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スペイン語学習 13.再帰動詞と再帰代名詞

再帰動詞 verbos reflexivos (1)

再帰動詞の基本的用法

再帰動詞とは再帰代名詞(me, te, nos, os, se)を伴う動詞のこと。
再帰代名詞は動詞の主語と人称・数が同じ目的語の代名詞で,
主語と同一の人やもの(自分自身)を表します.

再帰動詞
levantarse 「起きる」の直説法現在形の活用
   単数      複数
1人称  me levantonos    nos levantamos
2人称  te levantas          os levantáis
3人称  se levanta           se levantan

このステップでは再帰動詞の基本的な用法を学んでいきます。

1. 直接再帰

 再帰代名詞が文法上直接目的語になります.
「自分を~する」というニュアンスが感じられるものもあれば,
そうでないものもあります.

(1a)Generalmente me levanto a las siete y media, y me acuesto a las once.
(普段私は7時半に起きて,11時に寝ます.)

(1b)El abuelo se sentó en el sofá y se puso a leer el periódico.
(祖父はソファーに座って新聞を読み始めた.)

(1c)La puerta se abre y se cierra sola.
(そのドアはひとりでに開閉する.)

(1d)¿A qué te dedicas?
— Me dedico a la Informática.
((専門は)何をしてるの?―情報学をやっています.)

(1e)Julia se mira en el espejo.
(フリアは鏡で自分の姿を見る.)

自己紹介で使う llamarse もこの仲間で,
もともとは「自分を○○と呼ぶ」という意味です.
¿Cómo te llamas? — Me llamo José Ángel.
(君の名前は?―ホセ・アンヘルです.)
(cfr. Mis padres me llaman Ángel. 両親は私をアンヘルと呼びます.)

2. 間接再帰

再帰代名詞が間接目的語の働きをします.

(2a)A veces me pregunto por qué esto es así.
(ときどき私はどうしてこうなのかと自問することがある.)

(2b)No me lavé las manos antes de comer.
(私は食べる前に手を洗わなかった.)

(2c)Como hace mucho frío me pongo el abrigo para salir.
(とても寒いので,出かけるためにコートを着る.)

 lavarse (las manos) やponerse (el abrigo) は
体の一部や身につけるものを直接目的語とします.
再帰代名詞は「自分の」に相当すると考えてください.
英語では my hands などのように所有詞を使いますが,
スペイン語では× Lavo mis manos× Puso su abrigoなどとは言いません.

3. 相互用法

主語は必ず複数です.
相互の意味を明示するために
(el) uno a(l) otro, mutuamenteなどを添えることもあります.

(3a)¿Os escribís con frecuencia?
(君たちは(お互いに)よく手紙を書くの?)

(3b)Teresa y Pablo se respetan uno a otro.
(テレサとペドロは互いに尊敬しあっている.)

4. ニュアンスを変える

他動詞
comer 食べる/ comerse 平らげる,
beber 飲む/ beberse 飲み干す,
llevar 持つ,運ぶ/ llevarse 持って行く,持ち帰る

自動詞
ir 行く/ irse 行ってしまう,立ち去る,
caer 落ちる/ caerse ~から落ちる,落ちてしまう,
dormir 眠る/ dormirse 眠りに落ちる,
など.

(4a)Pedro se comió una paella entera para cenar.
(cfr. Pedro comió paella para cenar.)
(ペドロは夕食にパエリヤひと皿を全部食べてしまった.
(cfr. ペドロは夕食にパエリヤを食べた.))

(5b)Ya se hanllevado toda la basura.
(cfr. Te llevo a casa en coche.)
(ごみはもう全部持っていかれてしまった.
 (cfr. 車で家まで送ってあげるよ.))

(5c)¿Ya te vas? — Sí, ya me voy.
(cfr. ¿Adónde vas? — Voy al supermercado a hacer la compra.)
(もう帰るの?―うん,もう帰るよ. 
(cfr. どこに行くの?―スーパーへ買い物に.))

(5d)El niño se cayó de la cama.
(cfr. La lluvia cayó con fuerza.)
(子供がベッドから落ちた. 
(cfr. 雨が強く降り注いだ.))

(5e)Al subir al coche los niños se durmieron en seguida.
(cfr. Dormimos sólo cinco horas anoche.)
(車に乗るとすぐに子供たちは寝入ってしまった.
(cfr. 私たちは昨夜5時間しか眠らなかった.))

再帰代名詞

再帰動詞の一部として働く代名詞 me, te, nos, os, se を再帰代名詞と呼びます.再帰代名詞は動詞の主語の人称・数と一致するものを使います.

再帰代名詞の3人称単数・複数は se ですが,
あとは目的格の代名詞と同じ形です.
le, les が変化したse を再帰代名詞の se と混同しないように注意。

(1a)Julia se lo mandó.
(le が変化した se)
(フリアは彼/彼女/あなたにそれを送った.)

(1b)Julia se lo comió.
(再帰代名詞の se)
(フリアはそれを食べてしまった.)

