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イタリアで長すぎる返信をもらって関係終了した話

長いこと人間界にいると 時には
思い当たるフシや 理由はなくとも
なんとなく疎遠になっていく関係もあります

しかし
以前友人付き合いをしていた女性とは
それまでの関係を終了させる出来事がありました

そのエピソードを書こうと思います


フィレンツェの工房のすぐ近くに住んでいた彼女は
生まれながらのイタリア人ではなく
幼少期に現在のご両親の養子となり イタリアに来た

生まれた環境によるものなのか
複雑な生い立ちのせいなのか
結構スピリチュアル系で

家族関係や自分の性格・行動を
星の配置や運行で説明し
趣味でタロットをひく

美術学校を出て彫像制作などもしていたが
メインの仕事はパブやレストランでの調理
エスニックスパイスを上手に使った手料理を
何度もご馳走になった

イタリア人婚約者と彼女のアパートで同棲していたが
しばらくして彼とは別れて家から追い出し
不法滞在になりそうだった北アフリカ出身の男性と
その人の滞在許可のために結婚
うまく行ってるのかと思いきや 互いに愛は感じていなかったらしく
離婚成立する前に 別の人と子供作っちゃったり・・・

こんな話を 食事をしながら
私は へえ〜 ふ〜ん と聞いていた

そういえば 子供が産まれると
共同階段にベビーカーの駐車(駐輪?)スペースがない
最上階の住まいから 毎回おろすのが大変!というので
私の工房にベビーカーを置かせてあげたこともある
それくらい近所に住んでいた

彼女にはちょっとした癖があって
数日後の予定を確認して決めたにも関わらず
彼女側の何らかの都合で変更や取り消しになることが
かなり頻繁にあった
最初の予定通りだったことの方が少なかったような気がする

変更の連絡はいつも当日や直前
他愛のない話をするだけなので
別に目くじら立てるほどのことじゃない と思い
「ああ またか」と流していた



ある時 彼女から次のような提案があった
「夏季だけやっているレストランで仕事が決まったの
遠方なので自宅を1ヶ月以上空けるんだけど
自分の不在時に子供の父親に家は使わせたくないのよ
(子供は両親に預ける だったかな)‥‥

Akiyo、ここに住んでくれない?
あなたがいればヤツを泊まらせない理由になるから」

いろんな事情があるんだろうなあ
文化習慣も信仰する宗教も違う人だしなあ
子供は欲しかったけど夫はいらなかったのか
などと考えつつ

「光熱費負担だけで家賃はいらない」が決め手で
ありがたくお受けすることにした

当時私は サン・ロレンツォ教会脇にある
さるお宅の間借り人
1ヶ月間だけ別のところへ引っ越したとしても
とやかく言わない大家さんだった



夏の気配が濃厚になって来たある夕刻
そろそろ入居の日程確認しなきゃ と思っていると
彼女からメッセージがきた

「私がいない間に
息子の父親が泊まりたいって言ってるので
鍵を渡しました よろしく」

・・・・

は?

その時私の目は ・・ になっていた はず

(あのー その人を家に入れたくないから
わたくしに住んでくれと言ってませんでした?)

ちょっと話が違いすぎ

(もう鍵渡しただと?
泊まらせないって言っていたのに?)

よくわからないけど モヤる

(いや もしや最初から目論んでいた?)

彼女の心の中を想像してみた

(自分の子の父親に泊まるなとは言いにくい
しかし自分がいない間に何をするか心配だ
誰か他の人が住んでいれば勝手なことはしないだろう
((勝手なことってなんだ?))

Akiyoは私の言うことを聞いてくれるはず
家賃はタダにしてあげたし
今まで何度も予定変更したけど全然怒ったことないし
後から言えば大丈夫・・・)

そう考えていたとしか 思えなくなって

猛烈にモヤった

(私へのリスペクト ある?)



結局というか当然というか
私はそこに住むことをやめにした

断りのメッセージを入れる時 よせばいいのに
ちょっとひと言 言わずにはいられなかった

「彼は泊まらせないって言ってたからOKしたの
全面的には信用できてないので
(まずあなたが信用してないだろ とは書かずに)
そういう人がいつ入ってくるかわからない家には住めません
お食事会の予定変更とはわけが違うのよ」

何かのスイッチを触ってしまったのだろう
思わぬ反旗を翻されたためかもしれない

時を置かずに長〜いメッセージが返ってきた
よくもまあ短時間にこれだけ書いたものだってくらい
私には意味不明のことが連ねられており

記憶に残っている文面は

「息子の父親への ひいては私への侮辱だ
友人として厚遇してきたのに・・・」

それ以外は本当にワケワカメ
マシンガンか火炎放射器の如く垂れ流される言葉に
ちょっと怖くなり
一読してすぐにメッセージを消した

こういう時に何を言っても無駄だと思った
一刻も早くこの交信を終わらせるために
「侮辱するつもりはなかった お詫びする」
とだけ返信

それに対して「わかればいいのだ」的な返事が来て
私の心のモヤモヤはさらに濃くなったのである

・・・・

彼女とは疎遠になりました
道で行き合えば挨拶ぐらいはするけれど
その数年後 郊外に引っ越したらしく
工房近辺で見かけることは ほぼ ありません

Viva la Pace !



教訓・・・
さほど重要ではないことであっても
繰り返し約束を変更してくるような人は
こちらへのリスペクトを欠いている可能性があります
時には お灸を据える 塩対応をしておきましょう

「Akiyo御し易し」って思わせちゃったことが他にもあるので
自戒を込めて



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