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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第二部 次代の姫  第二話 当騎の異変

前話

「禰宜! 上がるわよ!」
「おい! 抜け駆けすんな! よう。邪魔する」
 神社の奥に走って倉に突撃しかけた步夢を当騎が追いかける。そこへ優衣が走り抜け、暖が追いかける。ブレーメンの音楽隊のように数珠つなぎで入っていく。相変わらず婿養子のかつての純粋なる子供はため息をつく。
「おじいちゃん!」
「おー。あーちゃんか?!」
「そうよ。今は步夢。むーなの!」
 ひしと過去世の祖父と孫が抱き合う。それを嫉妬して見る当騎である。
「だから、嫌だったんだ。ええい。もういいだろう!」
 べりっと二人をはがして步夢を腕の中に確保する当騎である。
「で、一の長老。何か成果は?」
「これと言っては……。そなたらが最初に彼の地に出向いたことぐらいしか載っておらん。竹簡にまで遡ればいいのだろうが。ただ、勾玉は二つそろっておる。彼の地と此の地を結ぶ勾玉が。行き来はできるんじゃなかろうか」
 いや、と当騎は否定する。
「最後には二手に分かれるような気がする。約束は約束だからな。あっち行きこっち行きじゃ勤めが務まらん」
「あーちゃんや。いってしまうのかえ」
「たぶん、ね。優衣はこちらの巫になるわ。きっと。だから孫は全員行かないわ。私の妹だもの。優衣もおじいちゃんの孫よ」
「あーちゃん……」
 一の長老が祖父となりきってうるうる涙をうるませていると当騎の背中に思いっきり何かがぶつかってきた。
「いてぇ。ん? 幼児?」
 幼い子供が必死の形相で走ってきていた。
「あーたん!」
「あーちゃん!」
 またも感動の再会だ。綾音だろう。光の神の声を聞くことができる子供。綾音。一度は我が子として生まれてきた。が。今、我が子とは思えない。步夢は愛情多過なのだ。あちこちに愛情を振りまいている。それがまた当騎にしては面白くない。しかし、幼児からは奪えない当騎である。
「ねんねものんのんもまだいないの?」
 ねんねとは我が子冬音の愛称。のんのんもだ。夏音として家族をまとめてくれていた。一気に過去が巻き戻る。当騎は膨大な記憶の波にのまれそうになる。
「おにぃちゃん。ここで倒れないで。神聖な倉だよ」
「後ろから禰宜が支える。
「助かった。今、やばかった」
「何が?」
 步夢が振り返る。
「いいたかない」
 不機嫌そうに当騎は答える。
「すねないでよ。この年で産むことはないんだから」
「そーいう、危ない発言はやめれ」
 そう言って步夢を抱きしめる。
「お兄ちゃんの独占欲は何回生まれ変わってもなくならないねぇ」
「そー言う、お前こそ、しっかり初代の家庭を守ってるじゃないか。準」
「え。ほんとにジュンっていうの?」
「いつも代わり映えのないジュンという音に支配されてるよ。たまには変わった名前になりたいよ」
「純粋な子なんだからしかたありませんわ」
「あれ? 優衣。暖。付いてきたの?」
 意外そうに言う步夢にメンバーは脱力する。
「突っ走る癖は暖以上か」
 征一がふむふむと納得している。
「しらないわよ。別に突っ走ってもなぎ倒しても居ないし」
「步夢。それだけは言わないでくれ」
 かつての暴挙に恥ずかしい暖である。
「もう。知らない」
 つんとそっぽを向く。で、と切り替える。
「勾玉は?」
「ここにある。本家へ納めに戻るか?」
 一の長老が箱を見せる。
「一回消えたこともあったしねぇ。どうしよう」
「俺は、ここで古文書を読みたい。帰るなら帰れ」
 当騎はそう言って倉の奥に入っていく。
「え。当騎、帰らないの?」
「何回かよわなあかへんの。俺はめんどくさいことはしいへん」
 暗号みたいな関西弁が丸出しだ。当騎の頭の中でなにやら不思議な事が起こってるらしい。そっとしておこう。優衣とアイコンタクトをする。
「わかった。帰らないとお母さん心配するし、当騎はここに気の済むまで泊まっていって。宿泊代ぐらいは出すから」
「おう。おおきに」
 ダメだ。本当に頭の中がしっちゃかめっちゃになっている。朝一でまたこよう。当騎の異変は何かのきっかけかもしれない。
 步夢は当騎の頬に軽くキスをすると倉をでる。片手に綾音の手をつないでいる。
「あーちゃん。しばらく当騎おにいちゃん、見てて。綾音ちゃんならわかるかもしれない」
「わかった」
 幼児なのにしっかりしている。この顔なら大丈夫だ。
「ちょっとうちの子を巻き込まないでよ」
 父の突っ込みがはいる。
「今だけよ。ねんねものんのんも私が産まなきゃ生まれないんだから仕方ないでしょ。のんのんの上を行くのがあーちゃんよ」
 あの小さい子供達が懐かしい。会いたい。でも、この年で産むわけにはいかない。
「ヤングパパママか……」
 その発言に優衣がぎょっとしている。
「姉様、それは……」
「大丈夫よ。そんな十六の母なんて大変に決まってるじゃないの。もっと先よ」
 とか言いつつ十八で結婚して子供ばかり産んでいた過去だ。どうなるやら。
 考え事をしながら歩く步夢を当騎そっくりだ、と思うメンバーである。夫婦は似るのかもしれない。結婚はしてないが、まだ。

 果たして、今世で生まれる我が子はいつになるのか。
 真っ赤な夕焼けに思いをはせる步夢である。

 それに。と步夢は不思議に思う。この神社に伝わる勾玉はこの世界のものだ。行き来が出来るとは思えない。何かこれからある、そんな予感が步夢の中を抜けていった。


あとがき
見出し画像変えました。どうも髪型が気に入らなくて。プロント文を少し調節してあのウサギ子ができました。あっちが理想の髪型。優衣も作りたいわー。当分、出そうにもないけど。トラが勝ったー。幸せ。やっとよ。木並選手がしょうしょう調子が上がらないけれど、あの方肩甲骨骨折中。そりゃ痛いよなー、と思う。勝ってよかった。かなり、ピンチでした。論文読んでいる人いるの? 学位論文載せようかしら。まぁ、いろんなタイプの話書くので、バラバラになるのですが。論文草稿は今、休止中。読んでる暇がない。登販のお勉強が……。そしてオマージュが。そして鬼の居ぬ間の心の洗濯が。明日丸亀ー。かスタバ。あひるの保険です。あー。野球見れないのかしら。久しぶりにウィンドウショッピングしてきます。最近見方も、この辺は点はいらんなと思うと席が立てたり出来るようになりました。帰ってくると逆転されてるとき多いですけど。今日は森下選手のホームランで勝てました。バモス! ここまで読んでくださってありがとうございました。

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