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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫第十四話 不機嫌な婚約者

前話

 執務の前にとまた、しつこく、フィーネペルルはヴァルターと共に母の元へ向かう。気にかかってしょうがないのだ。緊張した面持ちで母に声をかける。
「お母様。記憶を戻す藥というのは知ってる?」
「記憶を戻す藥……」
 しばし、頭の中を探っていた母、エレナは図書室へ来るように言う。
「確か、この辺に……」
 しばらく、本棚を探していたが、一冊の本を取り出す。
「この本は薬草の詳しい事が載っているはず。二人で読みなさい」
 本をぽん、とフィーネペルルに手渡すと出て行く。
「二人で、とは……。お母様はどうして……」
 訳がわからないと言ったフィーネペルルの頬にヴァルターがキスする。
「きっとこういう仲になったとわかったんだろう。デートしながらの読書だ」
「で、デートって」
 フィーネペルルは急に喉元が苦しくなる。頬は熱いし、先ほど唇が触れたところがさらに熱い。そんなフィーネペルルの唇にそっとヴァルターは唇を重ねる。本がばさり、と落ちる。フィーネペルルは知らず知らずのうちに手をヴァルターの首に絡めていた。
「ずっとこうしたかった……」
 ヴァルターの情熱的なキスにフィーネペルルは翻弄される。気づけばヴァルターのはだけた胸に顔を埋めていた。自分の胸元もヴァルターがキスをしてはだけている。この後に何かあるとヴァルターは言いたげだったが、あえて抑えたようだ。
 心臓がばくばくしている。
「ヴァルト。この先もあるの?」
「あるが、ここは図書室。見とがめられれば一生側にいられない。続きは婚礼の式の後で」
 
 婚礼!
 
 フィーネペルルは降ってわいた婚礼の文字に驚愕する。ずっと結婚などしないと思っていた。
 
 私に婚礼!
 
「なんだか信じられないようだね。私はフィーネを離すつもりはない。姉の事が終わればずっと、側にいる」
「でも。あなたは故国に帰らないと……」
「私のいる場所は君のいる場所だ」
 もう一度強くキスをしてヴァルターがフィーネペルルの落とした本を拾う。
「さぁ。読もう」
「読もうって……。よほど心臓に毛が生えているのね」
 自分はどうかしてしまったと思って気が気でならないのにヴァルターはもう平気な顔をしている。憎らしく思って頬をつねる。
「痛い。フィーネ」
 とがめる声を聞き流して隣に座って本のページをめくる。見知らぬ薬草の事だらけだ。多少は知識があったが、これでは役に立たない。
「執務は後回しね」
 ヴァルターから本を奪ってフィーネペルルはページをめくる速度を速める。そこへつんつんと肩を突かれる。
「今日中にこなさないといけない執務があるんじゃないのかい?」
 その言葉にすくっと立ち上がると本を抱える。
「ヴァルトはその心臓に見合った訓練でもしてれば?」
 どうして先ほど情熱的にキスをしていた婚約者がこんなに不機嫌なのかヴァルターは不思議でならない。
「私もわからないのよ。自分の感情が」
 そう言ってさっさと自分の執務室へ戻っていった。フィーネペルルのご機嫌をそこねた理由がわからない。頭を軽く振ってヴァルターは理性で抑えた男の性をなだめに剣を振るうため訓練場に向かった。


あとがき
おひいさん。そりゃ、ご無体な。ヴァルターが哀れな。書いた後にうちの姫君はどうしてそんなに早熟なんですか? と聞きたい。己の手はもう勝手に動く。まぁ、書き手の年齢から行くとこれぐらいは当たり前なのですが、読者層を絞っていないため、どなたが読むのかしら、とドキドキ。
この手の話ってどこの年齢層やら業種やら特定すれば? と悩みます。書きたい文章と読まれる文章は違う、と実感はとっくの昔にしてるので、どうしたら……、です。

そして、たった二日の勤務なのにばったり倒れてます。ので、今日の野球は始め見て途中寝てしまい、上手い具合に九回表を見て試合終了でした。また負けた。

で、漢検の勉強をしようとして、パソコンを出したり直したりが面倒なので更新作業を先にしてます。書きたかった「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」の部分は二話にわったって書けたので、次は「風響の守護者と見習い賢者の妹」のみ。他の話はまた明日以降と言うことで。とりあえず、眼精疲労を取ろうと必死です。明日、メガネを買いに行くかどうかも悩んでいて。フレームは使い回しができるので、結果3300円さえあれば証明写真を機械で撮っても普通のメガネが撮れるメガネができるのですが、また1週間後に行くのが面倒。足も最悪ですし。エレベーターはありますけどね。駅に。父はいないため車はないのです。私自身が乗れないため。明日は目の前のスーパーで買い物して昼食を取って夕方料理ですかね。野球もあるようだし。お。そろそろ考えていた時間になります。寝る前にまた一個何か更新するかもしれません。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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