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【研究】脳血管疾患の新しい予防法:リハビリテーションの視点から

はじめに
 こんにちは、大分大学福祉健康科学部の理学療法コースの大塚章太郎です。
 今回は、私が取り組んでいる脳血管疾患(脳卒中など)の予防に関する新しい研究について紹介します。この病気は脳の血管が詰まったり、破れたりすることで起こりますが、予防の方法にはまだ改良の余地があります。
 
予防の重要性
 脳血管疾患の予防には、発症を防ぐこと(発症予防)と、発症してしまった後に重症化を防ぐこと(重篤化予防)の2つがあります。これまでの予防法は主に発症予防に焦点を当ててきましたが、発症後の重症化を防ぐ方法については十分な研究が行われていません。
 
予防運動の重要性
 予防のために日常的な運動が重要であることは広く知られています。適度な運動は血流を改善し、血圧を下げる効果があります。これにより、脳血管疾患のリスクを低減することができます。例えば、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は非常に効果的です。
 
RIPCという新しい方法
 私が注目しているのが、**RIPC(Remote Ischemic Preconditioning)**という方法です。RIPCは、腕や脚に圧力をかけたり緩めたりすることで、血流を一時的に制限し、その後に解放するという手法です。この方法が脳にも良い影響を与える可能性があります。(図1.)

図1

 骨格筋と脳のつながり
 RIPCが効果的である理由の一つは、骨格筋(筋肉)と脳が密接に関係しているからです。筋肉が刺激されると、イリシンという物質が分泌されます。このイリシンには、脳を保護する効果があることがわかっています。(図2.)

図2

動物実験による基礎研究
 私は、RIPCと運動の併用がどのように脳を保護するのかを理解するために、動物を用いた基礎実験を行っています。動物実験では、RIPCと運動を組み合わせることでイリシンの分泌が増加し、脳への保護効果が高まるかどうかを調べています。(図3.) 

図3

研究の意義
 私の研究では、RIPCと運動を併用することで、単独の治療よりも優れた脳保護効果が得られるかどうかを調べます。もしこの方法が有効であれば、リハビリテーション医学において重要な進展となるでしょう。
 
結びの言葉
 皆さんも、普段から適度な運動を心がけることが健康に大きな影響を与えることを知っておいてください。私たちの研究が進むことで、より効果的な予防法が確立される日が来るかもしれません。そして、科学や医学の分野で学び、未来の健康を守るために貢献することができるのは、皆さんのような若い世代です。自分の健康に気を配りながら、興味のある分野に挑戦していってくださいね。

(理学療法コース 講師 大塚章太郎)


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