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【子どもの貧困】働かざる者、食うべからずという考え方の背景にあるもの

こんにちは。

 

個人的に「子どもの貧困」を勉強中です。

その中で、少し驚いたことがあります。

 

それは、

『日本では、貧困になったのはその人の責任だという第三者。そして当事者自身もそう思っている』

ということです。

 

▍「貧困」というリスクは、誰にでも存在している

実際の貧困家庭は多くの場合「その人の責任」というわけではありません。

むしろ誰しもがそうなる可能性、リスクがあり、実際にそれが生じたために貧困になってしまっている背景があります。

 例えば、貧困の連鎖というのがあります。

貧困家庭における教育格差は明確にデータが示しています。

すなわち、お金がないので、高校にいけない、大学にいけない。

中卒、高卒では働ける口が少なく、あっても給与水準が低く不安定。

そのため貧困家庭で育った人が、社会人になっても貧困になってしまうという連鎖が生まれます。

 

また一家4人(夫婦、子供2人)の家庭であったが、ある日、夫が鬱病を患ってしまい働けなくなる。最悪の場合、夫が不慮の事故や病気によって死に直面してしまう。

残された妻は、専業主婦であったため、なかなか正社員にはつけず、パート・アルバイトをする。

遺族年金や児童扶養手当などあるものの、子どもが中学校、高校進学の時期を迎えていて家計が逼迫する。

 

こうしたことは本人が望んでいるわけでもありませんし、本人も何とかしたいと思っているにもかかわらず、貧困から抜け出せなくなっているわけです。

 

▍貧困を当事者と責任とする見方の発端

こうした貧困に対して、日本では「その人が悪い」という見方が強いというのです。

これは少々驚きました。

実はこうした「貧困に対する見方」が共通しているのはアメリカです。

アメリカは格差社会であり、貧困はその人の責任だという見方があるようです。

日本と共通しています。

 

戦後、日本は、アメリカ型の政治システムを導入しました。

格差を前提とするのも、子ども関連の政府支出が低いのもアメリカと共有しています。

医療に関しては、国民皆保険ということでアメリカとは異なりますが、敗戦によりアメリカ型のシステムが採用されるのは、防ぎようのないことでした。

最初は、こうしたことが「その人が悪い」という見方を形成したのかと思いましたが、アメリカから導入したのは、あくまでシステムという仕組みであり、思想・信条までほとんどを受け継いだわけではありません。

そう考えるともっと根深いものなのだろうと思います。

▍働かざる者、食うべからず

「働かざる者、食うべからず」という言葉があります。この言葉自体は、キリスト教・聖書に登場するようですが、日本人はキリスト教は少数派です。

まだ私自身にも、確たる意見がないのですが、こうした見方は、少なくとも戦後形成された「新しい概念」というよりは、明治時代あるいは江戸時代といった時期までさかのぼるように思います。「第2章 近代日本の貧困観 - ジェトロ・アジア経済研究所」という文献をみつけました。

http://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/pdf/2004_04_29_02.pdf

ここに、

このような欧米に範を取った「社会運動」が本格化するのは明治30年前後であり、例えばキリスト教プロテスタント系の救世軍(サルベーション・アーミー)が日本で活動を始めるのは明治29(1985)年であった。

ひょっとすると、明治時代の貧困対策は、キリスト教がベースになっており、

新約聖書の『テサロニケの信徒への手紙二』3章10節には「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」という一節

これにより、「貧困はその人の責任」という思想なりが形成されたのかもしれません。

 

とはいえ、私自身、勉強中なので、これはこのあたりでとどめておきます。

 

▍貧困は、アクシデントや貧困の連鎖という「不可抗力」

いずれにしても「貧困」対する見方、「働かざる者、食うべからず」という要素が強いとすればそれは変えていかなくてはいけません。

実際には働きたくても、育児や家事のワンオペで非正規でしか働けないのが現実です。正社員になれても、残業もあり、逆に育児や家事ができなくなる。

いずれにしても自分の時間は皆無です。

 

もちろん、身体的にも精神的にも「怠惰」な人は「働かざる者、食うべからず」ということにはなろうかと思いますが、貧困について調べれば調べるほど、そうではないことが多いことに気づかされます。

 アクシデントや貧困の連鎖といった、いわば不可抗力の形でそうなってしまう。

 

しかし、政治は「働かざる者、食うべからず」という思想に基づいた政策しかしていないため、給付も負担軽減も不十分のまま。

 

こうした現状は変えていかなくてはいけないと思います。

 

まだまだ「子どもの貧困」というテーマは、考えなくてはいけない要素がたくさんあり、私の今の意見も、勉強不足のところもあろうかと思いますが、最近考えてみたことを書いてみました。 

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