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【新連載・ロマンス・ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第六話 裏切りの真夜中

前話

「ちきちゃ~ん。ミルクの時間ですよ~」
 怖い幽霊の出る丑三つ時、苦手なモノをど忘れして步夢は千輝のハウスに近づいた。近くでは当騎が外国の映画を原語で聞いていた。こういうときの当騎は不安な状態だ。どうしたものだか……。今は、軽々しく近寄れない。とりあえず、ぴぎぴぎ言っている千輝にミルクをやる。
「それ。何時間ごとにしてるんだ? 寝不足になるぞ」
「そっちこそ。真夜中に映画なんていいご身分ね」
「千輝がぴぎぴぎ鳴いてたからそばに来ただけだ」
「じゃ、おやすみ。ちきちゃ~ん」
 あっさりと当騎を切り捨て子犬にミルクをやる步夢である。
「仮にも前世の夫をそんなにバッサリと切るのか?」
「昔は昔。今は今よ。ね。ちきちゃん。よく飲むわね。さ。ママがトイレもしますよ~」
 ニコニコ子犬の世話をしているが、背中はさみしそうだった。あべこべな步夢の精神状態に額を押さえる当騎である。
「甘えるときは甘える。千輝がそうだろうが」
 そう言って肩を引き寄せると腕の中に連れ込む。暖かい人のぬくもりに過去を思い出す。切ない心が湧き出てくる。このまま、当騎とどこかへ行ければ……。思いを振り払い、文句を言う。
「ちきちゃんのトイレタイムよ。う○ちまみれになっても知らないわよ」
「我が子なんだから本望だ」
「もう」
 步夢は膨れながら千輝のトイレタイムを終わらせるとベッドに戻す。
「違う時間軸なら、二人だけだったのかな……」
「時間軸、か……。そうでなくても俺はお前しかいない」
「智也はどうなるの? またのけ者にされるの? あなたの一部分よ」
「そうだな。俺、だ。だけど、魂は俺なんだ。主体は俺。主体がお前を愛して何が悪い」
 開き直った当騎に步夢は苦笑いする。
「こんな年で愛してるもないでしょーが」
「ある。俺たちだけにはある」
 自分を曲げないで断言するところも初代と一緒だ。
「もう。頑固なんだから。ね。ちきちゃん。ちきちゃんはパパとママとどっちについて行くの?」
「ぴぎ?」
 千輝は不思議そうな瞳の色で自分たちを見ている。遠い記憶にある瞳の色。どきり、とする。
「ちきちゃん。その眼。まさか……落ちてきたの?」
「そりゃ、誰かが落としたんだろうが。パパの方へ来い」
 当騎が抱き上げる。
「違うわよ。彼の地、を覚えていないの? 私たちの先祖はあの土地から来たのよ」
「彼の地? 子孫が行くって世界だろ? って、俺たちが子孫か。俺たちが行くのか?」
「当騎は違うわよ。吉野の血が入ってないし。それに宝珠も持ってないでしょ?」
「あ。ああ。生まれたときにいつも持ってたのに、今回はなかった」
「明日そのからくりを見せてあげるから不良少年はハウス。ちーちゃんも寝ようねー」
「おい!」
 当騎から千輝をとりあげるとゲージに入れる。千輝はまた眠りだした。
「俺の子を勝手に取るな」
「この子にはミルクと寝ることが仕事なの。当騎の気まぐれに付き合ってる状態じゃないんだから」
 そう言ってするりと抜け出そうとする步夢を当騎は引き留めて抱きしめる。
「これは気まぐれなんかじゃない。ずっと抱きしめたかった。許されないとしても……。手はいつもお前を求めていた。やっと。抱きしめられる」
 少し、当騎の声が震えていた。気持ちが伝わる。どれほど思ってもらっているか。でも叶わない想い。
「当騎。今だけよ。今だけ。今だけぎゅーっとして。私も当騎に抱きつきたかった。これでも大変なのよ。あちこち出来事がわいてでて。千輝ちゃんと当騎が癒やしなの。離れたくない。本当は。でも智也を放っておけない。毎回命削ってるんだもの」
「そうだな。昔のお前とそっくりだ。智也も幸せな気持ちになるようにしてほしい。二人も両手をひっぱって苦しいだろうが。智也に今だけでも……」
 口がすべりそうになんって当騎は口に手を当てた。バレたら步夢が変な術でも使って助ける。そしてその代償に步夢は消える。
「当騎?」
「なんでもない。しばらくこのままでいさせてくれ。何があってもお前がいると思えるように」
「当騎……」
「步夢……」
 二人は見つめ合う。そのまま顔が近づいていく。
 そっと、唇が触れあう。
「初キッスね。苦い」
「そうだな」
 二人して智也を裏切った。今。どうすれば、みんなが幸せになるのだろか。步夢は切ない思いで当騎の胸に顔を埋めた。


あとがき
さて、ここ数日ひたすら寝てました。野球だけは見ているけれど。羊羹もお預け。これから買いに行ってもいいんだけど、外が以上に暑い。
で、久しぶりに来てみれば、かなり休んでいたのね、状態。まだ、六話??? もう13話目に突入の執筆状態なのに。書くか、柴犬見るか、野球か、寝るかの数日でした。でも、ナルコプシーじゃないようです。母にいってみればそういう状態の人はぱたんと倒れるように寝てしまうそうです。私は普通に布団入ってエアコンガンガンにして寝てました。今日、ようやく起きれましたが、甘いもの不足。全額を交通費に入れたためスーパーに行けない。店に行けばICOCAで買えるけれど。それに、さっき、団子を支給されたので母に頼むわけにも行かず。羊羹~~~~という状態です。眼が何かおかしいんですが、原因がわかりません。見えにくいのです。テレビやパソコンが、老眼がひどいのか、近視がひどいのか、よくわかりません。
さて。今日は七夕。その物語を書きたいのですが、步夢で書くには時期があわない。訳ありのスピンオフショートストーリーでもするか、というところです。しかし、頭はぼーっとしていて動かない。コーヒーか?最後のアイスコーヒーにでもしましょうかね。またエッセイの勉強書きますのでお待ちください。

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