「浴衣で初夏の京都を歩こっと」第1回イントロダクション
~企画のはじまり、事前準備のあれこれ編~
こんにちは。ALKOTTO4回生の剱物真桜です。ご無沙汰の投稿になりました。
祇園祭の前・後祭も過ぎ、京都もいよいよ暑さが本番を迎えましたね。
京都の夏は、夏越の大祓に始まり祇園祭でクライマックスを迎え、五山の送り火で終わりに向かっていきます。とにかく湿気と日差しにやられる京都の夏ですが、風物詩が盛りだくさんで飽きることがなく、どうにも部屋に籠ることを許してくれない困った奴です。
全6回のシリーズからなる本マガジン「浴衣で初夏の京都を歩こっと」では、そんな京都の夏のはじまり、夏越の大祓が迫る初夏のある日に、ALKOTTOのみんなで浴衣を着て、鴨川を歩いた1日の散策記を、さまざまなメンバーの視点からお送りします。
今回の第1回目は、このマガジンのイントロダクションとして、イベントのざっくりとした概要や当日までどんな準備をしてきたかなど、イベントの背景にある裏話をご紹介。メインの第2回目以降では、ALKOTTOメンバーが、それぞれイベントを通して感じたことや、初夏の京都の魅力についてお伝えします。メインを味わう前に、前菜としてのイントロダクションをぜひ楽しんでいってください。
企画のスタートは、Questionでの出会いから。
6月16日土曜日、燦燦と初夏の日差しが照り付けるなか無事に開催された、ALKOTTOと『KOTOFURI Project』、『むす美』のコラボイベント『浴衣で初夏の京都をあるこっと』。
このイベントは、初夏の京都の魅力を発信するとともに、浴衣という和装文化の振興を目的としたまちあるきイベントです。
企画が始動したのは、今年の4月末。
以前あるご縁があって、京都市役所前のQuestionでのイベントに参加させていただいてから、私はその施設にたまに足を運ぶようになっていました。Questionは、京都信用金庫が運営する社会人や学生が集うコミュニティセンターのような施設で、1階にはカフェバー、2階にコワーキングスペース、5階に学生のフリースペース、それより上の階には団体利用できるコミュニティキッチンなど、盛りだくさん。
「浴衣のイベントをしたい!」というきっかけは、この施設で『KOTOFURI Project』という、学生主体の着物振興プロジェクトに出会ったことでした。
たまたま用事があってQuestionに行った時の帰り、1階でイベントをしていたので少し様子を覗いていると、KOTOFURI Projectの学生さんが浴衣の販売や活動の紹介などを行っていました。お好みの浴衣のデザインに色を塗って提出すると、抽選で実際に浴衣を作ってプレゼントしてくれるとのことで、時間もあったし参加してみました。
そこでお話をして、同じく学生主体の京都観光メディアであるALKOTTOと、なにか面白いことができないかな、と思いました。
もともと京都に来てから、きちんとした浴衣や着物を着たことがなかった私。
「着物着たいなあ、ALKOTTOのみんなで着物を着たら大人数だし、どこかのアイドルのジャケ写みたいになって面白そう。」なんて、岡崎公園や鴨川のような広くて自然豊かな場所を通るたびに、色とりどりの和服を着た私たちの写真を想像していました。
だから、KOTOFURI Projectと出会ったときは「チャンスかも!」と思いました。早速、ALKOTTOの新年度がスタートし新歓も動き出す手前の4月末にENJOYKYOTOの松島さんに相談しました。
その頃ちょうどこれから新1年生を迎え、季節は新緑の輝く初夏が近づいてきていました。
そこから企画のヒントを得て、ALKOTTOとKOTOFURI Projectとのコラボ企画兼、新1年生に初夏の魅力を伝える新歓イベントという2つを組み合わせたイベントを企画しました。
私が初めて京都に来たのは、2018年の6月。初夏や梅雨といった季節は、中学の修学旅行で京都に恋に落ちた私にとって、すこし特別な季節なのです。雨に濡れて艶めく新緑の楓、朱色の鳥居、庭園の石。ムシムシ、じめじめ、ベタベタする季節だったけど、「暑かったなあ」なんて記憶はほとんどなく、すべてが美しくて魅力的でどこか謎めいている、夢のような景色だけが心に残っていました。
