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【再掲載小説】ファンタジー恋愛小説:最後の眠り姫(32)

前話

「この事例も使えないわね。一体、いくつ幼礼婚の習わしがあるの」
 私とクルトは図書室の禁帯出本の場所でぶつぶつ文句を言いながら見ていた。ヴィルヘルムは優雅にフリーデとおデート。まぁ、どんな儀式かもしらないし、私がクルトと二人で行動する方が周りは喜ぶのであえてそうした。迎合する気は無いけれど、可愛い弟のためだもの。なんでもするわ。
「あら。昔は初夜になるまで顔も見なかったのね」
 私が一人言を言うとクルトが真っ赤になっていた。
「いつも『ちゅー』を言う人がなに照れてるの」
「強いね。エミーリエは」
「強い、じゃないのよ。フリーデの恋心を見た人間とすればなんとか幸せになって欲しいのよ。ヴィーもね」
「それは同じだけど、これ以上古文書を見ても正解はでないよ。新しく作れば?」
「どうやって?」
「エミーリエがこの国の中心なんだからエミーリエの作りたいように作れば?」
 クルトの言葉に私は苦笑いする。
「魔皇帝の血を引くだけで対応がすごく変わるのね」
「まぁね。幻の血筋だから。そういや、君も狙われるね。その国家機密並みの秘密で」
「もう、一度狙われたじゃないの。警備つけても一緒よ。クルトが側にいてくれたら問題ないもの」
「エミーリエ。君、今何を言ったかわかってる?」
「へ?」
 呆けてクルトを見る。
「俺と、二人っきりでいいと聞こえるよ。二人きりになるともれなく」
「ちゅー」
 二人同時に声が重なった。私はけらけら笑う。
「『ちゅー』を言っている間はなんの進展もないから大丈夫よ」
「って、ここも二人きりなのも知ってる?」
「それが?」
 私はページをめくりながら言う。途端に視線が変わった。目の前に天井が見える。クルトが私を床に押し倒して倒れ込んでいた。
「こうなると『ちゅー』も変わるんだよ」
 クルトは予告なしで「ちゅー」をする。私はどうしていいかわからない。ただ、息が苦しい。どんどんと胸元を叩く。
「怒った?」
「違う! 呼吸できないじゃない!」
 違う意味で怒った私に今度はクルトが笑い声を上げる。
「キスして息苦しいって言われたのははじめてだよ」
「あら。私の他にどなたか、が?」
 ちろん、とにらみつけるとクルトは真っ青になる。
「若気の至りだよ。若気の」
「十分若いけど?」
「埒が明かないからヴィーを呼んでくる!」
 クルトが飛び出す。
「逃げたわね」
 どう懲らしめてやろうかと私は手の関節をポキポキと鳴らしていたのだった。


あとがき
うーん、クルトの血筋はエリアーナの方かと思っていたけれど、やっぱり、幻の血筋となると無理難題。300年程前に入ってきた新しい民族ってやつにしとくしかないですね。でもきっとクルトとエリアーナは繋がってる。でなきゃ、ヴィルエヘルムみたいな子ができるわけがない。そして、二千年の恋人1改題してKindle化したけれど、電子書籍特別編をつけるのを忘れた。まだ書いてなかった。どうしよう。次のシリーズでやるか。テンプレートが姫君のがなくなっていて、困りました。イチから作ろうとしたけれどうまくフォトショみたいにできない。ので簡単にテンプレートに文字入れしたものを作りました。しかも、日本語保存ではだめでやっぱり英語表記しか受け付けなかった。良い感じの作ってたんだけどね。ティアラも素材しかないから作りづらい。テンプレートはそこそこ良いのがあるので、次の作品を手入れします。って風響が~。しかし、復帰にはまだまだ時間が必要。編集作業でアウトプットして行きます。あとユメは行けるところまで載せますね。これから。って後日に渡ってですが。これも最後終わってないので途中掲載で止まります。その後は訳あり姫をイチから掲載します。古すぎて覚えてないと思われるので複製してやります。では、編集の世界へ行って来ます。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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