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2020年に入って見たものあれこれ、もう語りたい。『知らなくていいコト』と『さよならテレビ』について。

2020年に入ってもう二週間弱。はやい.......。

もう語りたい。ということで書き尽くしたいと思います。

今年に入ってもう2回も「マスコミの使命」なるものをテーマにした作品に触れた。『知らなくていいコト』と『さよならテレビ』だ。

①『知らなくていいコト』(主演:吉高由里子 脚本:大石静)

吉高由里子主演の日本テレビ系列水曜日ドラマ『知らなくていいコト』(前クールは『同期のサクラ』の枠)。脚本は『蜜の味』『セカンドバージン』『家を売るオンナ』『大恋愛』の大石静。

大石は公式サイトで、  

政治家のスキャンダルや不倫を次々と暴く週刊イーストの編集部で働く辣腕記者のヒロイン。時にトリッキーにさえ見えるヒロインではありますが、その猪突猛進力、絶望からの回復力、想い全開力が、視聴者の皆様の日頃の憂うさを、爽快に吹き飛ばしてくれることを願って書いています。また、ヒロインと共に、週刊誌の使命、マスコミの使命とは何かを考えてみたいとも思っています。(公式サイトより)

第1話序盤で、主人公の真壁ケイト(吉高由里子)は、母親から死の間際に「ケイちゃんのお父さんは、キアヌ・リーブス」であると伝えられる。しかし、第1話ではやくも、父親は「キアヌ・リーブス」ではなく無差別殺人犯であることが明らかになる。といったように、脚本が突拍子も無い。テンポが早いとでもいうべきか。ただ、脚本と演出のちぐはぐ感は否めない。特に、ガムテープ......!!!!ぜひTVerやhuluで見逃し配信してガムテープを追って欲しい(笑)。

あの話がある。結婚の話だけど、やっぱり結婚は無理かなと思うんだ。ケイさんのことはやっぱり好きだし、愛しているし、頭ではお父さんが誰でも関係ないのだと思うんだけど。子供とかできた時のことを考えると、その遺伝子どうすんだって思っちゃう。自分だけ。だからって、結婚する人とは子供欲しい、子供作らないのは寂しいし。ごめんなさい。結婚の話はなかったことにしてください。

第1話の最後でケイトは「父親が殺人者だ」と打ち明けた彼氏から結婚を破談にされる。ここにきて、大石静がこれまでテーマとしてきた「遺伝子」や「母性」といったテーマが前に出てくる。そして、ここでの吉高由里子の受けの演技はやっぱりとてつもなくいい。

『さよならテレビ』(製作・配給:東海テレビ放送)

『平成ジレンマ』や『人生フルーツ』など根強い人気をもつドキュメンタリーを制作してきた東海テレビ。今回で第12弾になる。

自社の報道部にカメラを向けたドキュメンタリー。その企画のセンセーショナルさから昨年の東海地方での放映やあいちトリエンナーレでの上映から話題になっていた。カメラは報道部の中年契約社員、新人契約社員、キャスターの3人に密着する。

中年契約社員は「メディアは権力への監視だ」と鼻息荒くメディア論を語るが、契約のため企業案件にしか触れられない。ドキュメント期間中に入社した新人契約社員はふりがな間違いなどミスを連発し、上司から怒られ契約を切られないか怯えながら報道に携わる。「前へ出れ」ず、キャスターは紋切り型のコメントしかできないことに苦悶している。

報道の真価を問うたいい映画だ、と終了直前までは思っていた。しかし、最終盤でこの映画の「入れ子構造」が明らかになる。ここからはネタバレになるのでぜひ劇場でチェックして欲しい。ただ、制作者(ここでの制作者は報道部であるドキュメンタリーの)から突き放されるかたちになる。「ここまでの感動を返せ」と言いたくもなるような。そして、その編集の仕方がさよならしたいはずの「テレビ的」であるからなおさらだ。

最終的に、答えは観客に投げられるかたちになる。ドキュメンタリーとしてはそのあり方を問わざるを得ないが、エンターテインメントだと考えれば上質なものであることは間違いない。

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