京都の観光シーズンといえば、桜や紅葉が美しい春と秋ですよね。もちろんその季節も大好きなのですが、京都では雨の鬱陶しさですら情緒に変身させてしまうのです。
「京都の初夏や梅雨の美しさを、もっとみんなに知ってもらいたい。」
そんな想いや偶然の出会いがひとつのイベントに繋がり、今回の企画がスタートしました。内容は、簡単に言うと「ALKOTTOメンバーで浴衣を着て、初夏の京都の魅力を探してお散歩する」といったものです。
着付けはどうする?イベント前の試行錯誤
KOTOFURI Project様からも快いお返事をいただき、イベントに向けて準備期間がスタートしました。
いざ準備を始めてみると、着付け場所はどうする?持ち物はどうする?小物は?所作は?着崩れは?予算は?保険は?荷物は?……と、課題は盛りだくさん。
打ち合わせで詳細を詰めて、もし着付け師の方が少なくても自分たちである程度着付けのお手伝いをできるように、と着付けの講習を手配していただきました。浴衣の着方や帯の結び方など、基本的なことをざっと教えていただきましたが、なにやら講師をしていただいた着付け師の方がとても焦っておられました。すると、なんとイベント当日に着付け師の方が誰も来ることができない、ということが判明したのです。
講習を受けたのはイベント2週間前。基本的な着付けは教えていただいたものの、学生だけで20人弱の着付けを担当するなど当然不可能です。あと2週間のうちに、着付け師の方をなんとか確保しなくてはなりませんでした。
松島さんや、KOTOFURI Projectの担当者様と緊急ミーティングし、知り合いや先方のお得意様など手あたり次第連絡し、着付けのできる学生の知り合いなどにも当たりました。着付け師の方を手配できなければ、最悪イベントの開催を延期、または中止する可能性もあり、連絡を待っている間は気が気じゃありませんでした。
そしてイベント当日の10日前、連絡した着付け師の方からご連絡がありました。その着付け師の方は、以前にENJOYKYOTOが主体で開催した、三条の老舗呉服店『千總』様とのトークイベントをお手伝いした際に、参加者として会場にお越しくださっていた、上田靖子さんでした。
上田さんのお仲間の着付け師さんにもお声がけいただき、無事に当日4名の着付け師さんにご協力いただけることになりました。どのようにお伝えすればわからないほど、感謝の気持ちで一杯です。
イベント開催の最大の危機に瀕していた時、活動のなかでいただいたご縁が私たちを救ってくれたのです。
たくさんのご縁で「結ばれた」浴衣イベント企画
そして、このイベントを支えてくださったご縁がもうひとつ。
「浴衣を着ている間、荷物はどうやって持ってもらおう?」という課題がありました。KOTOFURI Project様からお借りできるのは、あくまで浴衣一式だったので、髪飾りやバッグなどは自分たちで用意しなければなりません。髪飾りやヘアセットはせめて各自で用意することができますが、バッグやカバンをそろえるには少し負担も大きく、かといって自由にするのは見栄えが悪くなってしまいます。
どうしようかと話していると、「風呂敷」というアイデアが浮かびました。
たった1枚の正方形の布が自由自在に姿を変え、古くから日本人の生活のなかでさまざまな役割を果たしてきた風呂敷は、昨年度のENJOYKYOTO紙面のファッション号で取り上げたアイテムの1つでした。
三条通に店舗を構える『むす美』さんは、非常にファッショナブル、かつトラディショナルなデザインで風呂敷の魅力を発信し続ける風呂敷専門店。取材の際にお世話になった山田悦子さんにお問合せし、イベントの趣旨や詳細をお伝えして、風呂敷をお借りできないかとご相談しました。すると「全面協力します!」という快いお返事をいただき、イベントの趣旨や内容にも非常にご賛同いただきました。
