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92年生まれ、がキムジヨンを読んだ感想

「82年生まれ、キムジヨン」をいまさら読んだのでその感想でも。

本屋に行くたびに目には留まっていたのだが、どうやらフェミニズムの本らしいということでずっと敬遠していたのである。私はフェミニズム的な主張が好きではない。それは、私が家父長制色の強い家庭で育ったからかもしれないし、ミニスカ穿いてるのに見るなと言ったり、セクシーな服きてるのに見たらセクハラと主張するような女性=フェミニストが全く理解できないとからかもしれない。母親の教えの影響もあるかもしれないが、私の思想の核の部分にはやはり「一歩下がって男を立てるのが良い女だ!」みたいな観念があるのだ。(とはいえミズタミオは嫌いである。)もちろんそんな考えは時代錯誤だし白い目で見られるのも仕方あるまい。

私はIT業界で働いており同僚はほぼ男性であるが、女であるがゆえに遠慮して優しくしてくれる、多少甘えたこと言っても許される、飲み会では周りが払ってくれる、みたいなところがあり個人的にはそれが差別だとは感じておらず、ラッキー!くらいにとらえてしまっている。キャリア志向の女性にとってはそういうのが差別と感じられるのだろうから、そういう性格もフェミニストかどうかの基準に大きくかかわってきているとは思う。

そんなわけで、非フェミニストの私はフェミニズムの本なんて一生手に取らないと思っていたのだが、件の本はこの期に及んでまだ本屋の目立つ台に平積みされているので、読まないわけにはいかないなと思いたったわけである。それに、フェミニズムのことを知らずにフェミニズム嫌いを主張するのもいかがなものかと思った次第である。


感想

退屈と驚き。

まず、ベストセラーだからといって、面白い展開とかどんでん返しがあるわけではない。ただただ女性が生涯に受ける差別が淡々と述べられているという感じで、病院のカルテのように書かれているので物語として楽しめる作品ではない。ただただ気持ちの悪くなるような、ホラーのような女性差別が続き、本当にこんなことが現実にあったのかと信じられなかった。

私は92年生まれなので、キムジヨンよりも10年若いということになるが、だからだろうか、私は本書のような差別を受けたことがない。それとも単純に幸運なだけだろうか、それとも鈍感なだけだろうか。この本が日本でもよく売れているということが信じられなかった。実際、読書メーターの感想分にも共感できたとの声が多数上がっていた。私のように差別を感じずに生活できているのは幸運なのだろう。

韓国と日本、どちらが性差別が激しいのかはわからないが、本書のなかでショックだったのが、子供が女の子だったら下ろす、という選択である。

にわかに信じがたいエピソードであるが、職場の韓国人に聞いたところ、少し前まではそのような選択を下す人も一定数いたと言う。

非常にショッキングである。

また、印象的だった部分としては、ジヨンと夫が出産について口論になるば場面でジヨンが言った「女はすべてを失うけど、あなたは何を失うの?」といった類の主張である。

私自身はまだ独身でもちろん子供もいないのであるが、「えっ、出産ってすべてを失うような選択なのか」と後ろ向きな気持ちになってしまった。

夫は「子育て手伝うから」と主張するも、そもそも「手伝う」と言ってしまっていること自体が気に食わないジヨン。

確かに男性は子育てを手伝う、家事を手伝うって言うなぁ、あくまで主は女なんだなぁと気づかされた。ただ、(独身女が偉そうに語ってしまうが、)それが良いか悪いか、差別であるかどうかは正直微妙であると思う。どちらかというと"区別"なのではないかと思う。男女平等社会はもちろん理想であるが、完全なる平等は無理だ。体が違うし、脳が違うし、それによって力の差や性格の差、得意分野、苦手分野は絶対にあるはずだ。

私にとって母親は、何でも打ち明けられるし、甘えられるし、守ってあげたいとも思う存在であるが、父親は厳格で気軽には話しかけられないような存在である。もし父親が私たち兄弟の子育てを主でやっていたら、私はもっと無口で暗い人間になっていたかもしれない!

男女には少なくとも"区別"は必要だと思うが、本書では差別と区別が一緒くたに差別とされているような気がしてしまったのだ。

と、のんきなことを言ってられるのも、私が女性差別がひどかった時代を全く知らないからであり、もし私が十年早く生まれており、キムジヨンと同じ経験をしたのなら私ももれなくフェミニストになっていたのかもしれないとも思った。思えば今の世の中のように男女平等社会に近づきつつあるのも、先代のフェミニストの方々のおかげか、、、と気づかされたのであった。






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