【映画】謎すぎるカルト映画「ファンタスティック・プラネット」

先日、久しぶりにアニメを映画館で鑑賞してきた。おそらく私が最後にアニメを映画館で観たのは2006年公開の「ゲド戦記」だったと思う。実に14年ぶりだ。その作品というのが「ファンタスティック・プラネット」である。

そもそもこの映画は最新作とかではなく、1970年代にフランスとチェコスロバキアの合作として作成された映画である。

アニメに疎い私はこの作品のことなど全く知らなかったのであるが、所属している映画ヲタサークルで「2021年に再び劇場公開されるらしい!」と盛り上がっていたので、気になってしまった次第である。

ちょっと調べてみると、この映画は宮崎駿にも影響を与えたとされており、現代のSF作品に多大なる影響を与えたという。宗教や哲学的な内容も含まれ、映画通にはカルト的な人気を誇る作品であるみたい。これは興味をそそられる!

ということで、私は久方ぶり映画館に出向いたのだった。

この映画、一言で表すと、

「・・・イミワカンネーーーー!!」

である。

話の大筋としては、巨人のドラーグ族が人間をペットにしたり殺戮したりし、人間がそれにあらがっていくことになるのだが、はじめはドラーグ人の方が優勢だったが、彼らの知識を盗んだ人間が発展を成し遂げ、新たな星「地球」を作り出すというお話だ。

巨人のドラーグ族が人間を「動物」とみて、まさしく私たちがペットを飼うように人間を飼育しているということ、いとも簡単に殺すところ、毒ガスで殲滅しようとするところ。このシーンはまさにゴキブリジェットとかを思い浮かべたが、ドラーグ人がしていることは私たち人間が他の生物に対して行っていることだ。ああ、私たちはなんて残酷な生命体なのだろう!と言うことまでは思考が及んだのだが、果たしてそんな浅い理解でこの映画を理解したと言えるのか。おそらく言えないだろう・・・。

この映画にはどうにもこうにも理解できないシーンや表現が多すぎて、それらを理解しようとするとおいてけぼりになる。こういった一筋縄では行かない映画は、鑑賞後に解説記事や動画を見ることも楽しみの一つではある。が、この映画に関してはそのような記事が少なく、探してみても「人間への毒ガス攻撃はナチスドイツを暗示してる」とかそれっぽい解説はあったものの、まだまだ物足りず・・・。私の疑問を払拭してくれるような記事が見つからなかった。たとえば・・・

・ロケットみたいな形をした飛行物体が人間の住むロケットの廃材置き場に飛んできて、鳥の糞みたいな白い液体でマーキングするが、あれはいったい何?

・クリスタルが次々と出来あがっていくのは何故?そして口笛を吹くと粉々に割れるのは何故?

・気持ち悪い鳥を殺して血を飲むが、なんでテール(主人公)だけ血をかぶったのか?

・夜、人間たちが列になって丘を登り洗礼みたいなのを受けて人体が光り輝く。男女ペアでどこかの木陰に消えていく。これはSEXを暗示しているのか?それとも全く別のこと??そしてそれを窓からじっと見ているテールの心境は何!!?

この映画は、絵も独特で表現方法とか世界観もかなり独創的なものだった。体が中尾彬のマフラーのごとくネジネジされるところとか、精神が浮遊体としてどこかへ飛んでいくところとか。もしかしたらこれらに意味を求めること自体がナンセンスなのかもしれない。芸術として表現自体を楽しんでくれよと。

また、この映画では瞑想が重要な行為の一つとして描かれている。瞑想に対しては、今でこそシリコンバレーのイケイケ企業が取り入れるような、スピリチュアルだけど科学的に効果があるもの、精神を浄化するのを助けてくれるもの、みたいなプラスのイメージがある。しかし1970年代の一般人がどれだけ瞑想について認知していたのだろうか。きっともっと宗教的で怪しい儀式として認識されていたのではないかと思う。

さらに、ドラーグ族の学習の仕方もかなり未来的で、カチューシャのようなものを頭に着けるだけで、音声やビジュアルが脳内に写し出されて、それで得た知識は一生忘れないという。今でこそVRとかそれっぽい技術はあるにしても、今から50年前にこのような世界観がイメージされていたというのは驚きである。後々のSF作品に多大な影響を与えたってのも理解できる。

おそらく私はこの映画の意図を半分も理解できていないような気がする。しかし思うことは、この映画を観たという事実こそが大事であるということ。なぜならそのことによってこれから一生、「ファンタスティックプラネット?あー、映画館で観たわ~。」と、映画通ぶることが出来るからである。

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