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TOUGH TACO DAYS #1

2023年10月13日金曜日。殺人鬼が今夜の殺戮にマチェーテを磨く頃、私は関西空港に来ていた。

今年は3回目の日本旅行、アクズメが日本に来すぎるという声もあった。しかし未来はどうなるかわからないし、今のうちに色んなところに行っておきたいね。

ただ歩いたり飲んだりするのも面白みが欠けるので、今回は縛りプレイを設けます。ルールは以下となります。

  1. 毎日最低一回タコと名のつく食物を口にする。

  2. TOUGHな行動を取る。

さっそくタイトル回収。これから数日間自分の首を絞めることにならないよう願うばかりです。にしても今日は入国審査がとんでもなく混んでいました。やはり関西は旅行地として強いですね。

では南海電鉄に乗ってお宿に向かう。チェックインを済まして部屋に入ると、えっ

なにっ

TOUGHが全巻揃えている!すでに気づいた読者はいるであろう。ここは漫画が読めるホテル、クインデッサ大阪心斎橋だあっ。

ホームページで館内は蔵書8000冊と書いてあったが、これまでに日本国内で出版された漫画と比べて所詮は氷山の一角、蒼海の一粟。むしろそこら辺の漫画喫茶の方が品揃いがいい。まああくまでは宿泊施設だからな。

なので有料サービスを使ってTOUGHを取り寄せてくれた寸法よ。ランチがまた食ってないけど、コンビニでビールとからあげクンを購入してマネモブ研修開始だあっ。今日のTOUGH行為はこれでクリア。

タフを読んでいるうちに外が暗くなりはじめた。そろそろ梅田に移動しよう、今夜はあそこで約束がある。

ラッシュアワーの人混みに逆らったり流されたりして時計の場所にやってきた。ここでお相手が来るまで待とうとベンチに座ってスマホを取り出すと、異様に気づいた。なにっ

モバイル通信が繋がらないだと?どういうことだ。ここに来るまでのメトロ中は繋がっていたぞ?

突如の緊急事態。嫌な汗が出る。とりあえず3階と5階を交互に上下しててなんとか電波を拾って、無事フォロワーと合流できた。

「いやぁ、授業が延長で遅れてしまってすんませんねアクズメさん」
「いいえ、本業が大事ですから」

この線の細い青年は結構いい国立大学に入れた高い知能指数の持ち主で、逆噴射小説大賞の優勝者でもある。

数年前に「日本に行ったらチャンピオンにタコベルのプリトーでも奢ってやるぞ」とXで発言したので、それを果たすために今夜は彼を呼んだ形だ。

今日はこれまで機内食しかちゃんとした食事しか取れてないので腹が減っている。行こう、阪急三番街へ。

🌮

奢るつもりだったが、逆に奢られた。感謝。我々はビールとマルゲリータで乾杯し、TEXMEX料理で舌鼓を打ちばがら今は無きタコベル道頓堀店を悼んだ。大阪はタコ焼き店が数あるけれどタコベルは残りこの一軒しかない。だらか皆も今後もタコベルが関西で存続できるよう店に行ってタコとブリトーを食べてくれ。

先程に言った通り、バッティは国立大学に入れるほど高い知能を持っており、今でも学問を深めるべく勉学している。今年の逆噴射大賞にノーラン映画ばりのSFを出した。

「僕は知能指数が高いからTENETを完全に理解している」と本人が豪語しているので質問してみた。

「ではTENETでは通常の銃弾より戻る銃弾の方が殺傷力が高いから理由を教えてもらえますか?」
「いいですよ。発射された銃弾より戻る銃弾が強いのはノーランはその方がかっこいいと考えたからです!」

さすが国立大、納得のいく答えだった。ちなみに私は戻る銃弾は事項の逆行によって障害物を全て無視して銃口に戻る、つまり弾の丸くない部分から人体を貫通するので大怪我になると思っている。

「二軒目はどうします?」
「そーですね。アクズメはなんか食べたいことあります?」
「大阪っぽいのがいいですね」
「じゃ梅田の古めかしくて小汚い飲み屋に興味あります?」
「いいですね!行きましょう」

REALの大阪飲み屋に向かうべく、再び梅地下に潜る私とバッティだが、そこで目にしたのは、地下街の通路を埋め尽くす人、人、人!フライデーナイトの梅田はまさに極限状態!その混みに紛れ込む勇気は私とバッティになかった。

「アクズメさん、提案ですけど、やはりここら辺のFAKE飲み屋に行きません?」
「そうっスね。そうしましょうか」

我々はヨトバシ地下のオイシイもの横丁に転がり込んだ。

回っていないところかレーンまで撤去した回転寿司屋にて

「あっ、アクズメさん。イールの寿司がありますよ」
「そうですね。うなぎとアナゴの二大イールが揃ってとても聖戦的です」
「えっ、何を言ってるんですか?アナゴはイールではないでしょう」
「いや、アナゴはイールですよ」
「いやいやイールじゃないよ〜」
「アナゴはイールです!」
「アナゴはイールではない!」
「イールです!」
「イールちゃうわ!」

な、何だこいつ!?この主席聖戦士に物を申すか!どうやらわからせる必要があるようだ。

「バッティさんは高知能だから英語も堪能ですよね。アナゴの英語はご存知ですか?」
「いや、知らんな。今調べる......なにっ」

バッティは顔色が変わった。彼のスマホ画面は辞書アプリが開いて、そこにConger eelは表示されている。

「カンガー・イール......アナゴは......イールだなんて......」
「これでわかったでしょう。アナゴはイール、つまり殲滅対象です」
「あっはい」

三軒目。FAKE飲み屋にあるタコ焼き屋でバッティはタコ熱燗を注文した。俺が激熱のタコ焼きで口内を焼かれて悶える様子を見たバッティは無邪気の子供のように爆笑した。

「ふっ、やはり大阪はタコ焼きにレベルが全般に高いね。にしてもタコジャーギーを入れる熱燗なんて初めて見たよ」
「ひれ酒の延長線ですかね。よかったら飲んでみます?」
「いいですか?いただきます......あっっつ!カップがあっつ!」
「あははは」
「ずずずっ......むっこれは!ずっと前から思った、日本酒は甘すぎると。しかしこのタコ熱燗はタコジャーギーを加えることでただ甘い日本酒に海産物の旨みがプラスされ、味が円やかになりより飲みやすくなっている!」
「ワオ、熱い酒レポじゃん」
「熱燗だけに」
「あっはい」

冗談なしにタコ熱燗は美味しかった。是非飲んでみてくれ。

「ふぅ、FAKE飲み屋もなかなかわるくないですね」
「そうっスね」
「じゃあ今夜はこれでお開きかね」
「そうっスね」
「じゃ、アクズメさんは引き続き大阪滞在を楽しんでください。今日は楽しかったです!」
「ウッス、自分も楽しかったッス。では、バイバイ!」
「はい、おやすみなさい」

そう言って歩き去ったバッティは梅地下の人混みに飲み込まれ、見えなくなった。

さて、ホテル帰って寝るまでTOUGHを読もう。

(2日目)


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