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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(63)

前話

 いくつものお母様の武勇伝を聞いていて、ふと時間がきにかかった。
 かなりの時間をここで過ごしている。向こうに帰ったらヴィルヘルムが大人になっているほど時間が経過してないかしら。
 ふっ、と思うとクルトも後ろにあるはずの扉を見る。また流れたのね。深いため息をつく。一方通行もたいがいにしたいわ。
 私の思考はおじい様にも流れたらしく、口を開く。
「大丈夫。この磁場の時間の流れは緩やだ。戻ってもそう大した時間は立ってないだろう」
「そう……」
 私は考えながらおじい様に言う。
「おじい様。お茶しましょう。アールグレイが飲みたいわ」
「エミーリエ。今はそんな時じゃ……」
 クルトが引き止める。私は声が震えないようにクルトに言う。
「最後におじい様との思い出を作りたいの。お母様の大好きだったアールグレイをおじい様と一緒に飲んだ思い出を」
 クルトは私の決意を察して見つめてうなずく。おじい様もうなずく。
「孫とお茶も乙なものだな。こちらへ。今の家は城ではないが、お茶ぐらいは出せる」
「おばあ様は?」
「二年前に亡くなった。はやり病でな」
「そう……」
 落ち込む私をクルトが手をぎゅっと握って励ましてくれる。
「最後と言わず、これからこの磁場にまた戻ろう」
「クルト……」
「扉はあるんだから」
 いや、とおじい様が言う。
「この世界へ一度来たらもう二度目はない。そういう磁場だ。重なった世界に一度だけたどり着けるようになっている。戻れば扉は消えるだろう」
 私は泣きそうになって唇をかみしめる。
「エミーリエ。時空を超える旅はそうするものではない。現実の時間の中で人は生きていくものだ。私の願いをかなえておくれ。さぁ、小さな我が家だ」
 そこはあたたかな木のぬくもりがある部屋だった。もうテーブルにアイスアールグレイが乗っている。
「いつもどのエミーリエもアールグレイを所望するのでな。先に作ってある。エレオノーラの思い出の紅茶なのだな」
「はい。向こうの世界でも飲んでいます。時々泣いちゃうけれど」
「それぐらいはクルトに甘えて泣いていい。家族を思う心はいつでも同じだ」
「おじい様~」
 こらえきれなくなった嗚咽が漏れる。クルトがぎゅっと抱きしめてくれる。
「さぁ。座りなさい。冷えているアールグレイが温くなってしまう」
「はい」
 ぐすぐす、鼻を鳴らしてソファに座る。クルトがグラスを渡そうとするけれどそのグラスに涙がぽたぽた落ちる。
「エミーリエ。豆のスープと同じで塩味になるよ。おじい様が入れてくれたアールグレイを塩味にしちゃだめだよ」
 クルトがグラスを持たせる。私は涙を拭いて一口飲む。その様子をおじい様は優しく見つめていた。
「クルトはよき夫になりそうだな。どのクルトもそれぞれのエミーリエに沿っていた。良い跡継ぎだ」
「恐縮です。いただきます」
 クルトがアールグレイを飲み、私を見る。泣いてないで飲んで、そう心が伝わってきた。
「クルト……。今、心の声が」
「俺も心の扉をエミーリエに開けたよ。これで安心だろう?」
「ツーと言えばカーだな」
 愉快そうにおじい様は言う。
「はい」 
 クルトがにっこり笑う。その晴れ晴れとした表情がまぶしい。
「俺にはエミーリエの笑顔の方がまぶしいよ。笑って」
「こ、こう?」
 ぎこちなくにっこり笑う。
「ちゅー」
「いたしません! デコピン制裁!」
「いてー。拳骨より威力があるね。俺も次からはこの制裁にする」
「だーめ。これは私の専売特許」
「えー。夫婦なんだから貸してくれてもいいじゃないか」
「まだ、婚礼の式はあげていません!」
「なくてもいいって言ってたくせに」
「娘が欲しくなかったらこのままでいいわよ」
 我ながらきわどい発言をする。そのやり取りを愉快そうに見たおじい様が豪快に笑う。
「いつも思うが、エミーリエとクルトは似合いの夫婦になるな。いい王と王妃だ。わしもこんな孫を持てて鼻が高い」
「ほかのお孫さんもこちらに逃れてきたんですか?」
 ふいに口にした質問におじい様は表情を暗くする。
「逃れてはきたが、戦乱が激しかったゆえ未来に送った」
 言い換えればは、私と同様に眠り姫になったということだ。私のいとこたちも眠り姫になっていい人と巡り会えたかしら。
「それは大丈夫だ。それなりに苦労はするが、最愛の家族を持つ。そうなるようにしてある。それぐらいは手入れをしていいだろう。最愛の孫と娘たちなのだから」
 おじい様の顔からまるで慈愛の気持ちがあふれ出ていた。どうしてこんなに優しいおじい様が魔皇帝なのかしら。
「若気の至り、というものだ」
「もう! おじい様にも流れっぱなしって困るわ!」
「いいではないか。孫と祖父の間に壁があってはならぬ。さぁ。お飲み」
 一向に減っていなかったグラスを見ておじい様は言う。私は味わうようにゆっくりとおじい様のアールグレイを飲んだのだった。


あとがき
GPTプラス高い。もしかしたら払えないかも。今日、ニンテンドースイッチにつぎ込んだ。そして、やはり以前のアカウントでダウンロードしたゲームは全部没。大金がー。せめてルルアのアトリエしたかった。ライザとソフィー2はソフトがあるのでセーフ。マリーリメイクも。高い。アマゾンでも。通常版が売ってない。それどころではないのだけど。かなりのソフトも売ることにして、整理しました。ルーンファクトリーもちんたらするのでもう売ることに。ドラクエも。ダウンロードにロマサガがあるのでですが。ダウンロードは怖い。安いけど。来年に持ち越し。攻略本なかったらできないし。アトリエもこだわるのやめようかなー。パワプロとどうぶつの森だけとか。なぜか練習はしてるけれど実力がつかない。しかもWBC版なのでプロ野球の人がいない。いや、阪神がない。阪神以外は知らない。そのうち阪神のチャンスチャントとかいれそう。そして今夜はおさぼりしていたお詫びに訳あり、ユメ、載せます。少々お待ちください。

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橘優月/切り替え完了/
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