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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第四話 アイシャードとリリアーナの贈り物

前話

 しばらくしてアイシャードから改めて手紙が来た。
「いちいち、手紙にしなくても言えばいいのに」
 ユレーネの婚礼の準備があると言うことで氷の国から追い払われたレオポルトは八つ当たり代わりに言う。
「まぁ。花嫁の美しい姿を思い描いていればいいじゃないですか」
「お前はいいよなー。レナと早々に婚礼したんだから。今や三つ子のパパだし」
 レオポルトの側近のカールは一癖も二癖もある敵に回したくない人物の一人だ。そのカールが氷の国へ逃げてきたときにユレーネの侍女と恋に落ち、アドルフが亡くなって、即席の即位式をレオポルトに受けさせると有給休暇を取って侍女のレナと結婚して新婚旅行にまで行っていたのだ。その時に授かった三つ子はそろそろ騒がしい所だ。レオポルトはいいよなー、と当てつけに言いながらペンを回す。
「私の家庭のことはいいのです。今度は王がお幸せになる番ですよ。これぐらいは我慢して下さい」
「やだ」
「やだって……」
「お兄ちゃん!」
 わぁ、とレオポルトとカールはお互いに抱き合う。リリアーナが突如現れたのだ。
「お爺ちゃんの手紙読んだ?」
「まだだけど?」
「今すぐ読んでイーカムに乗って来て!」
「来てってどこに?」
「いいから。イーカム出てきなさい。お兄ちゃんを乗せて国境付近に来るのよ! じゃ、おねえちゃんも呼ばなきゃ!」
 そう言ってリリアーナは消える。目の前の窓の外にはイーカムが既に鷹に変化して待っていた。
「仕方ないな。行くぞ。カール」
「私もですか?」
「側近が来なくてどーする。新郎の友人代表だぞ」
「そうですが……。ってあわわ」
 レオポルトに引っ張られ、バルコニーからイーカムに飛び乗る二人である。
「あ。ニコ忘れた。まぁ、後から来るか」
 遠くからニコが叫んでいるのを聞いてほったらかす。
 空高く飛ぶイーカムからの視界に入ってきたのは、国境付近の緩衝地域に建っている建築群だった。イーカムが地に降りる。ユレーネが建物の前で呆然としていた。
「ユレーネ!」
 レオポルトが駆け寄る。
「レオ!」
「綺麗になったな。また」
「レオ……」
 良い雰囲気の二人の後ろでコホン、とカールが咳払いする。
「あ」
「いいですけど。妻が恋しくなるのでね。どうやら式典用の建物と宮殿をアイシャードが建ててしまったみたいですね」
「あー。リリアーナが人質に取られたー」
「人聞きの割ること言うでない」
「アイシャード! これは……」
「ワシからのプレゼントじゃよ。この両国に平和をもたらしてくれた王と女王への」
「ここがシャリスタン?」
「まだ、変わってはおらぬ。その秘密は感動の内に味わう事じゃ」
 高笑いしてアイシャードが去って行く。またぴゅっと消える。そしてリリアーナがぴゅっと現れる。
「おめでとう。お兄ちゃん! お姉ちゃん! リリアーナも手伝ったの。お姉ちゃんが大好きって言ってた氷の国の花を飾ってみたの。明日、また来てね。明日が式典だから」
「あしたー!?」
 大人組は大声を上げて叫ぶ。
「そう。明日。すべては明日変わるのよ」
 ふふ、と不気味な笑いを残してリリアーナも消えた。
 
 シャリスタン。「輝水の源の国」はいつ現れるのだろか。ユレーネとレオポルトは呆然とただただ見つめ合っているだけだった。


あとがき
読み返せば読み返すほど一癖も二癖もある人間ばかり。ニコだけが素直です。熱い野郎ですが。
あらすじとかマガジンに書いてあるのでこの後の展開はバレバレですが、あまーい世界(だったか?)お楽しみください。ていうかリリアーナばかりが目立っていた気がする。甘ーい大人の世界は数行だったような。
上部フィルターのマットを取り替えて綺麗な水槽の水になったら白コリのかあちゃんはまた産卵です。朝撤去しましたが、朝食を終えて戻るとまた……。帰ってからにしよう、とほったらかし。半日おいててもまだ孵化はしない。五日おくとやばいですが。
とりあえず、これだけは二度寝防止で更新して行きます。私の朝活この三十分です。おかげで昨日は執筆ばかりして漢検は四文字熟語のみ。それでもいくつかは忘れているので毎日復習です。そして漢検のテキストに第四版改訂があることが判明。準2級は三なんですが。また一から~。ということで三改訂で進める事に。多少の違いでそんなに違わないと祈る。そして学研のありがたーい本は3級まで。準2級からはない。がーんです。欲しいものリスト作って次に使う級のやつリスト化しておきました。また改訂されるかもしれませんが。常のアンテナ張ってないとダメなんですね。本とにがーん、です。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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