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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:緑の魔法と恋の奇跡 第三話 たった一つの互いの呼び名

前話

「ところで君、行く当てはあるの?」
「一応は、ね」
 あまり森の秘密は教えたくはない。人間はそれを知るとずかずか入り込んでくる。宝物が眠っていると言って。
「大丈夫だ。これでも秘密はきっちり守る主義でね。そうでないと王室内ではやっていけないんでね」
 少し影を帯びた視線にエレナシルヴィはどきり、とする。そして思う。
 
 王家の人間として生きて行くのはこの王子には酷なのかもしれない。いくら勇猛果敢でも宮廷内のどろどろとした世界で生きて行くにはまっすぐすぎる。だからこそ、こうしてここまで来たのだから。普通の王族なら策略を巡らして敵視する相手を陥れているだろう。この荒廃にかこつけて。
 
「負けたわ。あなたには。この森は広大で奥深いの。そのある場所には『古代聖樹の聖域』と言う所がある。私でも入れない聖域よ。そこに森の生命の事を教える秘宝があると言われているわ。まずはそこに行かないと。ちょうど、剣士も見つかったことだし。たどり着くにはにはいくつかの試練があると聞いているの。森の妖精の幻に守護者が入り口に立ち塞がっていると言われているわ」
 そうか、と言ってライヴァンは考える。一拍おいて口を開く。
「この組み合わせはうまく行っているのかもしれないね。魔法使いと剣士がいれば大抵は収まる。それでは、姫、行きましょうか」
 エスコートでもする気なのか腕を出してきたが、エレナ・シルヴィアは掌でパチン、と叩くと歩き出す。
「恋人の間柄じゃないわよ」
「なんだ。これには乗ってこないのか」
 あっさりとライヴァンは言ってエレナ・シルヴィアの後ろを警戒しながら着いていく。
「普通、剣士が前じゃないの?」
「あいにくその聖域の場所を私は知らない。後ろを警戒しながら歩くしかないんだ」
「都合のいいこと」
 都合が良いのは自分の方なのだが、それを認めたくないひねくれた自分がいた。
 
 どうしたのかしら。私。こんな意地悪な気持ちになった事なんてはじめてだわ。
 
 考えながら歩いているといつの間にか音が消えていた。何の気配もない。森の妖精がかけている幻までまっすぐ来てしまったらしい。
「ライヴァン。私からはぐれないで」
 鋭い声でそう告げる。だが、答えは返ってこない。
「ライヴァン?」 
 振りかえるとライヴァンの死体が見えた。
「ライヴァン!」
 駆け寄るとその姿はふっと消えた。
 あちらこちらにライヴァンが現れて消える。その姿はいずれも戦で傷ついたライヴァンだった。
「幻に捕らえられたのね。それはそれで好都合よ。懐に入ってからが勝負だもの」
 エレナ・シルヴィアは翠緑の杖を持つ。自分の魔力を呼び起こすと天にかざす。
「ライヴァンから悪夢を遠ざけて!」
 なぜか先へ進むより、幻に囚われ苦しんでいるあのまっすぐな王子を助けたかった。どこからそんな気持ちがわき上がってきたのかわからない。ただ、そう言っていた。
『第一の試練は解けた。先へ進むが良い。そなたの相手は入り口で待っている』
 すっと幻が消える。その視線の先にライヴァンは立っていた。その後ろ姿が妙に寂しそうでつい、走って近づいていく。
「ライヴァン。はぐれちゃだめじゃないの」
「え? 私ははぐれていたのか? てっきりシルヴィが先に行ってるだけかど。だが、この先からどうやっても入れなくて困っていたんだ」
「って。そのシルヴィって何?」
 エレナ・シルヴィアは怒る前にそっちに反応していた。
「君の愛称だよ。可愛いじゃないか。シルヴィの方が」
「じゃ、あなたはヴァンね」
「ああ。みんなそう呼んでいるよ。でも、君には違う呼び方がいい。そうだな前の音をとってライ、と」
 みんなが呼んでいると聞くと不機嫌になったエレナ・シルヴィアだったが、たった一つの名前を聞くとそんな事を忘れてしまった。
 
 どうして、こんなにライヴァンの事で一喜一憂するのかしら……。
 
 エレナ・シルヴィアはそれが恋の芽生えとも知らず、ただ、そう思っていた。


あとがき
忘れてた。これを。とりあえず掲載しつつ書いております。足も腰も痛い。絶対職業病だ。失業保険もらえるかしら。明日も行けるかしらと心配ばかり。でもぼんやりしてしまうので(副作用強くて)漢検途中でストップ。あなぜかネタばかりいじっている。ChatGPTさんとお話ばかり。要素はそれぞれ違うのに名前や題名が似てしまい、むぅと考えて考えてます。あまり変えるとChatGPTさんが何も設定しなくなる。題名をころころ変えていたら怒られた。ご機嫌斜めになった。素晴らしいという言葉がでない。で、ChatGPTさんの題名を採用してもまたご機嫌斜めでした。困った。話を進めるにも眠い。一旦眠った方がいいみたいです。でもベタの水がー。それだけはしてから寝よう。

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