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個人ゲーム開発記:「 #春と修羅 」中編

ピクセルアートの2Dアドベンチャーゲーム「春と修羅」の開発記録と見せかけてゲームをPRします。

前回は、開発を開始した4月中旬〜広報を開始した6月初旬までを前編として記事を書きました。

今回は中編としてストアページを開設した6月末〜体験版頒布までをお送りします。内容は途中経過のピクセルアートをはじめSteamの審査、販促ツイート、asobu INDIE SHOWCASE、翻訳依頼などが中心です。一部ゲームのネタバレを含みますので、先にゲーム遊んどきたいという方は体験版をどうぞ。

2020年6月末:Steamのストアページ申し込み〜開設

パブリッシャーさんを探そうとしていたんですけど、今回は割とスピード感ある仕上げにしたいので「作ったものの情報を少しずつ出しながらイベントに出てパブリッシャーさんを探す」みたいな正攻法を億劫に感じてしまうのと、今まで過去2作をSteamにアップしてなんとかやってきたんで、とりあえずさっさとやっちゃおうと6月末に自分でストアページ開設の手続きを済ませました。しかし……、

……手続き3作目だったんで油断してて、1回目は「説明少なすぎる」で審査落ち、2回目は「ジャンルちゃんと書いて」って言われて落ちました。週末を跨いじゃったので、BitSummit外伝中に発表したかったのに間に合わず。

開発室Pixelさんが推してくれるので拡散助かっております

ともあれなんとかページができて、今後の宣伝がしやすくなります。

2020年7月初旬:ひたすらマップチップを作る日々

6月初旬までにエンディングまでは仮組みで作ってたものの、主要の1〜2シーン以外は絵が全然できてなかったんで、最初から作っていきます。

絵を描くだけでも大変ですけど、ゲームに使えるようにバラしていくっていう作業が慣れてなくて、グチャってなって失敗したり、できたーって思ってもスクショにする(1枚の画面におさめてみる)とイマイチなので位置を直したり……試行錯誤で効率のいい描き方を探します。手がめっちゃ痛い。

2020年7月14日:インベントリ要る?

アイテム取得があるゲームなんでインベントリ画面要るよね? って同僚から聞かれたんですけど

・誰が描く思てんねん勘弁してくれ(やさしく言いました)。アイテムは細かい/細いものがメインなんで魅力的に描けないんや

・取得したアイテムは自動消費なので、インベントリがあるとお客さんが使うタイミングを選べそうなイメージになり期待値が高くなるので入れたくない

……などと反論しましたが、システムの都合でつくことになりそうです。見た目とかは絶対楽しそうなんで、あったほうがいいのは山々やと思います。

ゲームの機能は「あったら嬉しいもの」「なくては困るもの」「自分のこだわりでつけたいもの」色々出てきますので取捨が大変です。好きなだけ入れてたら完成しませんし、今年2本ゲーム出してるんで、さすがにこのあたり警戒するようになってきました。個人的には、最低限の「なくては困るもの」と、「あったら絶対ゲームが面白くなるしお客さんも楽しそう」っていうアイディア以外は、余裕があるときのために置いとくことにしています

2020年7月中旬:ひたすら一枚絵(スチル)を描き音楽を作る

話は少し遡りまして5月末頃までは大きめの一枚絵(スチル)も、最初上述のようなチップに分けて表示させてたんですが控えめに言って地獄でした。同僚に見せたら「俺でもようやらんわ」って反応だったので、やっと「この人がそこまで言うんやったらだいぶクレイジーなやり方やねんな」と私も理解しました。

後日、同僚が一枚絵を表示できるシステムを作ってくれました。お手数おかけしましたが、今後はチップ移行時のミスも時間のロスもなくなるわけで、浮く時間は計り知れません。「チップをばらすのにかける時間は、一枚でもたくさんスチルを描く時間にあてないと」と同僚。ごもっともです。

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ここからまだ詰めますが現状こんなん レイヤーを分けて動かしたい

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20枚以上あるよ 地獄でいうと2丁目くらいです(たのしい)

音楽もやります。パンも音圧も分かりませんが、とにかく大枠作って最終的に整えるときに同僚に聞いたらなんとかなるでしょう。やり方がひどすぎる。

2020年7月下旬:シナリオの改定とフラグの整理

内部的にはα版ができてる状態なんで、次は外部に出すこと、特にβ版に近づけてローカライズ担当者さんへの発注を目標に準備を進めます。スチルを増やすにあたり演出と物語を固め、文字まわりなど細かな問題も修正。

今年の秋〜年末には出したいんで、逆算すると10月いっぱい流し込みとテストプレイと調整、9月いっぱい翻訳とチェックに費やす算段で、8月末にはローカライズに出したい。今回は一般的なノベルほどテキスト量はありませんが、多分2万文字程度にはなるんで大きく2回くらいに分けて発注予定です。

2020年8月上旬:プロモーション準備とか色々

無謀にもシナリオを大きくいじるのに伴い建物が新規で必要になってきます。ひたすら描きます。

今回は間に合わせるのが大事なので、なんというか美しいと呼べる完成形まで昇華できそうにありません。整え出すと永遠に終わらないので、納得できる終着点を探ります。この点、一人でやっていると前後不覚に陥りがちですが、同僚に見てもらうと感想がもらえるので、及第点が取れているかどうか分かるのがありがたい。

