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TOUGH TACO DAYS #2

今日の昼はとう腐さんと蛸之徹でタコ焼きを焼いていた。

大阪にタコ焼き屋が数あれど、セルフで焼く店は数限りある理由を理解した。タコ焼きは見た目が愛らしいし、実際おいしいし、作る過程を見るのも楽しい。しかしそれは熟練の職人が調理してくれることが前提だ。よく家でタコ焼きを作るとう腐さんでさえ店の火力と生地の薄さに手こずっていた、なおさら初心者にとって生地を球状にまとめるのは至難の業であろう。ちなみに写真中の左下の三つが私は焼いたやつ。形はいびつだけど味はまあまあだった。

タコ焼きだけでは物足りないので昔焼のモダンを注文。こちらはセルフではなく、キッチンで焼いてから出された。お好み焼より皮が薄くてライトな感じで自分は結構好き。やはりプロの料理だけあって渾然とした味だった。セルフで焼くのやめて、これからは全部プロの任せるとしよう。

腹が膨らんで、制限時間もそろそろなので店を出た。ちょっとした列が出来ている。半分以上が外国からの観光客のようだ。せいぜい慌てながら焦げたタコ焼きを楽しむんだな。今日のタコはこれで達成。

🐙

梅田をから離れた我々が次に新世界にやってきた。

「ここら辺は梅田より遥かに治安が悪いので、覚悟しておくように」

と電車の中でとうが腐さんから警告を受けた。私よりはるかに屈強の彼すら恐れる南は一体どんな魔境かと想像しながら、私は神経を研ぎ澄まし、いつでも応戦できるよう両拳を意識した。

しかし駅を出た我々が目にしたのは、別の意味で魔境であった。

商店街に溢れんばかりの人混み、列を成している串カツ屋(ほとんどがチェーン店)、銃、弓矢、手裏剣が選べる射的屋、周りに日本語を喋る人が殆どない。

「こ、これは!?俺が知っている新世界ではないっ!」

府民のとう腐さんまでが目の前に光景に困惑。どうやらここら辺はコロナ後のニュー・ワールド・オーダーにより一変したらしい。

「すごいなぁ......何年も来てないうちにここまで変るとは」
「昔はどのような感じでしたか?」
「はい、昔はおじさんたちが通う将棋ドージョーが多かったです」

そうなんだ。私はマルバツゲームからスタークラフトまで戦略ゲーム全般が苦手なので今の方が性に合うかな。あちこち外国語の看板が見られて観光客にやさしい環境だけど昔の新世界の変貌に嘆くかな。

大阪のシンボル、通天閣。せっかく来たし登りたいところだが展望台の待ち時間はなんと45分。ひとりならスマホをいじりながらやりすごせなくもないが、ふたりだと待っている間に話のストックが尽きて気まずい雰囲気に成りかねない。そんな状況を避けたい。

通天閣の麓にあるいい感じのレトロ喫茶店で休憩を取ることに。こちらも結構の有名店らしく入店まで少し掛かった。店外に展示されている食品サンプルを見てパンケーキにしようと思っていたが

なにっ

店員が出てドアに紙を貼って去っていた。売り切れだと?

バナナロイヤルにした。バナナが結構入って食物繊維の補給にちょうど良い。みなみの国も昔はこれと似たデザートはあったが、いつの間に無くなって現在はどこも売っていない。まさか異国でまた会うとは。

コーヒーは酸味がほとんどなく、焙煎の焦げた風味が効いている。店員の中に老紳士風の男性と赤染めのリーゼントに剃った眉毛、ピアスをぎょうさんつけて、パンク風にアレンジした給仕服をスタイリッシュに着こなすおねえさんがいて(外見はほとんどイグナイト=サンだけど接客は超丁寧)まるでフィクションに出る喫茶店のようで面白かった。

