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【教育】留学生・キャロリーナさんの学び

 社会福祉の先進国であるスウェーデンのメーラダーレン大学から、留学生・キャロリーナさんが来日し、福祉健康科学部で社会福祉を学びました。キャロリーナさんは、約3カ月の間、社会福祉実践コースの学生とともに児童福祉、障がい者福祉、社会保障などの講義を受講し、実習にも参加しました。
 主な実習先は、①児童養護施設、②保育所、③児童館(親子の広場)、④子ども家庭支援センター、⑤子どもクラブ、⑥共同生活援助(グループホーム)です。各施設の活動や行事に加わり、社会福祉の実際を学びました。


(1)実習の様子

 実習の一部を紹介します。
 キャロリーナさんは、ソーシャルワーク実習の一環として、大分県別府市にある児童養護施設「光の園」を訪問しました。地域の親子と学部学生との交流会を実施しました。光の園は、児童福祉分野で顕著な功績が認められた個人や施設を表彰する「石井十次賞」を受賞した施設です。
 光の園では、地域に暮らす子どもたちの健全育成と子育ての中の母親の孤立防止のため、ママ友交流の場を企画しています。その一つが「ポストカード」の作成です。ポストカードに率直に気持ちを描くことで心が楽になり、人の輪も広がるので、母親の育児をサポートすることにつなげられます。キャロリーナさんも社会福祉実践コース滝口ゼミの学生13名と一緒に、ポストカードを作りながら、地域のお母さんやお子さんたちと交流しました。
 キャロリーナさんは、日本での児童福祉の実際を肌で感じつつ、施設内だけでなく広く地域社会において児童養護施設が果たす役割について深く学びました。
 また、大分県中津市にある総合ケアセンター「いずみの園」では、発達障がい児・者、知的障がい児・者、精神障がい者、認知症高齢者、シニアケア戸建住宅(いずみの森)、地域密着型コミュニティケア(サマリア館)、デイサービスセンター、就労支援施設、放課後児童クラブ、24時間夜間対応型随時訪問介護、AI機器による介護支援測定等、地域の困りごとにワンストップで対応する多世代交流型地域支援の実際について学びました。これからの地域包括ケアシステムのあり方を直に学ぶ貴重な機会となりました。

ポストカードを作りながらコミュニケーションが広がります

(2)実習報告会

 最後に、実習を中心にキャロリーナさんが学んだことを発表してもらいました。
 キャリローナさんによると、スウェーデンでは里親制度が先行していて、日本のように児童養護施設で集団で生活する体制は多くないということ、その分、日本では児童養護施設のスタッフに対する専門的な教育が良くなされており、ソーシャルワーカーらが情熱をもって子どもをサポートしているということでした。
 また、スウェーデンでは、コミューン(小自治体)を中心とした福祉が行われており、そのことについて学生たちとのディスカッションが行われました。
 日本とスウェーデンとの違いに関して、キャロリーナさん自身は日本とスウェーデンの児童養護施設のどちらに魅力を感じるかという質問があり、キャロリーナさんは即座に「日本の施設」だと応えてくれました。施設の安全と安心、そして複数の多職種専門職員が充実した対応を行なっていること、地域との連携やボランティアの協力があることなど、日本の児童福祉にはたくさんの良さがあるということでした。

社会福祉実践コースの学生と一緒に

 キャロリーナさんにとっても、社会福祉実践コースの学生にとっても、収穫の多い三ヶ月でした。
 
 社会福祉の先進国であるスウェーデンの取組には学ぶべきことがたくさんあります。またキャロリーナさんも日本の取組から多くのことを学んだようです。福祉健康科学部では、引き続きスウェーデン・メーラダーレン大学との交流を重ね、社会福祉に関する教育や研究の充実に取り組んでいく予定です。

(社会福祉実践コース 准教授 滝口 真・福祉健康科学部)
 

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