半月

愛の裏側

私は今、とてもじゃないが人を愛せる気分ではない。

あれほど不確かな他人を、自分の拠り所にするなど、今の私には到底不可能だ。

愛も他人も、信じてしまえば嘘になってしまう。

常に付き纏う、疑惑の目。

この目がある限り、確実に、私の心を蝕んでいく。

疑惑の目は、他人だけでなく、自分の存在さえも疑うようになる。

他人以上に、自分が不確かな存在に思えてしまうのだ。

そうして、無神論者は孤独に陥る。

孤独とは、絶望のように仄暗い所在にある。

もう、そこには一切の希望が湧いて来ない。

そして、それを救ってくれるのは、愛に他ならない。

一番深い孤独に到達した時、人間は一番深い愛情と出会う。

孤独とは、愛の裏側なのだ。

いつかこの私も、愛に寄り添うことができればよいのだが。


#哲学 #エッセイ #愛 #孤独  

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