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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第一話 旅立ち。それは未知の世界だった……。

 前話

「じゃぁ、お母さん。行ってきます」
 リアナがまだ、狐につままれたような表情で言う。
「行ってらっしゃい。大きく育ってきなさい」
「お母さん、背が伸びるみたいに言わないで」
 シェイラが口を出す。
「成長しに行くのだから一緒ですよ」
「助長させないでください! 母は天然ボケキャラなんですから!」
「そう?」
 シェイラは面白そうに母と娘を見る。
「リアナー。早く王都に行こうよー。玉の輿に乗るんだから」
「フィオナ。あんたの狙いはそれか」
 フィオナは王都に行けば貴族がじゃらじゃら歩いていると思っているらしい。
 
 そんなに世間は甘くないわよ。
 
 その言葉がきっかり、自分に返ってくるとは思いもしなかった。
 
 街の門を出て郊外に出る。
「シェイラさんはどうやって来たんですか?」
「馬を借りたの。でも、ここからは歩いて行きますよ」
 シェイラの言葉に怠け者のリアナは文句を言う。
「シルヴァリアに乗れないの?」
 フィオナが唐突に言う。
「シルヴァリア?」
 リアナとシェイラが同時に言葉にする。リアナは肩に乗っている相棒のフェアリードラゴンが乗れるのか? と。シェイラはフェアリードラゴンの名前が何の名前かわからずに声を上げた。
「この子。フェアリードラゴンです。フィオナ。この子こんなにちっちゃいのよ。乗ったら潰れちゃうわ」
「シルヴァリア、という名前なのね。可愛い子。リアナと同じ水のエレメントを象徴してるのね。もちろん、乗れますよ。でも、最初の旅は練習していかないと。王都に着けばあなた達は二人で旅をするのよ。旅のコツをしっかり覚えてもらわないと。そうね。この冊子をあげるわ。旅の導きにもなり、旅の記録もできる冊子よ」
 シェイラがどこからか小さな冊子を出して二人に出す。
「旅の導き……?」
 リアナが冊子の名前を読む。
「歩きながら話しましょうか」
 シェイラが歩くとリアナもフィオナも着いていく。その様子をくすり、とシェイラは笑う。
「まるでカルガモの子ね」
「って、王都どこにあるか知らないもの」
「しかたないわね。この旅行に必須の道具を入れた鞄も上げるわ。方位磁石で方角を探して旅をするのよ。それに、生き残るには水と食料の確保だけは忘れないように。リアナは水のエレメントを持っているから、水の浄化はできますね?」
「ええ……。まぁ。授業でしただけだけど……」
「必ずしも綺麗な水が手に入るとは限らないわ。道具を使って水を浄水する事もあるけれど、リアナは魔力を磨くためにも魔法でしたほうがいいわね。水の確保をリアナ。食料の管理をフィオナでしなさい。リアナ。お腹が空いてもフィオナとケンカしてはダメですよ。夜食は厳禁。間食もよ。本当に、リアナの癒やしの雨が降るのはいつかしらね」
「癒やしの雨?」
 すらすらと流れるように話すシェイラの言葉を怪訝な顔でリアナが取り上げる。
「『世界に癒やしの雨が降る。少女は世界を救うでしょう』という予言の一節よ。この荒れた世界に立つのは、リアナあなた。ようやく見つけた癒やし……」
 シェイラが続けて言おうとするとリアナがシェイラの片足を踏む。
「世界を救うってばっかり言ってたら実家に帰らせてもらいます!」
 実家と行っても嫁に行くわけではにないのだが、リアナにとっては世界の救済は非常に重く、暗く心にのしかかっていた。勝手に何度も言うシェイラに怒りがついに爆発したのだ。
「まぁ、それは後になるとわかることだから今はうるさく言いません。まずはお互いの運命の人を見つけなさい。リオナとフィオナも一対の存在。そして相手の運命の相手も一対の存在。お互いがお互いの鏡となる存在。まずはそれを目指しなさい」
「鏡?」
 リアナとフィオナは顔を見合わせる。なんのことだかさっぱりわからない。
「さぁ。もう少し歩くと小川があります。今日はそこで野宿しましょう」
「野宿!」
「いよいよ。旅らしくなったわね」
 どこかの童話の猫がにやり、と笑ったかのようなシェイラの不敵な笑みにリアナとフィオナは震え上がったのだった。
 
 大いなる旅は扉を開けようとしていた。リアナの最初の一歩が踏み出された。


あとがき

何やら改稿が目に見えているようなのですが、交流戦も無事、勝利したので見ながら書いていた第1話をアップします。何か、まだ書きもらいしているような……。ファンタジーの旅ってどうするの? という基礎中の基礎に落ちた私です。スレイヤーズぐらいしか想像がつかない。宿屋にいけるし、ドラゴンにも乗れるし、ドランゴンをホバリングさせて寝たら無敵だし。ホバリングする方は大変だけど(笑)。ドラゴンの生態に詳しくないので何かで調べる方がいいのでしょうか。いろいろ調べてみたら、水やら食料やら寝袋とか出ました。寝袋ってあるの? と今日書きながら思いました。見たときはふ~ん、と思いましたが、いざ、想像すると現代の寝袋しか思い付かない。これは却下だな、と思いました。テントもない世界かもと思います。あったら追い剥ぎの格好の餌食ですよ。テント張ってキャンプファイヤーしてたら狙ってと言わんばかりです。野獣が来なくても人が来る。火の番ってどうするんでしょ。お相手が見つかったら男の子だからしてくれるけれど彼らの眠りの間は女子の時間。交互でするんでしょうね。きっと。謎が謎を呼ぶこの連載物。恐ろしい蓋を開けてしまいました。がんばります。

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