KOTOFURIさんからお借りする浴衣の写真をあらかじめ用意し、それをむす美さんにお送りして、それぞれの浴衣に似合うデザインの風呂敷の組み合わせを選んでいただきました。至れり尽くせりとは、まさにこのこと。参加したメンバーも、浴衣と風呂敷のコーディネートに心躍らせていたと思います。本当に有難うございました。
これで、小物の課題も解決。
本当にさまざまなご縁と、優しい皆様に支えられ、このイベントは無事に当日を迎えることができました。
下見も経て、いよいよイベント直前。
浴衣、着付け、風呂敷と、用意が整ってきたイベント5日前。
6月11日に、私、3年生幹部の絢音ちゃん、松島さんの3人で実際に予定コースを歩き下見を実行しました。
もともとは京都御所に集合して鴨川まで移動、鴨川沿いを上って下鴨神社に参拝する予定でした。しかし、京都御所は砂利が多く下駄で歩くのは厳しいということで変更。バスで直接丸太町橋に移動することにしました。
鴨川沿いを実際に歩いてみると、私服とスニーカーで歩いても、このいいお天気の中歩くのはとっても疲れました。私は下鴨神社と糺の森は新緑の時期に特に美しいと思っているので、予定コースに入れていましたが、大事なのはみんなが楽しめることなので、下鴨神社にいくのはやめて、デルタから直接護王神社に行くことにしました。
『初夏の京都』がテーマなので、絶対に外したくない「茅の輪」と「水無月」。夏越の大祓の時期に京都に出現する、初夏の風物詩です。みんなで水無月を食べるとしたら、鴨川デルタに集合したタイミングですが、さて水無月を買うことのできる和菓子屋さんはあるでしょうか。
鴨川デルタ周辺で和菓子屋さんを探すと、出町柳の枡形商店街でちいさなまちの和菓子屋さんを発見。当日はここで水無月を買うことにしました。
コースは、丸太町橋~鴨川デルタを歩き、4チームに分かれて昼食、その後鴨川デルタに集合してから、直接護王神社まで移動して終了することに決まりました。
その日の夜は幹部ミーティング。事務所に戻ってゆったりしていると時間が無くなってしまったので、近所のコンビニで夜ご飯を購入し、3人そろってミーティングに参加することに。特別感があって楽しかったせいか、暑さで疲れていたせいか、3人だけ妙にテンションが高かったのを覚えています。(笑)
雨予報のなか、ついに迎えたイベント当日
やれるだけの準備はやり切って、ついにイベント当日になりました。
当日の午前8時ごろ。ENJOYKYOTO事務所で数人ずつ浴衣を着付けしてもらい、全員の着付けが終わったら鴨川の丸太町橋に集合します。
私や幹部の萌々花ちゃん、浴衣を着用しないサポートメンバーの小春ちゃん・ほのかちゃんはみんなよりも朝早くに集合してもらい、着付け準備や受付を担当してもらいました。
細やかな気配りが光るのどかちゃんは、今回もサポートメンバーや着付け師の方への差し入れを持ってきてくれました。さすが、私たちのリベロ担当!みんなの協力もあってスムーズに着付けを進めることができました。
事前に希望をとって決めていた柄の浴衣を事務所の玄関で受け取り、奥の部屋で着付け師の方に着付けてもらいます。綺麗に着つけてもらい、ヘアセットやお化粧も完成したみんなはとても華やかでキラキラしていました。兵児帯もどうなっているのかわからないほど、お花のように素敵な結び方をしていただきました。上田さんをはじめ、当日ご協力いただいた着付け師の皆様、本当にありがとうございました!
着付けは3~4人ずつの4グループに分かれて行いました。最初のグループは集合まで時間が空くので、丸太町周辺のパン屋さんなどで朝ごはんを食べに行ってもらいました。
私や萌々花ちゃん、サポートメンバー、男子と松島さんは最後まで残り、着付師さんから着崩れの対処法、お手洗いの方法などを伝授してもらいました。その後荷物をまとめて事務所の戸締りをして、集合場所に向かいます。
そして丸太町橋へ。いよいよ初夏の鴨川散歩スタートです。
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