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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:絆の騎士知恵の姫 第三話 巡礼の道

前話

「この山を越えるの?」
 フィーネペルルは目の前にでーんと構えている山を見上げて言う。
「『エレシアの聖堂』への道のりは巡礼とされていたんだ。聖なる山を越え、険しい道を歩いてたどりいた者だけに近づくことのできる聖域だったんだ。帰るかい? フィーネ」
 まだ、婚礼もしていないのに、夫のように言うヴァルターにむっとしながらも、フィーネペルルは首を振る。
「ここまで来て帰るものですか。山越えだろうが獣道だろうが行くわ。もちろん、ヴォルトが手助けしてくれるのを待っているわけでもないわ。これは私の試練。一人で越えるわ」
 珍しく勝ち気な目で言う、そんなフィーネペルルにヴァルターは苦笑いする。
「何も手伝ってはいけないという決まりはない。君に怪我をさせても治す本人ができなければ難しい。当然、私が先頭を切って歩くよ。フィーネに危ない事をみすみすさせるわけにはいかない。さぁ、山を登ろう」
 目の前には坂道がある。そこへ歩き出してヴァルターは手を差し伸べる。その手を取りたくないが、ヴァルターの気持ちを無駄にするのも嫌だ。不機嫌姫の顔をしつつ、手を取る。
「懐かしいね。その不機嫌姫の顔は。さぁ、行こう」
 一行は厳しい山越えを始めたのだった。
 山道は険しい。野生の獣がいるということで全員、獣除けの鈴をつけている。カランカラン、と鈴の音がなる。
「まだ上がるの?」
 勝ち気だったフィーネペルルも険しい道に弱音が出てくる。
「それが君のこれからの道だ」
「これから?」
 ぜいぜいと汗をかきながら息荒く道を歩いているフィーネペルルはヴォルターに聞く。
「王位継承をすると言うことはこの山越えの様に、厳しいんだ。この巡礼の道は君にこれからの事を教えてくれてるのかもしれないな」
 ヴァルターは言う。幼馴染み王子達は平気な顔をしている。カタリーナはライアンに背負われている。ゾフィーは気丈にも額に汗しても一人で登っている。そんな義理の姉の事を見たフィーネペルルは振り返ってゾフィーを見る。
「どうしたの? フィーネ」
「ゾフィーが心配で。こんなことに巻き込んでしまって。足が辛いでしょう? 夢の事を黙っていれば」
 気弱になっていくフィーネペルルにゾフィーは返事を返す。
「フィーネこそ。試練をこんな時に経験しないと行けないなんて。本来なら花も恥じらう花嫁の喜びを味わっているはずなのに」
「ゾフィー」
「フィーネ」
 姉妹で手を取り合う。それをべりっと剥がすヴォルターだ。
「姉妹の抱擁はこの峠を越えてからやってください。陽が落ちる前に抜けないと」
「そうね。行きましょう」
 フィーネペルルが率先して歩き出す。足も辛いだろうし、靴擦れもしているのに気丈に歩く。ゾフィーは内心、フィーネペルルの強さに驚いていた。人のために命を捧げられる姫だったと思い起こす。
 フィーネペルルはゾフィーの記憶喪失を解消するためだけに生死の境をさ迷った。そして今はまた、巡礼の試練に立ち向かおうとしている。
 
 なんて、強い姫なのかしら。
 
 この姫に慕われる自分ならば、もっと頑張ろうと歩く。気づけばフィーネと隣り合わせで歩いていた。
「ゾフィー。手を」
 フィーネペルルが言う。
「ええ」
 二人は強く手を握り合う。そして歩き出す。その様子を見ていたヴォルターは二人の変わりように驚いていた。
 引きこもりの姫だったフィーネペルル。武道の心得はあるものの、こんな経験はしたことのない姉。その二人が手を取り合って困難を乗り越えようとしている。ヴォルターは一種の畏敬の念を覚える。
「この峠を越えたら一休憩しよう。無理して歩くと傷が広がる」
「傷? ああ。靴擦れね。その事も考えて治癒道具は山ほど持ってきたわ」
「カテリーナ」
 二人の姉妹の顔が輝く。三人の女性は手に手を取り合って歩き出す。
 峠を越えて少し下った所で休憩を取る。カテリーナが持ってきた道具で靴擦れの手当をする。ライアンやヴァルターは何も無かったが、幼馴染み王子達達は黙々と歩いていたが、やはり靴擦れを起こしていた。そんな王子達の治療もカテリーナがする。ライアンは面白くないだろうが。だが、そのライアンも女性三人の絆の深さに強く感銘を受けているようだった。
「我々の姫君はつよい。エルフリア王国は隆盛するだろうな」
「目に見えるようだ」
 ライアンとヴォルターが言っていると、ガレンとエドリック両王子も驚きの眼差しで見ている。エドリックの視線は別の視線だが。
 休憩しながら一行は聖なる山を越えることができた。
 次は、荒々しい道だ。聖堂に近づくつれ道は楽になってくるが、この道は変わらない。だが、この三人の女性はけろりと、こなしてしまった。
「あの山に比べれば、こんな道なんてエルフィの散歩道よ」
 愛犬を引き合いにしてしつつフィーネペルルが言う。それを聞いた幼馴染み王子達は戦いていた。
 あのぴーぴー泣いていたフィーネはどこへ行ったんだ?
 すさまじく変わった幼馴染みに王子達も驚いていた。


これまでの話


あとがき
昨日、病院でこれからの筋道を整理してChatGPT4.0さんと打ち合わせしていて、これもすすめないとなーと思ってた所です。五話まで作っているので期を見て掲載していきます。Wordpressももうちょっと見てあげないとね。ほったらかしでした。NOVELSDaysとともに。あっちは「影の騎士真珠の姫」を終わらせたかしら? アレが終わってこれになるので前提がないとお話にならない。そして、一時の午睡から目覚めて水分枯渇です。飲んでいるのですが、おっつかない。経口補水液がほしい。オン・ザ・ライスは母の反対にもあい、しませんでした。でも、昼食作る予定だったみたいです。休んだり休日の昼は自分でまかなえと言ってるのでカップ麺を食べたのですが。気まぐれな母にも困ります。今日は幻の景色も見ました。コリパンダの水槽のコリちゃんが全員でていたのです。六匹いますが、一匹はいつも隠れ家にかくれて生死もわからないほど。それがふと見た拍子に六匹のコリちゃんがいるところを見ました。今もよく出てくる。小ジュリちゃんとコリパンダさんたちがいます。小ジュリちゃんはいつも出てくるのですが、先輩ジュリーの大ジュリちゃんがなかなか姿を現さないんです。この姿を目撃した今日はラッキーデーですね。おや、ステちゃんまで。五匹揃ってます。砂掃除してあげたいけれど、そこまでの体力がない。しかし、サンダーバードなんでグーメールとれないのかしら。パスワードは変えたし。許可を下ろすところで狂ってるのね。Windowsのメールは機能しているんでいいけれど、fitbitのアカウントなんです。これも代えておけば良いのかしら。って取り替えてました。のでこれから投下。前作のマガジン載せておいた方が良かったかしら?
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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