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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第十四話 朝日の滴

前話

「ししょーのパウンドケーキやっぱりおいしー」
 口いっぱいに頬張って何を言ってるかわからないほどだが、当騎は聞き取る。
「それで、ですね。これが例のペンダントなんですが」
 ししょーが箱を持ち出す。步夢がむせる。背中をさすりながらししょーをにらむ。
「誤嚥性肺炎でしょう? 日史がいる間は大丈夫ですよ。この子も出たがっているんです。久しぶりの親子の再会ですから」
「その子も妖精か?」
 その昔、パオという剣の精霊がいた。人間に変わって幸せな人生を送った。
「さぁ。どうでしょう。よろしいですか。陛下」
「う、うん」
 ししょーが箱の蓋を取る。まばゆい光があふれる。
『落ち着いて。落ち着きなさい。わかったから』
 古代語で言い聞かせる步夢である。光が弱くなる。
「はい。久しぶりね。いい子にしてましたか?」
 母性全開でペンダントとわからん会話を繰り広げる步夢である。
「むーは俺と子供のもんだ! お前には渡さん」
 步夢を引き寄せペンダントが落ちる。
「あー!!」
 慌てて拾おうとするししょーと步夢である。
「なんだい。そんなちんけな石後生大事にして」
 当騎がすねる。
「そー言う問題じゃないの。天変地異を起こせるのよ。これは。日本沈没したらどーするの!!」
「そんなにひどいのか?」
「強いのかの間違い。訂正して」
「いいじゃないか。それぐらい。で、智也の石をどうするんだ」
 優衣が立ち上がる。
「石を入れた箱を持ってきますわ」
 軽快な足で屋敷を走る。
「優衣は素直で可愛いなぁ。相手がうらやましい」
「どーせ、私は性格が悪いですよ――だ。ねぇ。ししょー身内だけでしましょ」
「おひっ」
「ほら。性格悪くても居てほしいんでしょ?」
「負けた。ツンデレと勝ち気があったんだった。昔の可愛いあゆを返してくれー」
「残念ながら持ち合わせておりませんー」
 そこへ優衣が戻ってきた。
「どうしたんですの? 姉様」
「昔の私がかわいいんですって。残念ながらないわ。木っ端みじんよ」
「そうですわね。つい先日までは。うじうじなさったけれど」
「あゆ、じゃない。むー?」
「毎夜、枕を涙で濡らしていたのですよ。姉様は」
「泣いてたのかっ」
 步夢の方を揺さぶる。テーブルが揺れる。
「わかった。わかったから。全部後で言ってあげるから、テーブルごとひっくり返さないで。これじゃ、ちゃぶ台返しよ」
「むー……」
 当騎の顔色が悪い。そんなに不安に思うことではないんだけど。
「大丈夫だから。今は。さぁ、陽の石と陰の石をこのペンダントで『朝日の滴』にしましょ」
「わかった。おとなしくしてる。あゆ化してるようだ」
 すとん、と自分の椅子に当騎は座り直す。
「後で特効薬あげるから。今は少しまってて」
 にっこり、当騎の弱い向日葵の笑顔を浮かべる。その後真面目な表情になる。
「大僧正。ペンダントを」
 正式に古の女王としてししょーに対する步夢である。ペンダントは淡い光を放っている。
「さぁ。始祖の石よ。その力を我が名、古の女王のにおいて力を発揮せよ」
 ペンダントを掲げると光が一直線に二つの石に当る。二つの石が鳴動を始めると一瞬、ぱっと光が輝いた。当騎はまぶたをつむる。
 まぶたを開けるとそこには朝日のごとく太陽の光を思わす光を放つ蒼い石があった。まるで光が燃えているようだ。
「これが……朝日の滴」
 触れようとしてやめる。自分の出自は吉野ではない。やけどなどするのが落ちだ。
「これを母様に?」
「ええ。光を浴びさせればお母さんは目が覚めるはずよ。明日、行こうか。優衣」
 え、と小さく優衣は驚きの声を出した。
「大学は……」
「そんなのお母さんの命に比べればゴミよ」
「でも必修で一コマでも落とすと発掘へ行けないのでは」
「行くな、ってことでしょ。お母さんの方が大事よ。当騎にもごろにゃんしてあげる時間を持ちたいしね」
「相変わらずお前は」
 当騎は步夢の頭を抱き寄せる。いつだって人の事を考えて自分の事を棚に置く。そして自分を犠牲にして。いつもいつも。
「当騎。しっかりして。当主になるのよ。一緒に。これぐらいで泣かないの」
「泣いてない」
「泣いた」
「デコピンの刑!」
 当騎が步夢の額をはじく。
「いたいー」
「そりゃ痛いだろ。デコピンなんだから。優衣、朝日の滴は箱の中にしまって大事に持っていてくれ。俺たちはすぐなくすからな」
「そうね。優衣お願い」
 額をさすりさすりして步夢は言う。いつも追いかけてばかりいた姉が自分を頼ってくれている。うれしかった。にっこりうなずいて立ち上がる。
「大事に保管しますわ」
 少女らしい顔で優衣はまた部屋へ戻る。
「さぁ。優衣が戻ればお茶会続けましょ。お菓子、これだけじゃないでしょ? あ。ちーちゃんも呼んでこよう。ちーちゃんはご飯だろうけど仲間に入れてあげなきゃ」
「一緒に行こう」
 当騎が立ち上がって步夢に手を出す。いつも差し出される当騎の手。步夢は確かに手を置いて連れ立って千輝を迎えに行ったのだった。


あとがき
この頃はよかった。人数少なく、いちゃいちゃもする。恋愛小説だ。今や、こっこ○○○の情景になっている吉野家。話題は子供が持って行く。親のいちゃいちゃがない。どっかにつっこまないと。なのに、つっこみようがない。
今日、野球ないー。さみしい。でも負けるのもちょっと。チカナカナミそろうといいけれど。と、おなかがすいているので夜食祭りしてきますー。明日は羊羹を食べないと決めた夜です。

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