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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第二十八話 「輝水の源の国」シャリスタン

前話

 デートの帰り道、レオポルトは顔を赤くしながらユレーネに言う。
「帰り、ユレーネの城に着いていってもいいか?」
「いいけれど、何するの?」
「内緒」
「もうっ」
 ユレーネがレオポルトの頬をつねるが本人は上の空である。城に入るとリリアーナが飛び込んできた。
「リリアーナ?! 今日もアイシャードと妖精の国に行っていたんじゃないのか?」
「お兄ちゃんが来るからって待ってたの」
「って。やりにくいな」
 ぼそっとレオポルトは言う。その言葉を拾って尋ねてもレオポルトは思考の泉に落ちて帰ってこない。
「レオ! 帰ってきたわよ! 何をするの?」
「へ? ああ、国王に話があるんだ」
「私ならここにいるが?」
「わぁ!」
 レオポルトが飛びすさる。
「で、用件とは?」
「ひ……姫を俺に下さい。国王陛下!」
 そう言って頭を下げる。
「今日のデートでどこまでいったのかい?!」
「え……。セカンドキス……まで」
「なら、宜しい。間違いを犯さなければ娘はレオポルト王に差し上げよう。婚礼の式はまだ後だがな」
「それはもう!」
「それに、フロストトパーズの石が認めろとうるさい」
「え?」
 ユレーネが自分の薬指にはまっている婚約指輪を見る。途端、光があふれた。そこに儚げな女性がいた。
『レオポルト、よく成長しました。母は嬉しいですよ。そしてユレーネ。あなたがこの国の女王。レオポルトと良き国を作って。あなた方には新しく生まれる国の加護を授けましょう。水の加護を……』
「水の加護……?」
 どこかの国のエレメントに思えた。
『氷と炎がふれあえば自然と水になります。その新しい国をあなた達は治めるのです。「輝水の源の国。シャリスタン」の誕生となります。両国に長い間言い伝えられてきた国。あなた達はその始祖となるのです』
「シャリスタン」
 聞いたことのない国の名前なのになんだか懐かしい響きがする。二人ともいつの間にか手を繋いでお互いを確かめ合っていた。
『仲がいいのね。良いことです。お互いを認め合い、愛を育んで行って。さぁ、これが水の加護ですよ』
 何か冷たいヴェールがかかったような気がした。だが、すぐに消える。二人は空いた手を見るが何も変わっていない。光はいつの間にか消え、デボラも消えていた。
「母上……」
「また、アイシャードと繋げてもらえばいいわ。アイシャードはいろんな世界と繋がっているから。そんなに悲しい顔をしないで」
 ユレーネがレオポルトを抱きしめる。レオポルトもそっと手を回す。いくらか経って、コホン、という咳払いが聞こえた。
「あ」
 ばっと二人とも離れる。
「いちゃつくのはいいが、親の前だけは止めておきなさい」
「すみません」
 レオポルトが謝る。そこにふむ、と国王が二人を見る。
「新しい加護を得たようだな。二人で戦にいきなさい。新しい加護が助けてくれるだろう。ユレーネは毎夜、連れて行ってもらえないと母親に泣きついて困り果てていたのだ。二人で話し合ったのだろう?」
「はい」
 二人は力強く頷く。
「なら言うことはない。嫁に出すのは舞姫を極めてからだが、戦中ではその条件は後に取っておきなさい。氷の国の義勇団も貸そう。力強い味方になるはずだ」
 え、とレオポルトは固まる。
「カールの支配下ではないのですか?」
「そうだが、氷霊の守護者のボスは私なのだよ」
「ええー!」
 二人で驚く。
「お父様、いつの間に……」
「お前が両国の架け橋になりたいと思う前から準備をしていた。いつまでもいがみ合う時代ではない。幸いにもユレーネがその意思を継いでくれた。私は氷の国からでしか指示は出せないが、ユレーネが率いると良い。近く顔合わせもさせよう」
 そう言って国王は立ち去る。
 なんだったのだろうか。今の怒濤の展開は。娘さんを下さいから一気に流れが変わった。突然の流れにレオポルトはついて行きかねていた。ユレーネが手を引く。
「今日はリリアーナと一緒に夕食食べていって。私が作るの」
「わかった。楽しみにしている。リリアーナ。兄ちゃんと遊ぼうー」
 ユレーネに軽くキスをすると妹と遊びにでかけてた。その後ろ姿を愛おしげに見るとユレーネは城の台所に向かったのだった。


あとがき

カイロが熱いので外したら胃がいたくなってきた。また貼るのー?ってとこです。痛み止めで究極に胃が弱くなっています。

これは本格的に受験勉強も執筆も放り出してベッドでうならないといけないかもしれない。冷えが一番の原因なので。

今日詰めたプロット書きたいんだけどなー。第二部も書きたいし。フロリアン最後かというところだし。でもそれどころじゃない。痛みが……。無念。パジャマに着替えて寝込みます。

「魔法の遺産~運命の紡ぎ手」が出たらまたよろしくお願いします。これは趣味がもろはいってます。歴史に本にと。あとユングと。書きやすいだろうなぁ。謎解きは苦手だけど。卑弥呼の謎。ろまんやなー。私は何故か関西にいながら九州説なのですが。畿内説はどうも距離的にあうのか? と思って。

まぁ。ロゼッタストーンの如き石版を出すので(十戒と同じか)書きやすいんですよ。シャンポリアンの事は知りませんが。古代遺跡の設定がちまたにあちこちと。氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第二部もそうです。いつの間にかインディーさんになってます。何か他の建物はないのか、と今になって思う私。当分、これは続くので(あと半分はあるでしょう。)その間に修正してみます。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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