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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第二話 武器屋の親父とさし向かう王子

前話

 フェリシアは上手く、アドルフの手から逃れたようだ。フェリシアの気配は断ち切られることなくすっと消えた。殺されてはいない。
 ほっとしてレオポルトは寝床に付いた。
 
 満月の日まではあっという間だった。
 
 フェリシアが来たのは半月ぐらいの時だったが、あっという間に月は満ちた。
 
 レオポルトは昼から、適当に出かけてくると言いつくろってセレスティア国の武器屋の親父のところへ向かった。レオポルトはいつもふらふら外へ一日一回は外出してるため、またなの、という対応のままだった。。
 ここではアレックスと名前を偽っている。しかし、武器屋の親父は気にすることなく、一緒に酒場で夕食を食べた。武器屋の親父、フロリアンは酒を飲んだが、レオポルトは未成年だとわかっているため、果実を搾ったものを頼んでくれた。いつも、このフロリアンに払ってもらっている。レオポルトが払おうとすると、若者の金はデートのためにある、と言って払わせてくれない。一度ぐらい払っても問題はないのだが。
 食べる物はそんなに豪勢ではない。田舎料理だ。これぐらいなら王子でなくても払える。なのにフロリアンは頑として自分で払っていた。
「でさー。親父さん。次の剣のことなんだが……」
「その話は店でしよう。アレックス。酒のつまみになる話じゃねぇ」
「親父さん。もうそのくらいに酒は終わったらどうだ? アレックスも困ってるじゃないか。ぐだぐだに酔ってるぞ」
 マスターが声をかける。
「そうだな。アレックス、またな。今日は他に用があるんだろう?」
「親父さん!」
 どうしてそれを、とは言えなかった。お宅の国の王女と密会するんだ、とは言えない。
「見ればわかる。いつもの身なりじゃねぇ。お洒落坊主だな。女にこけにされるんじゃねぇぞ」
「はいはい。親父さん。途中まで、いや、家まで送るから。ほら。肩貸して」
 レオポルトは重たいフロリアンの背中に手を入れてよっこらしょ、と担ぐ。
「無事、送り届けてくれ。アレックスが来ると必ずこうなんだからな」
 マスターがやれやれ、と言う。
「それだけ愛情たっぷり受けてるから、これぐらい大したことはないよ。マスター。じゃ、また」
「また」
 レオポルトは片手で手を振ってフロリアンの家に急いだ。ユレーネはもう湖の上にいるのだろうか。
「待たせちゃったな」
「おう。女の子を泣かすんじゃねーぞ」
「親父さん!」
 フロリアンはその後ごにょごにょと言って深い眠りへと落ちていく。
「お、重い」
 人間は眠ると急に重くなると言う。フロリアンも例にもれず、重みがレオポルトにがっとかかってくる。
「親父さんー。何があるんだ? 俺に」
 フロリアンには弟子はいても息子はいない。奥さんは数年前に病で亡くしたと聞いている。その時の寂しそうな目は忘れられない。だが、そんな事を詮索している時間はない。
 なんとか送り届けると、レオポルトは湖に急いだのだった。 


あとがき

現在、雨の中の野球中継をかけながら、推敲してました。もう。先制点入れられたー。というのは横に置いて。レオボルドの発音は、ChatGPTに聞くとフランス語の発音だそうです。ドイツ語ではレオポルト。合ってるか定かではないですが。辞書があるので、引いてみればいいのですが、まだ調べていません。どこの本棚においたやら。おっしゃ。追いついた。って閑話休題。二話前後編に朝はしましたが、帰宅後やはり、場面が違いすぎるので二話、三話にわけました。続きはまだまだ頭の中でぼんやりしてるので思い浮かべば書く感じです。自己実現が最初なのですが、とっとと困難を共に乗り越えるになってる。やばし。あっという間に終わる。もう少し引き延ばさないと。アドルフが早い。まだ、出すつもりがなかったのに。どうなるやら。
今、超眠くなってきたので、とっとと今日の後編とした三話を上げてきます。

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