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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(28)

前話

「ちょっと。どうするのよ。カロリーネお姉様のお見合いが始まるわよ」
 最初の食事会では案はまったく出なかった。それで、内緒の夕食会を何度も開いている。未だ持ってアウグスタ様の実家は没落する気配はない。
 何回目かの合同夕食会で私は言う。お見合いの日が近くなっていた。
「羊でも放り込んだら?」
 クルトが言う。たくさんの羊が間を通ればお見合いはぶち壊し。いい案だだわ。クルトが言ったことだけど自画自賛する。
 そこへ冷静なヴィルヘルムの子が割り込む。
「室内だよ」
「そこをなんとか。ヴィーの力で」
 この際破滅的な魔力の持ち主で危険人物というは横に置いておく。
「それすれば、誰が妨害したかすぐバレるよ。相手はあのアウグスタ様だよ? 魔力の出所ぐらいはすぐにわかるさ」
「じゃぁ、打つ手なし?」
 しょぼん、として私はうなだれる。このままこの国をアウグスタ様に売り渡してカロリーネお姉様に苦しみを与えるの? 段々悲しくなってきてぽろぽろ涙をこぼす。
「エミーリエ。スープの中に涙は入れちゃだめだよ。塩味になるよ」
 そう言ってクルトが涙を拭いてくれる。
「だって……」
「魔力ではこちらが不利だ。いくら姉上の力が上がっていてもまだ無理だ。何か、動物ものね、か・・・」
 ヴィルヘルムまで動物ネタを探し出すのを見てクルトがパン、と手を叩いた。
「とにかく、一旦、動物ネタから離れよう。無意味だ」
「そうね。室内だものね。この国、神様っているの? あんまりよくわからないんだけど」
「ナイス! エミーリエ! この手があったか!」
 一人納得しているクルトの頭の声が聞こえない。
「今、頭の声聞こえなかったけれど、何かした?」
 唐突な話にクルトは考える。
「考えていることをそのまま口に出しただけだ。頭と口が別々だと聞こえるんじゃないの? 心の声が真実だ、って言ってるんじゃない?」
「って、簡単に」
「ほら。エミーリエの声も聞こえなかったよ」
 それは幸い。ほっとするとクルトが面白げに見ている。
「心の中で一人言は気をつけた方がいいよ。流れてくるから」
「もう! クルトの意地悪!」
 痴話げんかというものをしていると、ヴィルヘルムが入ってくる。
「痴話げんかは後でして。今は見合いぶち壊しの策を練る時間だよ」
「はぁい」
「はいー」
 頼りない姉と兄は間延びした返事をして弟の雷が落ちた。クルトの立てた策は「ご神託」だった。そんなものあるの? 考えるとまたクルトが言う。
「あるんだよ。この国には宗教のトップがいる。この国の宗教の元締めになる」
「元締めって、そんな武力集団みたいに言って……」
「そういえば教皇様の命令ならアウグスタ様も諦めるかもね」
 ふむふむ、とヴィルヘルムが肯く。
「さ。固まったところデザートだ」
 ヴィルヘルムは子供らしくフォークを振り回していた。ほんと、じじぃなのか子供なのかわからないわ。そう思いながら私も大好物になったケーキにフォークを入れていた。


あとがき
今朝は順調に事が運ばれてるので、更新が早めにできます。出勤さえできれば今週クリア。小説の執筆も昨日から風響を始めているので、今日中に一話できれば。あとは打ち合わせもいる。神殿のトラップを考えるのが大変。そして、硝酸塩をいかに分解を早めるかとそればかり考えてます。試験紙も足りなくなってきた。出勤に持っていく茶も足りない。う。また、眠たくなってきた。あとがきを考えるだけで眠い。お腹も痛くなってきた。トイレー。ということでトイレに走りに行って来ますー。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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