今まで学校で少し窮屈だった私は、「地球環境学舎」という専攻に入って、"楽"になった。
自己紹介で学生です、と言うと、大概「どこの学校?」と聞かれます。
どこの学校、何の専攻、というよりも実際に何をやっているのか、が言えたらいいよな、と思うのですが、所属はなにかと聞かれますと学生なので、私の所属する少し変わった専攻について記そうと思います。(この所属が過去になる前に…笑)
地球環境学舎
一般的に、大学や専門学校、高専などに入ると、ある種の専門性で学部や専攻がくくられると思います。例えば私は、学部生の時は建築学科所属でした。
現在所属しているところは、「地球環境学舎」という専攻です。(なんだか今っぽい?笑)ここには「専門というものがない特殊性」があります。
この地球環境学舎設置の目的としては、地球環境問題を解決することにあります。
地球環境問題とひとくくりに言っても、複雑多岐にわたり、もちろんですが、ひとつの専門性ではどうにも解決できません。広範囲の学問領域を理解し、探求する必要がある。そこで、様々な専門分野の人がいる形をとって、構成されています。
それぞれの専門分野の人たちは、自身の専門と地球環境学舎をまたいでいるような構図になっているのです。(図はイメージであり、構成専攻など正しいものではありません。)
私の所属する"研究室の教授の専門性"といえば、建築や地域防災などになります。地球環境学舎、を構成する様々な研究室も、数年に一度変わり、同じ研究棟に異なる専門分野の教授と学生がいます。ひとつの研究室に、いわゆる専門分野からの学生と、地球環境学からの学生が共存する形になるのです。
るつぼのような環境・学びがあった。
この大学院に進み、今までに一番聞かれたことは、「建築学部からなぜ建築の大学院を選ばずここに進んだのか」。
結論からお伝えすると、建築という魅力的なものを知ったうえで、専門性を絞るよりも幅広い視野で学んでみたいと思ったからです。
地球環境学舎の授業は、多岐にわたり、ひとことでいうとつまみ食い、のような感じです。様々な分野の学生と教授がごった煮のように存在する場所なので、様々な分野の授業を必須で学びます。倫理、経済、化学、建築、森林、土壌などなど。フィールドワークもあります。
知らないことを学ぶって、面白い。
そんな改めての気づきがあります。
正直わからないことも少なくなく、学生同士で教え合う、みたいなことも起こります。全然違う分野で共通項を見つけるのも楽しい。学生だけではなく、他専門分野の教授にも、研究でわからないことがあるとヒアリングをしたりします。
また、留学生が多くいるので、授業がほとんど英語です。私は決してペラペラな人ではないので苦労しましたが、このような環境に身を投じるのも悪くない……
と、単位をほぼ取り終えた今なら、言えます(笑)。
私は、四年間建築を学ぶ中で、単一のものごとに向かうイメージが出来ませんでした。詳細な専門的なものごとを考えれば考えるほど、それぞれの関りが必要ではないのか?と考えていました。
建築という分野はとにかく幅広い。
人・生活に欠かせない住居やまちにはじまり、歴史、構造、法律、デザイン。作る際には土地やお金の動きも付随します。
建築を学ぶには四年なんかじゃ全然足りませんでしたが、建築という分野がとても魅力的で、本当にすべてのことと包括的に関わっているんだと、ということだけは分かりました。
専門性を絞るってなんだろう。
意匠デザインの研究室に入っても、構造は必要ではないのか?
構造計算の研究室に入っても、フィールドワークは必要ではないのか?
もちろん、大学院の専門性は、本当にひとつのことだけをやるわけではなく、何を中心に考えるか、ということだと頭では理解していたのですが、なんせ私は頑固で(笑)。絞る専門性をいつまでも決められなかった。
その時ここを見つけ、そもそも「包括的に空間や人の活動を学べること」を目的とした場所に出会った、と思いました。
私の所属は地球環境学舎。
所属する研究室の教授陣は建築や地域防災が専門。
研究室の仲間は建築分野と地球環境学の分野がいて、
専攻の同期のくくりとしては地球環境学舎の学生。
一人ひとり、"私がジャンル"である。
ここにきて、本当の多様性をはじめて体感したのではないか、と感じています。そしてこの環境で、私はかなり楽になった気がします。
日本の学校の多くは、年齢が近い人々で同じ学年が構成されます。大学院や専門性の高い技術を身に着ける場所ですと、社会人や歳の離れた方も増える傾向にあると思いますが、私の所属する地球環境学舎でも、日本人にくくるとやはり年齢差は1~2歳が多い。
かくいう私も、一番多い24の歳。
一方、留学生は基本年齢がばらばらで、そもそも何歳か知らない人も多いです(笑)。また、留学生は社会にでてから大学院に入る人も多い。研究室の同期には、君たちジャパニーズはまだまだ若いからね、とか言われます(笑)。
出身、性別、文化、年齢。
好きな食べ物、興味のあること、
肌や目の色、好きな服。
一人ひとり違うことは当たり前。それは、日本人という種族が同じでも。
頭ではわかっているはずですが、その事実を体感したように思います。今いる場所は、国を越えて、より当たり前に感じることが出来る。
日本の教育・社会に窮屈さや、生きにくさを感じたことがある人。
私もその一人です。
それぞれ一人ひとりが、「いち個性」「いちジャンル」なのだと感じられる場所にいくと、その気持ちは少しは軽減されるかもしれません。そしてそこで、新たな仲間に出会えるかもしれません。
そして、味方がいれば、
多少人間関係で誰かとしんどい状況に陥っても、
私は大丈夫だと思えます。