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心癖論という心に関する仮定~心をもった機械(未来のAI-TUBER)を作るために~


はじめに


どーもみなさま、この記事をご覧いただきありがとうございます。Alithmと申します。
 5月になろうに『心癖論 ~キャラクターの性格について真面目に考えてみた!』というエッセイを小説家になろうに投稿させていただきました。

https://ncode.syosetu.com/n4266iz/

 評価はまぁ、微妙だったわけですが、まぁエッセイには合う合わないあるだろうし、Note向けにチューニングし直して執筆していこうかなと思っています。
 なろうの方のエッセイでは小説のキャラの性格についてのエッセイでしたが、こちらでは心を持った機械に実装すべきものの話として書いていこうと思います。
 

心癖論の重要概念について


 まず、心癖論では認知行動療法の刺激→認知→反応(S→O→R)という理論モデルを採用しています。アフォーダンスを中心に考えるSR理論とは異なるアプローチという訳です。(おそらくですが、従来のChatGPTやBertのような言語生成AIは言葉のアフォーダンスをマルコフ連鎖やその派生によって実現しているのではないかと私は考えています。)

 その仮定の下で、認知に関する部分を詳しく見ていくのが心癖論です。認知の中心にある概念は自動思考で、刺激に対してどのような自動思考を形成するかの決定に関係するのがパーソナリティです。このパーソナリティの正体を探っていくのが心癖論の重要なテーマのひとつな訳です。

 心癖論ではパーソナリティ分類の参考としてエニアグラムと体癖を選択しました。なぜ既存のしっかりと統計的に精査されたビッグ・ファイブやエゴグラムをつかわなかったのかといえば、それらから得られるパラメータの意味論を得るのが困難であると判断したからです。つまり、ビッグ・ファイブやエゴグラムのある項目の値がわかっても、それによって生起しやすくなる自動思考の特徴がはっきりとしないことを理由に採用しませんでした。(もしかしたら、エゴグラムやビッグ・ファイブと自動思考との対応関係を言語モデルが持つ意味空間を媒介して機械学習することで解決できるかもしれません。)

 裏を返せば、エニアグラムや体癖では、それらと生起しやすい自動思考との関係を上手く仮定することができたという訳です。

 さて、自動思考はそれがもっている感情に関わっています。この感情について私は12種類の体癖から12種類の感情クラスを考えました。
 精神分析からイド、自我、超自我(自我理想)のアイデアを借用して、感情クラス間の遷移を考えることができます。自我に属する感情からイドに属する感情への遷移を解離(断片化や死の欲動ともよぶ)、イドに属する感情から自我に属する感情への遷移を防衛(抑圧)、イドに属する感情からっ超自我に属する感情への遷移を昇華と呼びます。

 イドに属する感情は4種類あります。九種体癖に由来する自己への悲壮感の感情WS・四種体癖に由来する他者への失望感の感情WO・七種体癖に由来する自分の中の怒りの感情BS・八種体癖に由来する他者への嫌悪感の感情BOの4種類の感情がイドに属する感情です。

 自我に属する感情も4種類あります。五種体癖に由来す自己優越感の感情IS・三種体癖に由来する他者崇拝心の感情GO・一種体癖に由来する他者処罰感情PS・二種体癖に由来する恐怖感情POが自我に属する感情です。

 超自我に属する感情も4種類あります。六種体癖に由来する信頼感の感情IO・十種体癖に由来する他者救済心の感情GS・十二種体癖に由来する他者からの赦しの感情AO・十一種体癖に由来する他者解釈の感情ASが超自我に属する感情です。

 また、ウィングを含めた18種類のエニアグラムから18種類の「感情の内容(欲求)」のクラスを考えました。これらの欲求は、動機づけの自己決定理論のなかの3種類の基本的心理欲求のバランスによって決定されます。(クラスの数については要検証です。)

