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マッシュルームヘアはおしゃれだけど

この前久方ぶりに参加した合コンで、男性陣のなかに普通のスーツ姿で、顔も普通、靴下も普通、時計も普通、だけど目立つ男性がいた。

彼は、マッシュルームヘアだった。

彼は自己紹介で言った。

「俺、この髪形おしゃれでやってるんじゃないんですよ、マッシュルームってセットとか楽なんですよめちゃくちゃ。だからです。よろしくお願いします。」

私は、自己紹介で髪形の弁解をする人に初めて出会った。

ただしこの自己紹介から彼の性格も少し読み取れたので、あながちダメな自己紹介ではなかったと思う。

おそらく彼は「マッシュルームヘアの自分、おしゃれでかっこいい」と思ってる男だと思われたくない、つまり、自意識過剰と思われたくない、と思っている自意識過剰な男なのである。

ともあれ、私はてっきり意図的にマッシュルームにする人はファッション業界を目指すような奇抜な美的センスの持主とばかり思っていたので、こんなに普通な人もそんな理由でマッシュにすることがあるということを初めて知った。

でもやっぱり彼は変わっていた。

第一声が「ポケモンGOやってますか?」だった。数年前に流行ったゲームの話、絶対合コンの一発目に振る話ではないと思う。

好きなYouTubeの話になったときは、クロちゃんが「香水」を歌っている動画を異常にお勧めしてきた。理由は「下手だから」。

その日の合コンは全く盛り上がらずに22時前に解散となった。

マッシュルームヘアはおしゃれな髪形だというイメージがあるのに、現実世界で出会うマッシュルームヘアの人たちはなぜか変わり者が多い。

会社の同僚にもひとりマッシュルームヘアがいる。50歳でマッシュルームと言う時点でもう既になにか変わってるんだろうなということは想像がつく。とはいえ個性的な人は嫌いではないし、彼に限ってはとても陽気な性格で、年上の割にはかなり話しかけやすいので私はけっこう好きなのだが、周囲からは「仕事が出来ない人」と見下されており、陰では「きのこ」呼ばわりされている。

そういえば中学のバスケ部時代、他校の女子選手の中にもマッシュルームヘアの女の子がいた。彼女のプレーは荒く競技中に暴言を吐きまくるので、私たちは彼女のことを蔑んで「きのこ」と呼んでいた。

マッシュルームの人が陰口たたかれるとき、十中八九「きのこ」になるんだな、と思った。本当にどうでもいい発見だ。

どうでもいいついでに、さっきクロちゃんの「香水」を見てみた。彼が言っていた通り、確かにひどかった。

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