辞書では再帰動詞の不定詞は ~se などのように se を添えて書いてあります.

再帰代名詞の se の前置詞格は sí です.

(2a)Julia siempre habla de sí misma.
(フリアはいつも自分のことばかり話している.)

(2b)Paco se llevó consigo todo el dinero guardado en la caja.
(パコは金庫にしまってあったお金を全部持っていった.)

se の前置詞格は sí です.con と結びつくと consigo となります.

目的格代名詞と再帰代名詞の語順

 複数の代名詞が並ぶときには,次のような順番を守らなければいけない。

間接目的格+直接目的格

se + 2人称 + 1人称 + 3人称
(seは再帰代名詞と le, les が変化したもの両方に当てはまります)

se + te + me + le/les
   os    nos   lo/la/los/las

 例えば,「君は彼に私を紹介した」のつもりで
 ×Le me presentaste とは言えません.

再帰受身 pasiva refleja

再帰動詞では,3人称に限り
se受身文
se不定人称文

という用法があります.

se受身文について

se受身文はスペイン語で日常語としてよく用いられる。

Aquí  se  vende  pan.  (ここでパンが販売されている)
Aquí  se  venden  sellos. (ここで切手が販売されている)
     se  動詞  主語

英語の「be + 過去分詞」に似た受身(ser + 過去分詞) もありますが,
会話ではあまり使いません.

se受身文の特徴

1. 主語は一般に事物(パンや切手など)に限られ,
動詞はいつも3人称(単数または複数) になります.

(1a)En España se consume mucho aceite de oliva.
(スペインではオリーブオイルがよく消費される.)

(1b)Se alquilan apartamentos.
(掲示)(賃貸アパートあり(アパートが貸し出されている).)

(1c)Se prohíbe fumar.
(掲示)(禁煙(タバコを吸うことが禁じられている).)
人間を se受身文の主語にすることはできません.
× Antes se respetaban los ancianos.

2. 行為者(por... 「~によって」)を伴うことはできません.
× Este edificio se construyó el año pasado por un arquitecto famoso.

3. 語順は主語が動詞の後ろになることが多いです.
(3a)En los estancos se venden sellos.
(たばこ店で切手が売っています.)

(3b)Se construyó este edificio hace dos años.
(この建物は2年前に建てられた.)

主語が先に来ることもあります.
Este edificio se construyó hace dos años.

 次のような例はどうでしょうか.
Se necesitan cocineros. 
コックが必要だ.

 この cocineros は,実際に存在する人ではありません
(いないから「必要」なわけです).
これは人間のコックさんではなく,「コック」という役割を指しているだけです.ですから,× Antes se respetaban los ancianos. の文とは違って,se受身文として使うことができます.

se不定人称文

 再帰動詞には3人称に限り
se受身文
se不定人称文
という用法があります.

★se不定人称文について

se不定人称文は,「人が~する,である」という意味になります.
「誰が」を特定せず,誰にでもあてはまる内容を表します.
つねにse と3人称単数形の動詞との組み合わせでつくります.

Se va a Correos por este camino.
この道を通ると郵便局に行ける.
se 動詞(3人称単数)

自動詞/他se不定人称文の用法のコツ

自動詞/他動詞がそれぞれどのように使われるのかを見ながら学びましょう。

1. 自動詞の se不定人称文です.
(1a)Se come bien en este restaurante.
(このレストランはおいしい(おいしく食べられる).)

(1b)¿Cuánto tiempo se tarda de aquí a la universidad?
— Se tarda aproximadamente una hora.
(ここから大学までどのくらい時間がかかる?
―だいたい1時間かかるよ.)

(1c)¿Se puede (pasar)?
— Sí, adelante.
((入って)よろしいですか? 
― ええ,どうぞ.)

(1d)Últimamente se habla mucho del paro.
(最近は失業のことがよく話題にされる.)

2. 他動詞の se不定人称文です.
(2a)Ahora no se respeta a los ancianos como antes.
(今は以前ほどお年寄りを大切にしない.)

(2b)En este hotel se recibe a los clientes a partir de las tres de la tarde.
(このホテルは午後3時からチェックインを受け付けております.)
los ancianos, los clientes は人の直接目的語なので a がつきます.
 se不定人称文とse受身文は形の上でも意味の上でも非常によく似ています.名詞(事物)が単数形のときは区別がつきませんが,複数形のときはふつう動詞が3人称複数形となるので,ひとまずse受身と考えましょう.違いを簡単にまとめると次のようになります.

直接目的語 不定人称文   
自動詞   Se come bien.

他動詞     不定人称文
特定の人    Se respeta a los ancianos. 
事物    ×Se vende sellos.
      (En Chile se habla español.)
       (チリではスペイン語を話している.)
       受身文
特定の人   ×Se respetan los ancianos.
事物     Se venden sellos.
       En Chile se habla español.
      チリではスペイン語が話される.


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東京外国語大学 Tokyo University of Foreign Studies.


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