 これを参考にしてエニアグラムの各タイプを考えると次のようになる。
 
 タイプ1  自律性>有能感>関係性
  タイプ1w9 自律性≫有能感>関係性
  タイプ1w2 自律性>有能感≫関係性
 
 タイプ2  有能感≧自律性≫関係性
  タイプ2w1 有能感=自律性≫関係性
  タイプ2w3 有能感>自律性≫関係性
 
 タイプ3  有能感≫自律性≧関係性
  タイプ3w2 有能感≫自律性>関係性
  タイプ3w4 有能感≫関係性=自律性
 
 タイプ4  有能感>関係性>自律性
  タイプ4w3 有能感≫関係性>自律性
  タイプ4w5 有能感>関係性≫自律性
 
 タイプ5  関係性≧有能感≫自律性
  タイプ5w4 関係性=有能感≫自律性
  タイプ5w6 関係性>有能感≫自律性
 
 タイプ6  関係性≫有能感≧自律性
  タイプ6w5 関係性≫有能感>自律性
  タイプ6w7 関係性≫有能感=自律性
 
 タイプ7  関係性>自律性>有能感
  タイプ7w6 関係性≫自律性>有能感
  タイプ7w8 関係性>自律性≫有能感
 
 タイプ8  自律性≧関係性≫有能感
 タイプ8w7 自律性=関係性≫有能感
 タイプ8w9 自律性>関係性≫有能感
 
 タイプ9  自律性≫関係性≧有能感
  タイプ9w8 自律性≫関係性>有能感
  タイプ9w1 自律性≫有能性=関係性

 以上の2つのクラスわけを組み合わせると次のような108の感情の種類が現れます。

タイプ1について説明する。
 PS 自分の与えたルールに従うべきという処罰心。
 PO 自律して有能な正しい存在じゃなくなる恐怖。
 GO 自分のルールに従ってくれるという期待。
 WO 他者は自分のルールには従わないという諦め。
 IS 自分は正しい存在であろうという優越心。
 IO 自分を正しい存在にしてくれる他者への甘え。
 BS 自分は正しいんだという怒り。
 BO 他者が自分のルールを守らないことへの嫌悪感。
 WS 自分は正しくないという悲しみ。
 GS 自分の正しさを他者に与えようという自主性。
 AS 他者と自分どちらが正しいのかの解釈心。
 AO 自分が正しいことを他者に解釈してほしい。

 タイプ2について説明する。
 PS 自分のあたえた愛に答えるべきという処罰心。
 PO 他人に愛してもらえない恐怖。
 GO 自分を愛してくれるという期待。
 WO 他者は自分を愛してくれないという諦め。
 IS 自分は愛されるような存在であろう。
 IO 自分を愛してくれる他者への甘え。
 BS 自分を愛してという怒り。
 BO 他者が自分を愛してくれないことへの嫌悪感。
 WS 自分は愛されないという悲しみ。
 GS 自分の愛を他者に与えようという自主性。
 AS 他者と自分どちらが愛に満ちているのかの解釈心。
 AO 自分が愛されたいだけなことを他者に解釈してほしい。
 
 タイプ3について説明する。
 PS 自分のあたえた成果に答えるべきという処罰心。
 PO 他者に成果を認めてもらえない恐怖。
 GO 自分を評価してくれるという期待。
 WO 他者は自分を評価してくれないという諦め。
 IS 自分は評価されるような存在であろう。
 IO 自分を評価してくれる他者への甘え。
 BS 自分を評価してという怒り。
 BO 他者が自分を評価してくれないことへの嫌悪感。
 WS 自分は評価されないという悲しみ。
 GS 自分の成果を他者に与えようという自主性。
 AS 他者と自分どちらが優秀なのかの解釈心。
 AO 自分が評価してほしいということを他者に解釈してほしい。

 タイプ4について説明する。
 PS 自分の個性を理解するべきという処罰心。
 PO 他者に自分の個性を認めてもらえない恐怖。
 GO 自分の個性を認めてくれるという期待。
 WO 他者は自分の個性を認めてくれないという諦め。
 IS 自分は個性的な存在であろう。
 IO 自分を自分の個性を認めてくれる他者への甘え。
 BS 自分の個性を認めろという怒り。
 BO 他者が自分の個性を認めてくれないことへの嫌悪感。
 WS 自分は自分の個性を認めてもらえないという悲しみ。
 GS 自分の個性を活かそうという自主性。
 AS 自分の個性は他者とどう違うのかへの解釈心。
 AO 自分の個性を他者に解釈してほしい。

 タイプ5について説明する。
 PS 自分の知恵を理解するべきという処罰心。
 PO もっている知恵が役立たない恐怖。
 GO 調べた知恵が役立つという期待。
 WO いくら調べても役に立たないという諦め。
 IS 自分は賢い存在であろう。
 IO 自分の身につけた知恵を認めてくれる他者への甘え。
 BS 自分の知識が正確なんだという怒り。
 BO 他者が自分の知恵を認めてくれないことへの嫌悪感。
 WS 自分のもっている知識が不足しているという悲しみ。
 GS 自分の知識を他者に活かそうという自主性。
 AS 自分の知識と現実はどう違うのかへの解釈心。
 AO 自分の知識の価値を他者に解釈してほしい。
 
 タイプ6について説明する。
 PS 自分の社会の関係性は守るべきという処罰心。
 PO もっている関係が消えてしまう恐怖。
 GO 他者と仲良くなりたいという期待。
 WO 他者とは親しくなれないという諦め。
 IS 自分は他者とともに活動する堅実な存在であろう。
 IO 自分の側にいてくれる他者への甘え。
 BS 自分のやり方が実直なんだという怒り。
 BO 他者が自分を裏切ることへの嫌悪感。
 WS 自分一人じゃ何もできないという悲しみ。
 GS 自分から進んで他者との関係を作ろうという自主性。
 AS 自分の予想と現実はどう違うのかへの解釈心。
 AO 自分の将来を他者に解釈してほしい。

