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花相の読書紀行№.139『嗤う淑女』

シリーズ1作目、悪の遺伝子を貴方は信じる?

【嗤う淑女】/中山 七里
<あらすじ>
徹夜確実!
女神なのか、悪魔なのか――
最恐悪女度no.1小説、待望の文庫化。

中学時代、いじめと病に絶望した野々宮恭子は
従姉妹の蒲生美智留に命を救われた。
美貌と明晰な頭脳を持つ彼女へ強烈な憧れを抱いてしまう恭子だが、
それが地獄の始まりだった――。

名誉、金、性的衝動…絶世の美女に成長した美智留は
老若男女の欲望を残酷に操り、運命を次々に狂わせる。
連続する悲劇の先に待つものは…?
史上最恐の悪女ミステリー。
漫画家・松田洋子氏による文庫版限定「あとがき漫画」収録!
◆目次◆
 ・一 野々宮恭子
 ・二 鷲沼紗代
 ・三 野々宮弘樹
 ・四 古巻佳恵
 ・五 蒲生美智留

★感想
史上最強の悪女を主人公にした小説“嗤う淑女”は、その類まれな美貌を武器に周囲の人間をマインドコントロールしていき、不要なれば容赦なく抹殺します。
その手口の巧妙さには、読んでるこちらまで引き込まれていくような錯覚さえ覚えました。
悲壮な子供時代の中で生まれた性質なのか、持って生まれた性格なのか。
悪の遺伝子と言うものがあるならば、彼女“美智留”完璧な遺伝子を持って生まれたのではないだろうか?
 
そのには通常あるはずの情と言うものが全くありません。
身内であろうが、友達であろうが関係ない、邪魔者はすべて彼女の魔の手にかかる獲物。
罠にはまった人々は、まるで蟻地獄の蟻の如くもがき苦しみ、命を絶つ。その過程が見事に描かれています。
 
果たして、蒲生美智留の真の目的は何なのか?
シリーズの1作目を読んだだけでは判らない多くの謎、これからが楽しみな悪女シリーズです。
 
次回作に期待を抱かせるラストの展開も見事でした。
 


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