本気で空を飛べると信じていたかつての自分へ
子どものころから、魔法にまつわるものが大好きでした。ハリー・ポッター、魔女の宅急便、おジャ魔女どれみ。
杖に見立てた棒を紙でつくり、家中のものに呪文をかける。掃除用のほうきにまたがり、玄関の段差からジャンプしてみる。おジャ魔女どれみに出てくる魔法のタップを買ってもらい、毎日首からぶら下げる。
そして、ほうきで空を飛ぶ夢も何度もみていました。(今もよくみる)
小学校低学年のころ、下校途中、台風の時期。
ど田舎に住んでいたので、通学路の両脇はほとんど田んぼ。片道40分の道のりを一人で帰っていたときでした。危険なほど風は強くないけれど、いつもよりは強いかなーくらい。
台風やカミナリは、怖いというよりも不穏な空気にワクワクを感じるタイプでした。
少し雨が降っていたので傘をさしている。
ときどき突風が吹く。
風が強くなったタイミングでジャンプしたら、空を飛べるんじゃないか??
何度か試す。
飛べない。
次に試したとき、間違って傘から手を離してしまった。突風にあおられ、田んぼを駆け抜けていく傘。
やばい、追いかけなければ。
必死に追いかけるけれど、全然追いつけない。
そこに、友達のお父さんがたまたま車で通りがかり、傘を追いかけて回収してくれました。
歩道から外れて田んぼの中を走っていく子どもを見かけて、異変を感じて助けてくれたのでした。(大感謝)
友達のお父さんには、「風にあおられて傘が飛んでいってしまった、だから追いかけてた」と言いました。
お母さんには本当のことを言いました。
「風にのって空を飛べるんじゃないかと思った」と。
そしたら、
「もう〜〜〜〜〜〜〜!!!!
バカじゃないの!!!!」
と言われました。
普段はバカとかアホとか冗談でも言わない母親です。だからこそ、心配されてる気持ちはわかる。伝わる。
けど、その瞬間、心に傷を負いました。
空を飛べると信じている気持ちを、認めてほしかった。
本当は空なんて飛べないと、どこかでわかっていたのかもしれません。
本当は魔法は使えない、という事実より、母親に気持ちを認めてもらえないことに傷ついていた。
これは、大人になった今だから分かることです。当時は傷ついたことに無自覚でした。
お母さんに、認めてほしかったよね。
「空を飛べるんじゃないかと思った」
「そうだったんだね」のひと言でもいいから言ってほしかった。
"相手の気持ちを一旦受け入れる"
口で言うほど簡単じゃないと思います。
意識していないと難しい。
それでも、それができる人になりたいなあと思うのです。
傾聴力を磨きたいなあ
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