カロリーとカフェインを補充した後は急に銃をぶっ放したくなったので、射的屋へ。

「アクズメさんはモノホンの陸軍だから射的ぐらい楽勝でしょう。かっこいいところ見せてくださいよ!」
「さてどうでしょうね。射撃の成績がよくなかったすよ」

ボルトを引き、銃口にコルクをねじり込む。狙いはコアラのマーチ。トリガー。命中。しかし箱が少し動いただけで倒れることに至らなかった。

「惜しい!」
「いいところに当たらないとびくともせんね」

コルク弾は軽く、かつ直線に飛ぶに敵しない形のため、想像異常に扱いが難しいーーというのは言い訳で、コアラのマーチが倒れないのは俺が下手なだけだ。

いっそう隣のおっとっとを狙ってみよう。ボルト、充填、ドリガー。バッタン、箱が倒れて床に落ちた。

「おめでとうございます」

打ち倒したおっとっとはスタッフから祝いの言葉と共に渡された。成果あり。これで機動歩兵の面子が保たれた。記念にとう腐に写真を撮ってもらった。

頭が縦長くて自分も驚いたぜ

そしてとう腐さん私が狙っていたコアラのマーチを見事に撃ち取った。彼こそが真のシューターよ。

最後はビリケンさんを拝んで新生活におさらば。今度は平日に来て通天閣を登ったりチェーン店の串揚げを食べたりしたい。

少し歩いて日本橋、正確に言うとオタロードへ。

ガンダムらしき鉄拳が貫くオブジェのあるモデル屋、JOSHIN。スタッフがプラモデルでアニメの名シーンを再現して展示する熱意の高い店ととう腐さんが教えてくれた。

「来るべきじゃなかったよなぁ~」
そう言ってとう腐さんがバケツに次々とプラモのキットを詰めていく。彼はここ最近美少女のプラモにハマって頻繫に梅田のヨドバシに足を運ぶらしいが、さすがJOSHINはモデル専門だけあってラインナップが豊富でとう腐さんも興奮、私が隣で「いいですね」「買えばいいじゃないすか?」と煽ぐ甲斐もあってJOSHINの売り上げに貢献できた。

とう腐さんが買い物に満足したところで、次は私のターンだ。カードショップあまくだりにやってきたぜ。

説明しよう。看板に描かれているこの妙な帽子とサングラスを被った男はYoutuberとデュエリストのあまくだりさんだ。彼はもともと霞ヶ関で国家公務員を務めるほど優秀な人材だったが、なぜか安定な生活を捨てて変な格好でYoutuberとして活動し始めた。遊戯や海馬の口調を真似してゲーム実況したり、オベリスクの巨神兵のコスプレで料理を作ったりなど珍妙な内容だが、遊戯王OCGに対する情熱は確かなもので、クソカードと呼ばれてきた意味不明のカード(E・HEROバブルマン・ネオ、ウォーター・ドラゴン-クラスター、寄生虫パラサイトなど)の使い道を見出すべくデッキを工夫したりした。その心意気に、遊戯王OCGはNDSやPSPのゲーム数作品しかプレイしたことのないエセデュエリストである私は感心してけっこう推している。ここが彼がオーナーとして務めているカードショップなんだ。

エレベーターがないため、自力で四階まで登らないとならないのだ。店内の様子は割愛する。あまくだり本人はいなかったが、奇声をあげながらデュエルするデュエリストを目のあたりにして、良い雰囲気だった。当然私は冷やかしにきただけではない、しっかり売り上げに貢献した。

今日の収穫。キョート・オン・アース13巻このあとメロンブックスにて購入した。特典カバー付き。

空が暗くなって、そろそろとう腐さんを愛する家族のもとに返す時間だ。

「今日は楽しかったです。また大阪にくる機会があれば是非知らせてください。お供しますよ」
「こちらこそ楽しかったです。お互いにまた生きていたらまた逢いましょう」

非常に混雑しているなんばウォークで互いにお別れした。ホテルに戻ってタフでも読もうかね。


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