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映画「パラサイト」の感想 ※大ネタばれ注意。

アカデミー賞は絶対「ジョーカー」だろうと思っていたから、韓国映画が受賞したというニュースをみてとても驚いた。

アジアの映画がアメリカの映画賞をとってしまうとはまさに歴史的快挙!

映画は旬なうちに、ということで仕事終わりに映画館へ足を運んだ。平日の21時からの上映というのにほぼ満席。注目度の高さが伺えた。私の胸も期待に膨らむ!

前半戦

実は以前、日曜朝の「ワイドなショー」で松本人志が「前半は面白かったなぁ~」と強調していたので、最初からぐいっと引き込まれるような映画なんだろう!とかなり期待が高まっていた。

が、期待高すぎたか。う~ん、という感じの前半戦。すべては後半戦への土台作りであったと気づくのは後になってからでなのであるが・・・。

①半地下に住む貧乏な家族の日常。外から飛んでくるWiFiを使ったり、ピザの箱作りの内職で小遣い稼ぎしたり、とにかく貧乏な暮らしを送るキム一家。道路に撒かれた消毒剤が窓から入り込み部屋が真っ白になったり、窓に向かって小便する男が出てきたり、社会の底辺の生活が描かれている。

この辺までは、「ほぉ。万引き家族みたいな感じか?(観たことないけど・・・)」といった感じだ。はやく本領発揮しとくれよ!とますます期待が膨らむ。

②長男のギウが高台にある超金持ちの豪邸で家庭教師を始めるところから物語は次の展開へ。妹のギジョンを他人と偽って紹介したあたりから、なんとなく想像がついた。ああ、だからパラサイトなのか、と。え、このまま進んでいく気?大丈夫かしら・・・。

家政婦を辞めさせる計画はまさかのアレルギー発作。これアウトでしょう。死んでしまうよ!とツッコミつつ、この家族の倫理観がおかしいことに気づくんだが、金持ちの奥様も頭がおかしいのでお互い様か?といった感じ。

③ふむ、ここまでたんたんと物語が進んできて、あっという展開もなし。こうなるとやはりこの金持ち家族にパラサイトしていることがいつバレるのか、という部分が気になり始める。ドキドキ。そんな観客の心配もつゆ知らず、金持ち家族の留守の間にまるで我が家のように豪邸暮らしを満喫するキム一家。そんなことしてたら、絶対家族帰宅してばれる展開じゃねーか!と誰もが思う瞬間、ピンポーン、とやはり誰もが予想した展開に。しかし玄関モニターに映っていたのは金持ち家族ではなく・・・。ここから一気にホラーへ急展開!!

後半戦

松本人志は前半が面白かったと言っていたのだが、私は後半のほうが断然面白かった。

豪雨の夜中に豪邸を訪れたのはまさかの家政婦。予想外の展開にどう物語が進むのか一気に分からなくなり、このへんからやっとぐっと引き込まれ始めた私。うぉぉぉ・・・、面白くなってきた・・・!

④豪邸の地下にはとても気持ちの悪い、不気味で、目がぎょろっとしている家政婦の夫が住んでいた!もう予想しなかった展開にびっくり仰天。

家政婦はチュンスク姉さん~と親しみを込めて呼ぶも、軽蔑するような、汚い者を見るような眼差しで夫婦を見つめるキム一家。半地下に住むキム一家にしてみれば、地下に住むこの男は彼ら以下の存在。

⑤なんやかんやでやはり金持ち家族が帰宅する展開に。

地下から這い出てくる前家政婦を足でけり落とす現家政婦。この辺は物語の冒頭であった虫を指で弾き飛ばすシーンみたいだ。

間一髪のところで豪邸を抜け出し、高台から転がり落ちるように自宅へ戻るキム一家。下って、下って、下って、、、びしょぬれになってボロい家が立ち並ぶ本来の居場所へ戻るシーンはとても悲しい。シンデレラみたいな、魔法が解けたみたいな。ガラスの靴がなくなるどころじゃない、自宅は冠水。汚物まみれ。逆流して汚水が吹き出す便座に座り込みタバコをふかすギジョン。このたくましさは、この底辺の生活を乗り越えてきたからこそなんだ。つらいけど、彼らの居場所はここなんだ。すごくカッコ良いシーンで痺れた。この女優さん素敵だなぁ!

⑥最後は殺し殺されの狂気。救いようのないサイコな展開となり唖然!驚愕!戦慄!地下が半地下に、半地下が高台に逆襲。

最後、ギウ兄が金持ちになってあらめでたし?(しかも髪伸びて茶髪になってイケメンに変身してる!萌え!)と思わせといて、そうじゃないという終わり方。いやとても良い終わり方、カッコ良い。

まとめ

韓国映画は初めて見たので、韓国語聞きながら字幕を追うのはなんだか慣れていないなぁと思いながら観た。ギウ兄が父親に敬語だったり、金持ち奥さんがやたらと英単語をねじ込んだりと、違和感がある部分があった。

テーマとしては「ジョーカー」と同様に、経済格差、貧富の差。貧困から生れる恨み、争い。

ギウ兄は最後に立てた計画を果たして実行できるのか。

んん~できたらいいけど、きっと出来ないんだろう。貧困に生まれたらそこから這い上がるのは容易ではない、ということ。生まれた環境で人生が天と地の差であるということ。だから「計画」なんて意味ないよ、と。

そんなことを考えた作品だった。暗い話ではあるのだが、画面が明るいシーンが多いし深刻なシーンも少ないのでエンタメとして普通に楽しめると思う。ただ、こういうサイコっぽい作品でもアカデミー賞とれるのかと意外に感じた。

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