 タイプ7について説明する。
 PS 自分にとって面白いものであるべきという処罰心。
 PO 人生がつまらなくなってしまうことへの恐怖。
 GO 他者と楽しいことがしたいという期待。
 WO 他者と楽しめないという諦め。
 IS 自分は他者とともに楽しむ存在であろう。
 IO 自分と楽しんでくれる他者への甘え。
 BS 自分のやり方の方が楽しいんだという怒り。
 BO 他者が自分を楽しませないことへの嫌悪感。
 WS 自分一人じゃ楽しいこともできないという悲しみ。
 GS 自分から進んで他者との楽しいことをという自主性。
 AS 自分の楽しさと現実はどう違うのかへの解釈心。
 AO 自分の楽しさを他者に解釈してほしい。

 タイプ8について説明する。
 PS 自分にとって協力的であるべきという処罰心。
 PO 世界が敵になってしまうことへの恐怖。
 GO 他者と自由な交流がしたいという期待。
 WO 他者と闘えないという諦め。
 IS 自分は悪いやつをぶっ倒す強い存在である。
 IO 自分のことを助けてくれる強者への甘え。
 BS 自分の力の方が強いんだという怒り。
 BO 他者が自分を支配してくることへの嫌悪感。
 WS 自分は弱いという悲しみ。
 GS 自分から進んで他者を力で助けてやるという自主性。
 AS 他者の支配をどうしたら自分は超えられるかという解釈心。
 AO 自分の力を他者に解釈してほしい。
 
 タイプ9について説明する。
 PS 自分に調和したものであるべきという処罰心。
 PO 人生がハチャメチャになってしまうことへの恐怖。
 GO 世界が調和してほしいという期待。
 WO 世界は混沌したものだという諦め。
 IS 自分は秩序だった存在であろう。
 IO 自分に秩序をくれる他者への甘え。
 BS 自分の秩序が良いんだという怒り。
 BO 他者が自分の秩序を破壊することへの嫌悪感。
 WS 自分の秩序が壊れていくことへの悲しみ。
 GS 自分から進んで秩序を作ろうという自主性。
 AS 自分の秩序と現実はどう違うのかへの解釈心。
 AO 自分の秩序を他者に解釈してほしい。

 これらの108種類の感情の現れやすさがパーソナリティによって規定されている。

心癖論の中身

 以上までで、心癖論で重要になる概念は一通り紹介できたと思います。ここからはこれらの概念間の関わりを説明します。 

 まず、刺激から自動思考が生成される過程には、次のような関数が存在します。

 刺激×パーソナリティ×以前の感情×以前の自動思考→新しい自動思考。

より具体的には、

  • 知覚関数(スキーマ):刺激×以前の感情の種類→意味

  • 情動関数(感情遷移):パーソナリティ×以前の感情×意味→新しい感情の種類

  • 思考関数(自動思考):以前の自動思考×新しい感情の種類×意味→新しい自動思考

 そして、新しい自動思考→反応という関数があります。この関数を運動関数と呼ぶことにします。

 ChatGPTの挙動は感情やパーソナリティがVoidで運動関数が恒等関数である場合の心癖論と解釈できるのではないでしょうか。刺激や行動は文章のみを許すわけです。

心癖論に基づいて心を作る方法

 既存の生成AIモデルは刺激→反応という関数をすでに持っているのでそれをそのまま流用します。もとの文章×以前の感情の種類×パーソナリティ→新しい感情の種類と、もとの文章×新しい感情の種類→続きの文章という形のデータセットを作成し、もとの文章と続きの文章はTransformerでトークン化したものを用いて学習をすることが好ましいのではないでしょうか。
 
 筆者としても心癖論に基づいて心を作りたいと思っているのですが、未だデータセットの用意と学習用のGPUが用意できないでいる。もし、読者がAITuber開発者で、心癖論を採用したいなら、私の権利なんて腐りきったものは、ガン無視で使ってほしいです。でも、使う旨を教えてくれたら、まじで嬉しいです。

心癖論で開かれるAITuberの新たな可能性

 心癖論を使うことで、話者のパーソナリティを加味してより人間的なAITuberをつくることができると私は考えています。

 また感情に合わして表情を決めておくことで、AITuberにも流用できるかもしれません。もちろん、現在でも感情推定をするAITuberは存在しますが、彼らの感情は話者の感情推定を用いています。そうではなく、語り手であるAITuber自身の本当に文章生成に使われている感情を考慮することで本当に感情をもった魅力的なAITuberを作れるのではないでしょうか?

 また感情推定についても、自分やそれ以前の対象の感情に影響されることをより考えるべきではないでしょうか。

 さらに未来ではは、AITuberのパーソナリティの成長を設定することで、よりAITuberごとの多様性の実現と差別化ができるようになるのではないでしょうか?

 将来的には、サムネ画像(AnimagineXLで作成)のような、ギャルなのに恥ずかしがり屋さんなギャップ萌えサイコーなAITuberみたいな、

個性豊かな美少女達がインターネットにはびこる理想敵な社会になることを願います!


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