージャーとの面接は、「うちはこういうスタイルだから合うならおいでよ」というスタンスの話をされることが多かったです。
診療スタイルや診療件数、使用している機材や設備など、詳しい内容の話が多かったです。
その場で考えて喋るというより、今持っている自分の情報や今後のマインドを話すことがメインでした。
日本の就活の面接であるような「我が社の課題はなんだと思いますか?また、解決方法も教えてください」といったような提案を求め、何かを測るような質問は一切ありませんでした。

面接には質問リストを用意して望んでいました。同じ経験をしていてアドバイスを聞けるような友人や知人もいなかったので、googleで調べて良さそうな質問をいくつかピックアップしていました。
「質問はありますか?」と聞かれた時に、必ずしていた質問があります。

一つ目は「1年後、3年後、5年後でどのようなビジョンを描いていますか?」
ここのビジョンが合うかどうかが僕にとって重要なので、必ず聞くようにしていました。
(これはgood question!と言われることが多かったです!笑)
二つ目は「この病院のカルチャーはどんな感じですか?」
グループ病院とはいえ母体の特徴や制度が共通しているわけではなく、院長によって雰囲気が違うため、これも聞いていました。

最終面接の時間は長くて40分、短い所は10分、大抵は30分弱でした。10分のところは流石に驚きでしたが無事にオファーをもらえ、40分のところは無事に音信不通になったので、面接の長さが大事とも言い切れないと感じました。

オファーは面接後1週間以内に出ました。最初はメールやテキストでオファーを出すことの報告がきて、その後1週間以内にPDFファイルで詳しい書面にて届きました。保険の資料をもらって確認したり、給与などの交渉をしたりします。(給与は現在も交渉中です。)
交渉メールは自分で考えるよりもテンプレートに乗っ取った方が良いと考え、Googleで例文を探して、出てきたものを活用しました。


就活にかかったお金


アメリカの就活では顔写真の掲載は禁止で、証明写真は不要です。性別も書きません。
(人種や性別でのジャッジが起きないようにするためかと。)
リクルートスーツはもちろん不要で、僕の場合はいつものスクラブを着ていました。
アメリカはなんといっても広いので、遠方の面接の移動費などは負担してもらえました。
往復の飛行機代は勿論、家から遠方空港までのガソリン代と駐車場代、現地移動費(レンタカーや電車、Uber)、宿泊代、中には現地での食事代も出してくれる所もありました。
友人と食事をする約束をしていたため食事代は流石に請求しませんでした。
ただ基本的に平日に来て欲しいとの連絡をもらうのですが、平日は病院でローテーションで働いているので厳しかったです。なので自分の場合はビデオ面接をメインに行いました。

レジュメはmy perfect resumeで作成しました。
大学院進学の頃から活用していて、スキルが書かれた文章がフォーマット化されていて組み合わせるだけで、ほとんど出来上がります。保存しておけるのでとても楽です。
年会費は約$70ほどかかりますが、就活にかかるお金はそれくらいでした。


アメリカ就活の特徴


アメリカでは本来、就職時期の1〜3ヶ月前に就活をすることが多いようです。
僕は国試と就活を被せたくなかったのもあり、早めに就活を始めてみました。
今出ている求人は夏から働きたい人向けが中心だったので、レジュメに就職可能時期を書いて、読んだ上で連絡をくれたところと話を進めていきました。

前述の友人はJob seekerを利用し、1日で決まったとのことでした。
僕は多忙な実習と並行しての就活だったため、求人サイト登録してから最初の内定をもらうまでは3週間くらいでした。現在住んでいるミズーリ州からニューヨークの病院に見学(最終面接)に行かなければならず、週末しか行けないため、日数がかかっています。
地元の病院とかであればもっと早く終わっていたと思います。
日本と違って「一斉に新卒就活シーズン」がないのと、全てオンラインのため、かなりテンポ良く就活が進みました。オフラインの面接がなく内定が出るケースもありました。


留学生の死活問題、VISAについて


就職する留学生にとって最も重要な問題、VISA。就労VISAはサポートが必須です。
卒業後はSTEM OPTでF-1 VISAで3年間アメリカで働けます。副業はできません。帯同の家族もF-2になるため、アメリカ就労不可です。
OPT就労中に、会社にH1- B VISA発行サポートをしてもらえる予定です。これに関しては小さい個人病院は受けていないのでわかりませんが、大きいグループ会社はどこも当然のようにVISAは大丈夫と言ってくれました。大抵が口約束のところでしたが、一つの所はとても詳しく条件を提示してくれました。

エクスターンは重要、だけど油断大敵。


エクスターンは就活において大きなアドバンテージ。
ですが、僕は今夏にいく予定のエクスターン先のグループから書類選考中に連絡が返ってこなくなりました…(レジュメに行くって書いてあるのに笑)
エクスターンがあるからって油断はしない方がいいかもしれません。

僕のアメリカでの就活はこんな感じでした。
想像よりスムーズに進みましたが、AVMAとmy perfect resumeがなかったら今も決まってなかったかもしれません。
エクスターンだけでは不安、リファラルが見込めない、という場合はまずは自分の業界にあった規模の大きい求人情報サイトを見つけることが重要だと思います!

特殊なケースだと思うのであまり参考になる方は多くないと思いますが、少しでもお役に立てたら幸いです。

8年間の留学については、卒業したら改めて書きたいと思います!

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