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よもやま雑記

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考えがまとまっていないことやこれから考えたいこと、日々感じたことなど、思うがままに書きます。雑記。
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#エッセイ

「憧れ不在」の時代

「憧れ不在」の時代

よく晴れた4月のある日、友人と浅草の喫茶店でクリームソーダをすすりながら、「今は、"憧れ不在の時代"なのかもしれないね」という話をしていた。

「憧れ不在の時代」。ふとした会話の中に出てきたその言葉が、自分の中に、なんだかすーっと入ってきた。



「あかしさんには、"こんな人になりたい"といったロールモデルはいるんですか」「憧れの人とかいるんですか」といったことを聞かれる機会が最近増えた。それ

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「ウサギとカメ」の解釈から思うこと

「ウサギとカメ」の解釈から思うこと

「ゴールデンウィークは、母の実家である山形に行く」という暗黙のルールが明石家にはある。

母も姉も妹も(父は自由人なのでルール適応外)、どんなに私生活や仕事が忙しくてもゴールデンウィークの2日あるいは3日間は家族のために時間を作り、みんなで揃って祖父母に顔を見せに行く。

このルールは、私が生きている25年間、いまだかつて1度も破られたことがない。3姉妹が社会人になり実家を出て、家族の住む場所は京

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世界を立体的にとらえるためには

世界を立体的にとらえるためには

「恋をしている女性は、男性がトイレに行っている間にスマホは触らないんですよ」

先日、渋谷のとあるバーのマスターにこう言われてドキッとした。その時の私は、一緒にいた男性がトイレに行っている間にスマホを触っていたのである。見られていた、と思った。ふっと「カウンターの向こう側から見えるスマホを触っている私」が脳裏に映し出されて、世界がぐにゃりと曲がったような気がした。



このように、誰かの言葉が

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いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

いつだって、「できごと」より「考え」のほうが怖い

臆病なので、昔から意味もなく「怖い」と思うことがたくさんあった。

失敗することが怖かったし、ひとりぼっちになってしまうことも怖かった。時計の秒針が1秒ずつ時を刻むごとに「ああ、1秒ずつ死が近づいている!」と本気で考えこんでしまい眠れなかったこともある(今思うとヤバい)し、小学生や中学生の頃は、誰かに嫌われることが本当に怖くて、周りにいつも合わせるように生き、自分の意見をなかなか言い出せないような

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本は「大鍋のスープ」か「フルコース料理」か

本は「大鍋のスープ」か「フルコース料理」か

「本の読み方」については、いろんな人がいろんな哲学をいろんな場所で展開していて、それを知ることはとてもおもしろいなあ、と、思う。

たとえば、同じ本を何度も何度もくりかえし読むだとか、逆に、読んだ本はもう2度と読まないと決めているだとか、1冊をきっちり読み終えるまで次の本は読まないだとか、同時に何冊も並行して読むだとか。

それはきっと自分なりに明確な理由があってそうしている人もいるだろうし、なん

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愛の総量と、その愛の配り方

愛の総量と、その愛の配り方

以前ともだちと、「愛の配り方って人それぞれだよね」という話をしていた。

なんでそんな話をしていたのかはもう忘れてしまったし、きっと特に深い意味はなかったと思う。新宿三丁目の「喫茶らんぶる」で、珈琲をすすりながらダラダラと仕事だとか恋愛だとかの話をしていたら、なんとなくそんな話になった。

「たとえば愛をお金にたとえるとして、人が持つ愛の総量が1000円やとしたら、その1000円をどう配るかって人

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100ではなく、1の約束を。

100ではなく、1の約束を。

きのうは、昼から西荻窪で予定があった。

西荻窪は東京の西側にある、情緒あふれるとてもいい街(こちらの連載がとてもすてき)だ。そこにはとても仲が良い女の子が住んでいるので、わたしはその子に会いにたまに西荻窪に行く。その子はわたしのひとつ歳下の女の子で、わたしのことを「あかしさま」と呼ぶ。大学時代からの知り合いで、編集プロダクションに勤めているその子とわたしはお仕事の受注/発注の関係でもある。

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おとうさんの涙

おとうさんの涙

おとうさんの涙を見たことは2度ある。1度はTVドラマ『よいこの味方』の最終回を見たとき(なぜか鮮明に覚えている)、もう1度は愛犬クーが死んでしまったときだ。

おじいちゃん、つまりおとうさんのおとうさんが死んだときでさえおとうさんは泣かなかったのだけれど、クーが死んだときにおとうさんは泣いた。

今日は、愛犬クーとおとうさんのことを書きたいと思う。

うちはおばあちゃんがペット大好き人間なので、犬

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不思議なあの日々のこと

不思議なあの日々のこと

「今となっては何故だかわからないんだけど」と言いたくなるような不思議な日々が人生の中にはある。

自分の価値観を180度変えてしまうくらいの衝撃を受けた本や漫画が今となってはどこがいいのか理解できなかったりするし、身を削ってでも頑張らなきゃいけないと思っていたあの頃の自分のことを「なんであんなに必死だったんだろう、かわいいな」と思ったりもするし、身を焦がすような恋愛のことだってもうすっかり思い出せ

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