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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第七話 使い魔シルヴァリア。背中の上に家?!

前話

「南ってこっちよね? ん? こっち?」
 方位磁石と世界地図とにらめっこしてリオナが悩む。見かねたマルコが磁石と地図をとりあげる。
「マルコ!」
「はいはい。こっちだよ。姫君達は本当に二人だけで旅をするはずだったのかい? これじゃ、目的地にたどり着く前に死んじゃうよ」
「失礼ね。いざとなればこの子が助けてくれるわよ。ねぇ。シルヴァリア」
 肩に止まっているフェアリードラゴンに声をかける。にゃー、と可愛らしい声で答えるシルヴァリアである。
「へー。フェアリードラゴンってにゃーって鳴くんだ。いい子だね~」
 ちょいちょいっとマルコが喉を撫でる。ごろごろ喉を鳴らすシルヴァリアである。
「ちょっと。シルヴァリア。ご主人様は私よ!」
 文句を言うとシルヴァリアは羽根をばたつかせた。かと思うと突然巨大化した。
「し、シルヴァリア?」
 飼い主のリオナすら、及び腰だ。
「にゃ~」
 相変わらず、巨大化した体に見あわない声を上げるが、音が大きい。
 
 周りに他の旅人達がいなくてよかった……。
 
 リオナは胸をなで下ろす。もう夕刻だ。普通の旅人は街に入り、宿屋で食事を取っている時間だ。リオナ達は迷子になって行き遅れたのだ。
「うなう~ん」
 シルヴァリアは鳴いて首をくいくい動かす。
「乗れって、こと?」
「うな~ん」
「助かった~。野宿なしだ~。フィオナ、マルコ、乗るわよ」
「って?」
 フィオナもシルヴァリアには乗ったことがない。マルコは一人で面白そうに見ている。
「ほら。こうやって」
 うんしょ、とリオナはシルヴァリアに乗ると手をフィオナに差し出す。
「こ、こう?」
「そうそう。上手」
 妙に明るいリオナである。その心の中は迷いで一杯だとは誰も見ていない。マルコは推察していたが。ほんのちょっとしたことにリオナは敏感に反応していた。心に余裕がない性だ。
「マルコ? 野宿するの?」
「シルヴァリアの上なら安心できから。乙女達とは離れてシルヴァリアに乗せてもらうよ」
 よっ、と言うとすっとシルヴァリアに登る。巨大化したシルヴァリアの上は芝生があった。何故か小屋まで。ここで寝れば良いようだ。乙女のためのお風呂まで常備されている。 
 フェアリードラゴンの上ってこんなに贅沢だった?
 
 魔法学校ではそんな事一つも教えてもらっていない。
 
「グレートマザーだよ。シルヴァリアと繋がって君を助けているんだ」
「グレートマザー?」
 リオナとフィオナが聞き返す。
「ああ。王宮で星を降らせた人だよ。名前は知らないけれど、偉大なる母といってグレートマザーと呼んでいるんだ」
 ふーん、とリオナはマルコを見る。ただ、それだけだ。恋愛感情一つなかった。フィオナに運命の相手ができたときには嫉妬もあったが、今はそんな感情一つ沸き起こらなかった。
「君も疲れているね。食事をして寝る方がいい」
 マルコがぽんぽんと頭を叩く。リオナは目が点になる。その後、しばらく固まっていたが、意識を戻すとマルコに言う。
「する相手間違えてるわよ!」
「いや、今のはリオナだよ。フィオナ、今日の食事は一緒で良いかい?」
 野宿しているときは火の番と警備を兼ねてマルコがしていた。ここではシルヴァリアは上空にいるからもう、警戒する必要はない。
「ありがとう。シルヴァリア」
 シルヴァリアの背中に頬を寄せて愛情の気持ちを伝える。シルヴァリアの喜ぶ感情が伝わってきた。
「いい子ね。あなたは」
 自分の子供のようにシルヴァリアを思ってふとグレートマザーに気を回す。
 
 あの人もこんな気持ちだったのかしら。
 
「リオナー。ごはんできたよー」
「はぁい」
 リオナはもう一度軽くシルヴァリアの背中にぽん、と手を置くとフィオナの方に行く。
 
 旅のスケールがどんどん大きくなっている。その事に少し不安が増えたリオナだった。


あとがき
これが一番進んでるみたいです。もう18話まであった。それも序盤の話だというのに。試練がまだ二つ目に出会って、次の行き先が決まった所です。
どの話も進めようがなくてうーとうなっていらいらしてます。今日は土曜日。例の日です。ショートショート書かないと。

テーマも決まってないため、夜までに書ければいいほう。

あまり。「BARウイスキー・アンド・ローズ」ばかり出してもねぇ。何か違う季語とかでないかしら。熱帯魚とか。歳時記いじろう。
というか丸投げ方式があった。季語を使ってと条件ツケしてやってみよう。でも最終的には自分の掌に収まるという。どれだけいいテーマもらってもそれていく道。書き手の手はおかしいです。なんでまた先週はあれなんだか。登録商標だろうから滋養酒に変えましたが。

さて、丸投げに行ってきます。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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