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獣医師コラム:犬の甲状腺機能低下症

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甲状腺機能低下症は犬で多く見られる病気です。甲状腺ホルモンの分泌不足によって繰り返す皮膚病や外耳炎、肥満など様々な症状が認められます。命にかかわるような緊急性ある症状ではないため、甲状腺機能低下症が見落とされていることもあります。甲状腺機能低下症が隠れていたため、病気がなかなか治らないことや、再発しやすいということもあります。今回は甲状腺機能低下症について詳しく解説いたします。


■ 原因

原因の多くは甲状腺に病変があるためですが、まれに下垂体や視床下部の異常によって甲状腺機能低下症が起こります。
甲状腺に病変が存在
・リンパ球性甲状腺炎
・特発性甲状腺萎縮
・甲状腺の腫瘍
・先天性
甲状腺以外に原因
・下垂体や視床下部異常


■ 症状

甲状腺ホルモンの分泌が不足することで様々な症状が現れます。
・脱毛(左右対称性の脱毛、鼻梁の脱毛、尾の脱毛)
・色素沈着
・再発性膿皮症
・外耳炎
・肥満
・脈がゆっくりになる
・活動性低下
・血液検査での異常(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、貧血、ALPの上昇)
まれに
・顔面神経麻痺
・ふらつき
・前庭障害
・低体温、寒がる


■ 診断

臨床症状と以下の検査を組み合わせて診断します。
甲状腺機能検査:甲状腺ホルモンT₄、(サイロキシン)、fT₄(遊離サイロキシン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定します。甲状腺機能低下症の場合、多くはT₄、fT₄が低下します。TSHは増加していることが多いですが、異常がみられないこともあります。
超音波検査:甲状腺の異常を確認します。

※ユウサイロドシック症候群
ユウサイロドシック症候群とは甲状腺以外の重度の病気や投薬によって甲状腺ホルモンが低下する現象です。甲状腺機構低下症と誤診をしないために、病気の治療後に再度甲状腺ホルモンを測定し診断する必要があります。
甲状腺ホルモンを低下させる原因
・投薬(プレドニゾロン、フェノバルビタール、非ステロイド性抗炎症薬、など)
・麻酔や手術
・重度の全身性の疾患


■ 治療

レボチロキシンナトリウムと言う甲状腺ホルモン剤を投与します。
治療を開始した後に、症状の改善の確認とT₄を測定し投与量が合っているか確認します。
活動性の低下の改善は治療開始1週間以内に改善され、高脂血症は数週間以内に改善されることが多いです。皮膚症状の改善には数か月時間がかかります。甲状腺機能低下症は生涯投薬が必要となります。

甲状腺機能低下症の症状(活動性が落ちたこと、肥満や皮膚病を繰り返すなど)を、犬が歳をとったせいだと思い込んでいる飼い主もいらっしゃいます。甲状腺機能低下症は治療すれば経過は良好である病気です。甲状腺機能低下症の症状に当てはまるものがある時は歳のせいだと決めつけず、動物病院で甲状腺機能検査を受けることをおすすめします。


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