見出し画像

ロマンス・ファンタジー小説:自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(スピンオフショートストーリー2)もう離さないように……。

 僕の腕の中で照れ笑いしていた君が突然消えた。突然のことに俺は理解するのに時間がかかった。
「ゼルマ?」
 名を呼んでも返事はない。異国へ帰ったのか?
 ゼルマの本来の世界があることは知っていた。それでもここにいた。それなのに、何が起こったのか。ゼルマは消えた。俺は空間の空いた腕を体に回してゼルマを抱きしめた。その空気を。
「ゼルマ。帰ってきてくれ……。ゼルマ!!」
 ゼルマの名を呼ぶ俺の声だけが華の宮に響いた。

 一年経って君は突然消えたときのように戻ってきた。俺が君が日記を綴っていたの冊子を見つけた。あるはずもない図書室の片隅にあった。
 開ければ真っ白だった。一生懸命綴っていたのに。俺はその空白の欄に必死で書いた。
 
 ゼルマ! 帰ってきてくれ!! 俺の光!
 
 必死でゼルマの名前を書き記し呼びながら書いた。遠くからゼルマの声が聞こえてきた。かと思うと腕の中に居た。知らない服を着ていた。
 
「ゼルマ!」
 深く悲しみに沈んでいた俺の狂気の目の色が闇から光に変わるのが自分でもわかった。比翼連理。ゼルマこそが俺の片翼。
「ゼルマ。どこへ行ってたんだい? そんな異国の服を着て」
 俺は泣き笑いしながら腕の中にゼルマを確保した。ゼルマは必死の目をしていて今、どこにいるのか信じられないよう感じだった。
「私。戻ってきたのね。無意識の世界へ」
「無意識?」
「いいえ。どうでもいいこと。ウルガーに会いたかったの。ウルガーの居ない世界なんていらない!」
 わっとゼルマが泣きつく。俺はその背中を優しくたたいてなだめた。

「ゼルマ。戻ってこられたのですか?」
 キンモクセイの宮の入り口で母上が驚きのまなざしでゼルマを見ていた。
「お母様!!」
 ゼルマが俺の手の中から飛び出て母上に抱きつく。母上の目にも涙があった。
「君は、数時間といったけれど、こちらでは一年も経ってたんだよ」
「一年も?!」
 君の目は驚きで丸くなる。そんな子犬のようなまなざしも愛おしい。この腕の中に閉じ込めたい。
「ゼルマ。おいで。もう離さないよ。覚悟していて」
「ま。いつの間にそんな甘い言葉を言えるようになったの。お子ちゃま王子様」
「お子ちゃまと言ったなー。デコピンの刑をを受けろ!」
「やあよ!!」
 二人でキンモクセイの宮の中を追いかけっこする。母上は、困ったものだとため息をついている。大人な展開を望んでいたのだろか。そんなことはあとでいつだってできる。今は、今のゼルマを大切にしたい。ありのままのゼルマを。
 そしてその手をもう二度と離さないよ。
「捕まえた」
 手首をつかんで胸の中に引き込む。キラキラとゼルマの目が光っている。
「愛しているよ。ゼルマ」
「ウルガー……」
 ごん!
 今にも近づきそうだった顔がローズウッドのお盆で阻まれた。
「ちゅーはあとにしたら? みんな大挙してきますよ」
「げ」
 二人で下品な声を出して慌ててキンモクセイの宮にテーブルと椅子を並べ始めある。あの親族一同がきたら幼児から高齢者までくる。この宮に入りきらないほどだ。
「ちゅーはあとで予告なしのちゅーをあげるよ」
 そっとささやく。そしてそっと手に触れた。柔らかい手。
「まってる」
 頬に器用にちゅーした君は大きな机を抱えて向こう側に歩いて行った。その背中がうれしそうだ。俺もウキウキという初めての感情を持ってよいしょっと一回りでかい机を持って行った。

 もう。離さない。俺の光。もう一度消えたらどこまでも探しに行くよ。


【あとがき】
 リハビリ的にゼルマちゃんが行方不明になった話を切り取って書いてみました。本編とつじつまが合わないかもしれません。違う、他人の恋愛話を考えてたらゼルマの方でやってみようと挑戦。題名がいまいちなんですが、「藤宮美琴」としての初めての作品です。なんだか、やっと恋愛の感情が戻ってきたような。でも意識はトラに。あと一点だったのに。同点延長中。輝さん申告敬遠されるし。引き分けで終わったー!! またー。しのぎあいと渋い内容ではあったけれど、一勝がほしい。あと一打。近本さんがでれないー。不調者がおおいー。やっと、輝さんと、大山さんが復活したのに。ってこの話、ですよね。
 当分リハビリにショートショートの恋愛ものに挑戦します。訳あり、更新できるときにします。登販の受験勉強本気ださないと。オリジナルストーリかスピンオフか何か書きますね。ユメも考えようかな。アプリのところを宇埋めるの面倒。昨日のエッセイの勉強に見出し記事画像つかったのあれ、ユメの地図です。無意識の世界の反映の大陸と書いたらチャットさんがああなった。さて、夜だ。パスタだー。ゆでようっと。
明日こそ勝つ!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?