一作前のゲーム「獄門ペンギン」が、国内でたくさん実況していただきプロモーションとしては思った以上の成果が得られたものの「日本では割と売れたが海外では驚くほど売れてない」という状況、そら主に日本語で情報発信してるからしょうがないんですけど、「春と修羅」はなんとかしたい。幸いタイミングよく参加できそうな販促情報をSteamや外部からご連絡いただけたので、必要な素材を揃えたり、体験版作成も検討しつつ揃えていきます。

2020年8月中〜下旬:ちょっと何してたか記憶がない

何してたかあまり記憶がありません。進んではいます。あ、思い出しました! オンラインイベント(後述)出展のお誘いがあったため、必死で素材を用意していました。プレイ動画が5分以上必要だったので、少しでも魅力的にしたい、とたくさんドット絵を描きました。

あとそう言えば、こんなことで税金を頼ってあれなんですけど補助金とか申し込んでみました。もし通れば、ゲームの広報がしやすくなるのでありがたいんだけど、どうだろう。

2020年9月上旬:急ピッチでシナリオを書き直し実装

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フラグ立て・倒しなどの管理は正直苦手ですが、そんなこと言ってられません。

シナリオ、演出など初回にできてたα版が3割くらいしか残ってない状態になってきましたがまあこんなものでしょう!! 同僚にはまだ見せず、こそこそ作っています。後で怒られます。怒らないで呆れられるかな。

他のゲームも同時進行なのでなんでこの頃急ピッチになってたのか思い出すのに時間がかかりましたが、体験版をSteamの秋フェスに出したいので、初回翻訳が遅くても9月末には出来上がってないといけない。最悪、演出が途中までしかできてなくても台詞だけ先行作成はできるので(というか今の「スクリプトを書きながらテキストも書く」スタイルがおかしい)、間に合わせたい。

2020年9月21日:Asobuさんの番組でご紹介いただきました

編集が神。ナレーションがやさしい。

参加ゲーム一覧とかSteamページ誘導への対応がていねい。

お疲れ様でした。ありがとうございました。

奇しくも当日は宮沢賢治さんの命日だったそうです。

2020年9月末:やっと体験版をローカライズ出せた

体験版の一部だけですが翻訳を依頼できました。ここはシェイクスピアっぽくしてほしい、などと無茶振りをします。

この時期のつぶやきです。

2020年10月6日:胃炎で事務所の床にひっくり返った

上述のSteam ゲームフェスティバルの締め切り直前に割とド派手な翻訳まわりのツールバグが発覚(変換時、一部のスクリプトが全て消失する)し、あ、これはもうあかんわ。と思った瞬間、胃に激痛が来て、事務所の床にひっくり返りました。同僚がいたんで、近くの病院が救急対応か調べてもらってる間、上むいて寝たら治ったんですが、本当に痛くて気絶するかと思いました。

しかもSteamのビルドデータ申請段階になり「製品版ストアページと体験版ストアページのタイトルが異なっている」という理由で審査が通りませんでした……。

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実はSteamページには2〜3箇所タイトルを記入する箇所があり、これらは全部統一させなければならない……のなら、一箇所書いたらそれが反映されるようにしてほしいんですが、そうなってなくて全部手で直さねばならんうえに、Steamにメールを送らないと変更できなくなる箇所もあります。

ともあれぎりぎりに出そうとした私の落ち度ではあります。しかし、早く提出できるような余裕は全くなかったのでした。

この時期のつぶやきです。

あと、本件で申請してた補助金通りました。個人事業主が対象、しかも、本人の労働分も計上してよい珍しい仕様だったのがありがたいです。これでゲーム価格はちょっとお安く抑えられそうです。

2020年10月半ば:このすきに音楽を整えます

知識がないんで音楽エディタのポテンシャルが何も発揮できません。渋々作っていましたが、7割ほどできた曲を聞いた同僚が「このくらいできるんなら、まあ……」とうっすらした感想をくれたため割と元気が出て残りも仕上げました。体験版用に大体10曲? くらいあります。残り何曲必要か本人は分かっていません。

私左右パンの意味がわからなくって放置していたんですが、後日それとなく分けて見たら耳あたりがマイルドになったんでわからんなりに入れた方がいいみたいですね。知らんけど。

2020年10月下旬:同僚「アイテムのドット絵描いて」

先述の通り、インベントリを拒否していたものの、アイテム表示窓は実装されました。私に拒否権はありません……パンとか鍵を描きます。いつものように臆面もなくフリー素材を丸写しします。(上:元絵のフリー素材 下:トレスしたやつ)

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パンの形なんてお国柄とか地方差まであると思うんですけど気にせず参ります。

2020年11月初旬:このすきに絵を整えます

うりゃあああああ(上:元絵 下:整えた)

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とりあえず光らせとけばなんとかなります。知らんけど。

2020年11月11日:Steamにて体験版公開

体験版の配布とともに製品版発売延期のお知らせを出しました。RTとかいいねありがたいです。

ひと段落ですが、いうて体験版なので、製品版公開に向けて引き続き良い感じにあれして行きます。


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