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建築家「磯崎新」の実務と理論について

 a+uで建築家、磯崎新氏の「実務と理論」についての特集を組んでいたので、興味深く感じ購入した。磯崎氏と言えば、理論家で実務に関してはあまり触れられることがなく、どういうスタンスで又、どこまで設計の実務と監理に関わるのか謎で、興味を感じる人は多いのではないかと思う。

 途中までだが、感想としては、理論家であることは当然だが、実施の内容も結構かかわっていたのだなと意外に思った。理論をベースにしながらも法律や当時の技術的制約と格闘し、構造設計者と議論し、出来てくる物のイメージをコントロールしようという意思と、構造設計者とのコラボなのだというスタンスが、強さと柔軟性を持ち、理論と実務に取り組まれる姿を感じて、真の建築家なのだと尊敬の念を抱くとともに、全ての設計者がぶつかるような問題と取り組んでいたのだなと、親近感を覚えた。もちろん、巨匠建築家に怖れ多い話ではある。

 また、現場のコンクリートが施工不良でジャンカが出て、その対応策を考えるなど、実務の生々しい対応は皆同じなのだなと嬉しくもあった。

 モダニズムの理論で設計の実務が難しくなった時代に、理論、手法に基づきながら設計をされる磯崎氏がいかに日本の建築の歴史の中で大きな存在かが少し理解でき、嬉しかった。

 設計の実務の中で、経済性や法律、クライアントの要望、予算に埋没して建築の理論的根拠を考えることをしなくなり、ただ綺麗にまとめる方向に流れやすいのが現実だが、もう少し根本の所を考えないと建築とは言えない物ばかりが街を埋め尽くすことになってしまう。建築の希望へまた戻りたい。

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